アラスカの小さな家族 の商品レビュー
フォローしている方のレビューを読んで、図書館で借りました。 今回も素敵なお話と出会うことができました、ありがとうございます。 アラスカ。米ソ冷戦時代にアンカレッジ経由の飛行機に乗ったことがある。 トランジットで降りたアンカレッジの飛行場には、大きなクマの剥製があり、そこから見え...
フォローしている方のレビューを読んで、図書館で借りました。 今回も素敵なお話と出会うことができました、ありがとうございます。 アラスカ。米ソ冷戦時代にアンカレッジ経由の飛行機に乗ったことがある。 トランジットで降りたアンカレッジの飛行場には、大きなクマの剥製があり、そこから見えた景色は、どんよりとした空、ぬかるんだように見える地面には木もなく、丈の短い草が生えているだけの漠としたものだった。これがツンドラか〜、だけどここ本当にアメリカなの?と思った(なぜアンカレッジを経由するかも知らないおバカな子どもだった)。 その景色は、まさしくこの物語の夏の風景だったのだと、読みながら思い出した。 この物語は、20世紀の初頭、ゴールドラッシュも下火となる中、アラスカの小さな町で金の採掘を続ける鉱夫たちと先住民であるエスキモーの人々の暮らしを描いたもの。 大きな事件はないが、当時の彼らの暮らしを丁寧に綴っている。 アメリカだけでなく、様々な国から集まった鉱夫たち。年をとり、この地に骨を埋める者もいるが、多くはまた新たな金鉱を求めて移っていく。 厳しい環境に一時を共に暮らす人々は、皆おおらかで暖かく、家族のよう。まさに今言われている多様性を実現している。 主人公のボーは5歳の女の子。 赤ん坊の時、孤児院に入れられるところを、偶然から南部出身のジャックとスウェーデン出身のアービッドという2人の鍛冶屋である大男に引き取られた。 ジャックは料理が上手く、ここでは料理人。アービッドも裁縫が得意で、ボーはもちろん町の人の服も縫う。 2人の父さんや、鉱夫やエスキモーの人々に愛され、守られてボーは伸び伸びと育つ…だが、そんな穏やかな暮らしにも変化が訪れる…。 全部でエピソードは28。一つ一つは短いが、当時のアラスカの人々の暮らしぶりが良く分かる。 寒すぎると雪は降らない、今日は暖かいから雪が降るだろう…という会話にびっくり。さぞかし夏が楽しみなのだろうかと思ったが、冬の方が道も凍っていて移動しやすいし、外は天然の冷凍庫で便利なので、皆冬が楽しみという…これにもびっくり。 飛行機が飛んでくるという電報から、町中が沸き立つ話では、以前、飛行機史の本を読んでいたのでその背景もよく分かり、どこで繋がるか分からんな〜読書って、と思わず唸る。 ボーが大好きだが、父さん達は苦手なアクタックというエスキモーのアイス(乳製品ではなく、アザラシなどの脂とベリーを混ぜたシャーベット)なども、どんな物なのか思わずググった…見た目は美味しそうだぞ…? 著者はアラスカ出身の小学校教師。アラスカへの誤った理解を説くためにこの物語を書いたそうだが、充分その効果はあるだろう。絵も素敵。心が暖まり、涙もじんわり浮かぶ物語だった。 小学校高学年向けかな。ページ数はあるが、中学生には物足りないかもしれない。 2020.7.3
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ゴールドラッシュ後のアラスカで、スウェーデン人とアメリカ南部の黒人の2人の父と暮らす娼婦の捨て子ボーの物語です。 辛い過去を持つのは彼らだけでなく、登場人物全員が厳しい人生を逞しく生きています。 各人の生き抜く強さと人種を問わない周囲との強い絆が、眩しいくらいでした。 過去の人々...
ゴールドラッシュ後のアラスカで、スウェーデン人とアメリカ南部の黒人の2人の父と暮らす娼婦の捨て子ボーの物語です。 辛い過去を持つのは彼らだけでなく、登場人物全員が厳しい人生を逞しく生きています。 各人の生き抜く強さと人種を問わない周囲との強い絆が、眩しいくらいでした。 過去の人々が持っていたものを、現代人はどこで失ったのでしょうか。 人間にとって大事なものは何か、教えてくれる一冊。
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アラスカで金を掘る、フィンランド人のアービッドとルイジアナ出身の黒人のジャック、そして親に捨てられた少女ボーのお話。最後に孤児だった弟グラフトンも加わって、奇妙な家族ができあがります。 誰も、誰一人として悪いやつが出てこない。いやなヤツはボーを産み捨てた母親ミリーだけど、嫌なや...
アラスカで金を掘る、フィンランド人のアービッドとルイジアナ出身の黒人のジャック、そして親に捨てられた少女ボーのお話。最後に孤児だった弟グラフトンも加わって、奇妙な家族ができあがります。 誰も、誰一人として悪いやつが出てこない。いやなヤツはボーを産み捨てた母親ミリーだけど、嫌なやつで勝手なだけで、悪いって感じでもない。 nothing lasts forever、ほんとに。泣くわ。
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お母さんがいなくてお父さん二人に育てられてる女の子。ゴールドラッシュでアラスカに来た人とエスキモーの人たちの日常が、こと細やかにかかれている
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アラスカの鉱山に小さな女の子がいました。名前はボー。ボーには父さんが二人いて、母さんはいませんでした。でもボーにとっては鉱山にすむみんなが家族でしたから、ちっともさびしくなんかなかったんです。はじめて鉱山に来た人は、ボーになぜ二人の父さんがいるのか教えてもらいます。それは、驚くべ...
アラスカの鉱山に小さな女の子がいました。名前はボー。ボーには父さんが二人いて、母さんはいませんでした。でもボーにとっては鉱山にすむみんなが家族でしたから、ちっともさびしくなんかなかったんです。はじめて鉱山に来た人は、ボーになぜ二人の父さんがいるのか教えてもらいます。それは、驚くべき、そしてとても幸せな物語なのです。そんなボーの家にこんどは弟がやってきて…。 男たちの愛情をたっぷりうけて、のびのびと育つ子どもたちのおはなし。幸せな気分になりたい人はぜひ読んでくださいね。
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アラスカは炭鉱の町、バラードクリーク。ゴールドラッシュの賑わいも終わり、採掘できる金は少なくなってきた、小さな町。 ボーは二人の父さんと暮らしています。 もともとは、気晴らし女が産み落とし、そのままだったら孤児たちが集まる教会へ送られてしまう赤ん坊だったボー。 引き取ったのは、ア...
アラスカは炭鉱の町、バラードクリーク。ゴールドラッシュの賑わいも終わり、採掘できる金は少なくなってきた、小さな町。 ボーは二人の父さんと暮らしています。 もともとは、気晴らし女が産み落とし、そのままだったら孤児たちが集まる教会へ送られてしまう赤ん坊だったボー。 引き取ったのは、アービッドとジャックという大男の鍛冶屋の二人。裁縫が得意なアービットは炭鉱夫の作業着からボーのオーバオールを作ったり、料理が得意なジャックと一緒に料理の手伝をしたり。 小さなボーは、血はつながらなくても、あたたかい家族に、そしてバラードクリークの人々に囲まれて元気に育ってゆく。 物語の終わりには、金は採れなくなってしまったので、炭鉱は閉鎖が決まり、ボーたちは新しい町へと向かう。 町の人々、自然。貧しいだろうけど、明るく、楽しく、普通の毎日。『やかまし村』みたいに、読んで、ちょっと幸せな気持ちになれる。
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寒すぎると逆に雪は降らなくなるのね。 私のように、雪が降るのはとても珍しいところでも、子供たちは雪を心待ちにするけれど、寒すぎるところでも、やっぱり子供は雪を心待ちにするんだな。 「これだけあったかけりゃ、雪が降るだろう」ってセリフが衝撃的です。 日常の様子を、ひとつひとつ映し...
寒すぎると逆に雪は降らなくなるのね。 私のように、雪が降るのはとても珍しいところでも、子供たちは雪を心待ちにするけれど、寒すぎるところでも、やっぱり子供は雪を心待ちにするんだな。 「これだけあったかけりゃ、雪が降るだろう」ってセリフが衝撃的です。 日常の様子を、ひとつひとつ映し出していくことで物語は進んでいきます。とっても凄い事件が起こるわけでも無いし、スリルあふれる展開が巻き起こるわけでもありません。日常が過ぎていく。 そのスタイルが好きな人もいるでしょうけど、これではつまらないと感じる人も多いかもしれませんね。 私も、すごく引き付けられるお話し、という訳ではありませんでした。 でも、毎日がとても楽しそうだなとは思いました。 楽しいことばかりではないのだけど、大変なことも多いのだけど、それはそれとして、楽しいことを見つけながら、日々を輝いて生きてる。子供ってものは、だいたい輝いてるものですけどね。 高学年から中学生向け。大人気になる本ではないかもしれないけど、悪くはない。
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ゴールドラッシュも終盤の1929年のアラスカを舞台にした、血縁によらない家族にはぐくまれる小さな女の子のおはなし。 ひどいことや悪意をいっさい排した世界に物足りなさを覚えないこともないけれど、善良な肯定を摂取したいときにはとても良い。 この本の世界は、愛や助け合いや勤勉に満ちてい...
ゴールドラッシュも終盤の1929年のアラスカを舞台にした、血縁によらない家族にはぐくまれる小さな女の子のおはなし。 ひどいことや悪意をいっさい排した世界に物足りなさを覚えないこともないけれど、善良な肯定を摂取したいときにはとても良い。 この本の世界は、愛や助け合いや勤勉に満ちている。 主人公のボーは鉱山集落で暮らす5歳の女の子。 ボーにはふたりの父さんがいる。 坑夫たち、元坑夫のご隠居さんたち、エスキモー(アラスカでは差別語ではないらしい)や「楽しみ女」たちがいる小さな町は、大きな家族みたいに親しい。 父さんたちは元々仲良しだったけどカップルではない。 楽しみ女が置いていったボーを介して、父さん同士という家族になった。 筋はあるようなないような。 ちょっとした大事件をちょこちょこはさみながら、ゆっくり時間がすぎていく。 子供たちはみんな人の家に出入りして、大人たちにかわいがられ、しつけられ、役割を持ってはたらいたり遊んだりする。 人が当たり前におだやかにかかわりあうコミュニティは、ファンタジーよりよほどおとぎばなしみたいだ。 家族のできかたに『陸にあがった人魚のはなし』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4566012107を連想した。
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