1,800円以上の注文で送料無料

起き姫 の商品レビュー

4.1

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2022/08/04

起き姫とは起き上がり小法師のこと 子供が産めず、居場所のなかったおこうは、夫に、外で子供が出来たのを潮に、婚家を去った。 実家に戻ったが、兄夫婦が、おこうの持参金をあてにし、母親も、兄嫁の味方をする。 二百両の持参金の内、百九十両を、兄夫婦に譲り、おこうは、昔の乳母を頼りに、...

起き姫とは起き上がり小法師のこと 子供が産めず、居場所のなかったおこうは、夫に、外で子供が出来たのを潮に、婚家を去った。 実家に戻ったが、兄夫婦が、おこうの持参金をあてにし、母親も、兄嫁の味方をする。 二百両の持参金の内、百九十両を、兄夫婦に譲り、おこうは、昔の乳母を頼りに、実家を出て、口入屋「三春屋」を始め、人と人の縁を繋ぎ、ようやく自分の居場所を見つける。 「三春屋」にやってくる女たちが、起き姫のように、転んでは起き上がり、自分の道を進んでいく。 そして、おこうにも、幸せがやってくる。 江戸の情緒が偲ばれる、なんとも後味の良い作品。 ワタシも、起き上がり小法師を買ってみようか。

Posted byブクログ

2017/08/10

人との結びつきを連作短編で書き表しており、女の底力みたいなものも感じさせる小説であった。 書き方が、優しく、読み易さと、内容の面白さに、のめり込んでしまった。 7話共、人のつながりで、幸せの糸口をつかむことも出来ると、、、。 主人公、口入屋になったおこうの人柄の良さが、著者...

人との結びつきを連作短編で書き表しており、女の底力みたいなものも感じさせる小説であった。 書き方が、優しく、読み易さと、内容の面白さに、のめり込んでしまった。 7話共、人のつながりで、幸せの糸口をつかむことも出来ると、、、。 主人公、口入屋になったおこうの人柄の良さが、著者の人柄のように思える。 おこうは、嫁いだ先の夫が、浮気お相手がおり、子供まで生してしまった。 舅や姑からは、石女と、言われて、嫁としての立場も居ずらく、奉公人からは、冷たくされており、縁を切ってもらったのだが、実家に戻っても、持参金の返却金を当てにした兄と兄嫁がおり、母親までが、それに加担するような身の置きどころが無い始末である。 幼き頃のおこうを可愛がってくれた奉公人のおとわの店の三春屋(口入屋)へ、おこうは、訪れて、自分の父親との関係も知ることになるのだけと、、、、なんと、綺麗に、物語っているのだろう。 違和感なく、おとわの優しい気持ちが伝わって来る。 おとわ亡き後、三春屋を受け継いだおこうの人との結びつきが、又良い。 亀屋の友二郎との恋に、又お久の関係が、心憎いほどに書かれている。 こんな姑に感慨深い友二郎が、居れば、おこうはこれから幸せになってくれることだろうと、安心して、本を閉じた。 最後のおこうの「義母さん、ただいま」の言葉が、頭の中に漂っていた。

Posted byブクログ

2017/06/22

言葉選びがきれいなんだよなあ、この方の文章。久々によんだ杉本作品。女の一生のなかで共感できる思いがあちこちぎゅぎゅっと詰まっていて、ところどころ、ほろりとさせられた。あったかいラストに心ぬくまった。 “口入れ屋”を舞台にしたものでは、ちょっと前に西條奈加さんの「九十九藤」を読んで...

言葉選びがきれいなんだよなあ、この方の文章。久々によんだ杉本作品。女の一生のなかで共感できる思いがあちこちぎゅぎゅっと詰まっていて、ところどころ、ほろりとさせられた。あったかいラストに心ぬくまった。 “口入れ屋”を舞台にしたものでは、ちょっと前に西條奈加さんの「九十九藤」を読んで、「お江戸」×「人情」にはうってつけの舞台だなあとおもっていたけれど、またこれ違うかたちの、いろいろあって口入れ屋の女あるじとなる物語。おこうは、この仕事を通して、じぶんの人生も、芯をぐいっと入れ直したかんじだよね。お島もいいなあ、すきだなあ、こういう芯の強い女性。ふたりのご隠居婆様たちがまたどちらも、いい味。そして、おけいが、ほんとにクズすぎてぎゃくに彩るよね。お雪、お関、お徳、それぞれに、自分とはタイプが違っても、ああ、ちょっとわかるかもしれない、、、、女ってさあ、、、なんかみんなで飲もうか! って、心の奥で好きになってしまうような、へんな感情が芽生えつつ読んだ。 これは女性向け、できれば、アラサーアラフォーもしくはそれ以上の、うまくいかない人生の愚痴のあれこれを飲み込んで日々過ごしてるあらゆる女性に、読んでほしい。どこかで涙するとおもう。そしてちょっと、襟を正す気持ちももらえる。心ほぐされる良作でした。

Posted byブクログ

2017/01/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かった。 後半がドラマティックで素晴らしい! どうなるのかとドキドキしたけど、なるようになって良かった。 バチが当たる話は良い。

Posted byブクログ

2016/07/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

全6話、うち第3話を書いたところで杉本さんは余命宣告をされ、最終話はホスピスで書き上げられたという。よって、第4話からは出戻り寡婦を貫く気丈夫な女主人公と思われた「おこう」が、人並みに自分を解放していく。好いた男を受け入れ、身籠り、周囲の理解と助けのもとで母親となる。そして、再婚を決意する。新たな命、新たな旅立ちがテーマとなる。これを上梓してのち、人材斡旋の口入れ屋を継いだ「お関」の連載を初めて1話を遺し、杉本さんは他界された。余命宣告の後、筆致は変わるのだけれど、最後まで自分のスタイルは保ち、ヒトとの関わりを通してどう自らを高めて行くのか、どう自らを変えていくのかを伝え続けてくれた。

Posted byブクログ

2016/03/10

素晴らしい作家さんと出会えた!と読後感に浸っていたらここのレビューで昨年2015年12月にお亡くなりになっていたと知り茫然としています。 しかもこの作品が最後の単行本とのこと。 おこうのしぶとく、転んでも起きあがる生き方が 好きです。心に残る作品になりました。

Posted byブクログ

2016/02/23

嫁ぎ先で嫌な思いをし、里に帰っても味方はおらず・・・。昔の奉公人を頼り、「口入れ屋」になった主人公。 殺人事件もあったけれど、ほんわかする作品でした。

Posted byブクログ

2016/02/20

子供ができない事で、大店から離縁され、現代の職業斡旋所、口入れ屋を営む話。 婚家でも実家でも、恵まれない境遇だったけど、一人で生きていくために口入れ屋を始め、とても良い縁に恵まれ、読んでいて嬉しくなる話でした。 中でも、大店の隠居婆さんずが、元気でとっても良い! 続編を是非読み...

子供ができない事で、大店から離縁され、現代の職業斡旋所、口入れ屋を営む話。 婚家でも実家でも、恵まれない境遇だったけど、一人で生きていくために口入れ屋を始め、とても良い縁に恵まれ、読んでいて嬉しくなる話でした。 中でも、大店の隠居婆さんずが、元気でとっても良い! 続編を是非読みたいと思ったら、作者の杉本章子さんは去年(2015年)の12月に亡くなられたと知って、大変残念でした。 余命宣告を受けた中で書かれた作品である事を知って、更に驚きました。

Posted byブクログ

2016/02/20

2011年6月から2014年9月まで、がんと闘いながら「オール讀物」に掲載された7章をまとめた杉本章子最後の単行本。 夫の幼なじみが夫の子を連れて乗り込んで来たため婚家を去ったおこうは、実家にも居られず、乳母が開いていた三春屋という口入れ屋(職業紹介業)に居つき、乳母を看取っ...

2011年6月から2014年9月まで、がんと闘いながら「オール讀物」に掲載された7章をまとめた杉本章子最後の単行本。 夫の幼なじみが夫の子を連れて乗り込んで来たため婚家を去ったおこうは、実家にも居られず、乳母が開いていた三春屋という口入れ屋(職業紹介業)に居つき、乳母を看取って三春屋を継いだ。 これだけでも波乱万丈なのだが、口入れ屋という人と人を繋ぐ稼業のため、おこうはいろいろな人間模様に遭遇する。弱虫のくせに意地っ張りというおこうの心理描写が、杉本章子の真骨頂でもあり、何度も鼻の奥がつんとなってしまう。 2015年12月に世を去ったこの人の美しい文章の作品がもう読めないと思うとなんとも寂しい。

Posted byブクログ

2015/12/29

連作短編。旦那に浮気され離縁し、実家に戻ったものの実の家族に嫌気がさし、仕方なく元乳母がやっている口入れ屋を継ぐことになったおこう。1話目ではこれから口入れ屋でやっていけるのか心配だったおこうですが、2話目になると頼り甲斐のある口入れ屋さんになっていて驚きました。自立した大人の女...

連作短編。旦那に浮気され離縁し、実家に戻ったものの実の家族に嫌気がさし、仕方なく元乳母がやっている口入れ屋を継ぐことになったおこう。1話目ではこれから口入れ屋でやっていけるのか心配だったおこうですが、2話目になると頼り甲斐のある口入れ屋さんになっていて驚きました。自立した大人の女性って感じ。良い人は良いように、悪いことをした人は悪いようになるという勧善懲悪な話なのですっきりします。

Posted byブクログ