パノララ の商品レビュー
+++ 二八歳の田中真紀子は、友人のイチローから誘われ、彼の家に間借りすることになった。その家は建て増しを重ねた奇妙な家で、コンクリート三階建ての本館、黄色い木造の二階建て、鉄骨ガレージの三棟が無理やり接合されていた。真紀子はガレージの上にある赤い小屋に住むことに。イチロー父は全...
+++ 二八歳の田中真紀子は、友人のイチローから誘われ、彼の家に間借りすることになった。その家は建て増しを重ねた奇妙な家で、コンクリート三階建ての本館、黄色い木造の二階建て、鉄骨ガレージの三棟が無理やり接合されていた。真紀子はガレージの上にある赤い小屋に住むことに。イチロー父は全裸で現れるし、女優の母、無職の姉、モテ系女子の妹も一癖ある人ばかり。そんなある日、イチローは、自分はおなじ一日が二回繰り返されることがあると真紀子に打ち明けるのだった。芥川賞作家が放つ、新感覚パノラマワールド! +++ 初めのうちは、いつものように淡々と特別に起伏があるわけでもない日常が描かれているのだが、ふとしたきっかけで間借りすることになった木村家の、一風変わった家族が住むつぎはぎの奇妙な家での暮らしが始まると、その家族それぞれの事情や存在感に巻き込まれながら真紀子の日々も微妙に変わっていく。しかも木村家の人たちはそれぞれに、いささか普通ではない力を持っていて、そのことに真紀子も初めの内こそ驚きはするけれど、さほど大きな反応をすることもなく、そのまま真紀子自身は淡々と日々を過ごしていく平坦な物語かと思って安心しきっていたら、彼女の身にもどういうわけか同じようなことが起こるのである。でもそれがおそらく真紀子にさまざまなことを気づかせてくれるきっかけにはなったのだろう。平坦ながらもきのうとは違う新しい世界に生まれたような印象もある。パノラマワールドというよりもパラレルワールドのような印象の一冊である。
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すべてはあの最後のほうのあの章を書くための伏線だったのかな。いつまで? とページをめくるのがちょっと怖かった。干渉されるのが嫌なのはすごくわかる。ちょっとだけ気にしてもらえるのがいい
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木村亭に間借りすることになった主人公。女優を母に、一風変わった家族が揃う中それぞれの不思議な力や生い立ちが明らかになっていく。 450ページの長編は普段あまり読まないんだけど後半のパノララ具合に引き込まれて一気に読んでしまった。
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半分くらいまでは読むのがしんどくてやめようかとおもうけど、最後まで読むとなにかわかった気になる、読んでよかったなって思う。さいきんの柴崎さんはいつもそう。
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個性的な家に合致して、そこに住む人々もまとまりがない。部屋を借りるだけなら、これほどバラバラのほうが気を遣わなくてよさそうではあるけど。
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1/25にサイン会でサイン貰ってきた本。面白いってご本人言われてたけど、最初寂しくて仕方なかった。何でだろうと思った。最後まで読みきったら、何となく分かってきたような気がする。主人公の田中真紀子は歪んだ世界を見続けてきて、うまく表に出せない。そーなんや、とかなるほど、とかどっちで...
1/25にサイン会でサイン貰ってきた本。面白いってご本人言われてたけど、最初寂しくて仕方なかった。何でだろうと思った。最後まで読みきったら、何となく分かってきたような気がする。主人公の田中真紀子は歪んだ世界を見続けてきて、うまく表に出せない。そーなんや、とかなるほど、とかどっちでもいいときに使うもんなと思う。人との関わりって難しい。この本に出てくる人は同じ場所にいても見ている先がみんな微妙にずれていて、そーゆーのが寂しい原因なのかもしれないと思った。またいつか、会えるかな。こんな風に考えられた作品を、柴崎さんの作品を読みたい。
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親に束縛され、なかなか逃れることのできない田中真紀子が、東京で、男友達の家に間借りすることによって、その家族の自由奔放さを体感しながら自分の生き方を模索していく。束縛だったり、父母のヒステリーな感じだったり、仕事の苦労だったり、異常なまでの尊敬だったり、決して軽い話ではないのだけ...
親に束縛され、なかなか逃れることのできない田中真紀子が、東京で、男友達の家に間借りすることによって、その家族の自由奔放さを体感しながら自分の生き方を模索していく。束縛だったり、父母のヒステリーな感じだったり、仕事の苦労だったり、異常なまでの尊敬だったり、決して軽い話ではないのだけれど、今回の作品も読んでいて心地よかった。そして、家から見える町の風景だったり、町の描写がいたるところにあって、その場で生活しているんだという感覚がリアルに伝わってきた。
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