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パノララ の商品レビュー

3.7

27件のお客様レビュー

  1. 5つ

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2015/06/30

賞の力は恐ろしいものだなと思わず苦笑いしてしまうほどに乗りに乗った伸びやかで力強い作品。お得意の情景豊かな箱庭に詰め込んだ街と家族、オープンセットでありながら繋がらない不連続なもどかしさを表したであろうタイトルのパノララは技あり!そしてその中でネーミング勝利のヒロイン一人語りが著...

賞の力は恐ろしいものだなと思わず苦笑いしてしまうほどに乗りに乗った伸びやかで力強い作品。お得意の情景豊かな箱庭に詰め込んだ街と家族、オープンセットでありながら繋がらない不連続なもどかしさを表したであろうタイトルのパノララは技あり!そしてその中でネーミング勝利のヒロイン一人語りが著者の声と重なり合って二人称のハーモニーを奏でる技巧には素直に感動、これまでの定番はそのままに新たな境地が拓けたか。 全体的に長く破綻しそうな危うさも確かにまだある、しかしここまでまとめられているのならば文句は言うまい、柴崎さんナイス!

Posted byブクログ

2015/06/30

なんとも不思議な気分になる本。 おもしろかったようなこわかったような、気持ちがわかるようなわからないような、、 まさしくパノララって感じ。

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2015/05/17

つぎはぎだらけの木村家に間借りすることになった真紀子。 その木村家の人々はちょっと風変わり。 特殊な能力?を持った3兄弟(女男女)に、すぐ脱ぐ?奥さまだけを愛するお父さん、女子高生のような接し方をしてくる女優のお母さん。 主人公の牧子も、両親との暮らしがトラウマとなり、自分の気持...

つぎはぎだらけの木村家に間借りすることになった真紀子。 その木村家の人々はちょっと風変わり。 特殊な能力?を持った3兄弟(女男女)に、すぐ脱ぐ?奥さまだけを愛するお父さん、女子高生のような接し方をしてくる女優のお母さん。 主人公の牧子も、両親との暮らしがトラウマとなり、自分の気持ちを伝えることを憚る性格。 木村家の人たちと関わり、新しい出会いもあり、真紀子は両親と向き合い、少しだけ前に進むようになる。 初読みの作家さん。 出会えて良かった。 すっごく好きでした。 不思議な感じなのだけど、普通っぽくて、この何でもない感じが良かった。 ちょっと前の、大好きだったドラマ『すいか』に似ていた? 何となくですが。

Posted byブクログ

2015/05/02

この父親のイメージは、「まれ」の田中民さん(さんずいの民、変換されないや)です。私的には。 とにかくちょっと変わった家族と同居する話。少し羨ましいかも。

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2015/04/19

なんだか不思議な話だった。 真紀子は友達のイチローの実家に間借りすることになる。 イチローの家族は父と女優の母、そして父親が違う姉と妹。 複雑な家庭に父親の将春が増改築を繰り返した奇抜な家。 木村家で過ごすようになった真紀子は、徐々に家族と打ち解けていく。 それぞれがちょっと変...

なんだか不思議な話だった。 真紀子は友達のイチローの実家に間借りすることになる。 イチローの家族は父と女優の母、そして父親が違う姉と妹。 複雑な家庭に父親の将春が増改築を繰り返した奇抜な家。 木村家で過ごすようになった真紀子は、徐々に家族と打ち解けていく。 それぞれがちょっと変わっていてさらに変な能力を持っている。 イチローの同じ日を繰り返す能力。繰り返すだけで、別の行動は取れないというあの力。 真紀子が疑似体験のようなものができたのはなんでだろう。 しかも、あんなにも嫌な1日。精神的なダメージが大きかったからなのか。 同じ日を繰り返すことは映画の撮影に似ている。 映画はより良いシーンを作るためにテイクを重ねるけど、イチローの力は、別の行動は取れないからなんだか不毛。 後悔しないように行動しないといけないってことかな。 真紀子は、繰り返しのあと、すこし成長したなと感じられた。

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2015/04/08

こんな人がいてもいいと思う。 こんな家族がいてもいいと思う。 それを世間はつぶさないで欲しい。自分の常識で。

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2015/04/07

あの、一体何が言いたかったの? 読後の感想はこれだけ。 最後がとっちらかりすぎて、私には理解できませんでした。

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2015/04/04

同じ1日が繰り返すことがある感情を持っている人の話。親元を逃げるようにして東京に出て来て、ヘンテコな家のヘンテコな家族と一緒に暮らすことになる。でも、実はヘンテコなんかではなく、とても人間味あふれるとても良い家族との生活が待っていた。東京でこんな生活が出来たら結構楽しいと思う。物...

同じ1日が繰り返すことがある感情を持っている人の話。親元を逃げるようにして東京に出て来て、ヘンテコな家のヘンテコな家族と一緒に暮らすことになる。でも、実はヘンテコなんかではなく、とても人間味あふれるとても良い家族との生活が待っていた。東京でこんな生活が出来たら結構楽しいと思う。物語の中に作者の実際の話?と思えるような箇所もあり中々良い物語だった。

Posted byブクログ

2015/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

昔から数学の空間図形みたいな問題は苦手で、つぎはぎのように接合された部屋だの階段だの、部屋の位置関係が頭に浮かばなくて混乱しております。迷子になりそうですね。 「同じ一日が繰り返される」ことがメインの話じゃなかったのね。あらすじで面白そうだったのに。同じ日が繰り返されても、思い出したくもない一日もあるだろうにねぇ・・・。

Posted byブクログ

2015/03/12

『わたしには一日は一回ずつしかないけれど、イチローには一日がもう一回あるときがあって、二回目の一日を体験しているときに二回目だということはイチローにはわかっていて、わたしが撮った写真にイチローが写っていない理由がそれがイチローにとって二度目の一日だったからだとしたら、写真を撮った...

『わたしには一日は一回ずつしかないけれど、イチローには一日がもう一回あるときがあって、二回目の一日を体験しているときに二回目だということはイチローにはわかっていて、わたしが撮った写真にイチローが写っていない理由がそれがイチローにとって二度目の一日だったからだとしたら、写真を撮ったわたしも二度目のわたしだったということで、だけどわたした一回目を覚えていないから、いまここにいるわたしは一回目のわたしとは別のわたしなのか、一回目のことは忘れて二回目のことしか覚えていないわたしなのか、というようなことを考えたのだった』 柴崎友香の小説をずっと読み続けてきたけれど、この小説はこれまでの小説とは随分違うとも思うし、やっぱり柴崎友香の小説だなとも思う。 何やら非日常的な出来事に満ちているのは、一見するとこれまでの作品とは大きく異なっているようにも思えるけれど、それは見方や捉え方次第であると柴崎友香がずっと主張してきたことの延長であるとも思う。何気ない日常と片付けがちな時間の中に、ぎゅっと詰まっているものがあり、いくつもの思いがある。それがこの作家の常々描いてきたことだった。それを何も起こらない小説と片付けてしまう見方もあるけれど、大袈裟なエピソードの方が嘘臭い。 それでも、例えばワープは初期の作品でも時々ごく普通のことのように挿入されていた出来事だった。それを特筆すべきことと捉えるか、あるいは自分が意識していない間にある地点から別の地点へ異動することはワープみたいなものだと考えるか。要する相対的な所要時間に差はあれど、誰でも日常的にワープしているとも言える訳で、それはきっと時間というものに縛られた現代的な感覚なのだろうなと整理することもできる。何も飛行機や新幹線のような現代的な移動手段が問題なのではない。例えば片道30分の通学路を歩いていも、その到達点の遠さを忘れる為に色々なことを考えながら歩けば、あっと言う間に家にワープする。もちろん、客観的には連続した時空間を移動しているだけだけれど、自分の意識する世界の中でそれはワープしたのと同じこと。そういう趣旨のことを作家も語っていた記憶もある。多分、そこに通低するのは、世界は常に自分の意識の中で再構築されるもの、という思いであるとも思う。そう作家が意識していないとしても。 一方で、これまで余り取り上げて来なかったものは、自分の意識の中だけでは解決しないもの、自己と非自己との関係性、というものだ。これまでもオムニバス的に同時進行する世界が交錯するような、いわば複数の自意識が織り成す関係については強い拘りがあったとは思う。けれど、川上弘美がこの頃繰り返し取り上げる母と娘のような関係性についてここまで正面から取り上げたことはなかったと思う。その解っているけれど向き合いたくない主題が、居候する各々がパラレルな時間軸で同居する家族の傍らでじっくりと重力を増してゆく。最後にはシュヴァルツシルト半径の内側に落ち込んで二度と戻れないかと思う程に自意識の意味が失われる世界に落ちてゆく。絶ち切ろうともがいてもそもそも物理的ではない繋がりは、どこまでも伸びて来て、自意識を絡めとる。これは柴崎友香の描くものとしては珍しいものだと思う。在りたい自分と他人の認識する自分。その差に誰しもが悩み、苦しむ。きっとその最たる関係が母子なのだろう。作家は幾つかの母と子の関係を描きながら、主人公の母子関係に戻ってくる。その下敷きになっているものが、柴崎友香自身の母子関係であるのか否かに関心が無いこともないけれど、どこまでも自意識が再構築する世界から作家が一歩踏み出したのだとしたら、その事の方が重要だろう。 きっとここから変わっていくのだろうという予感が強く沸き上がる。

Posted byブクログ