白鶴ノ紅 の商品レビュー
小説職人・佐伯泰英の手に掛かれば、読者を涙させることも、ワクワクさせることも自在である。居眠り磐音江戸双紙もついに第48巻。大団円まで残すところあと2巻となり、物語はいよいよ熱を帯びてきた。 なかでも圧巻は第二章「八朔の雪」である。 磐音はもともと豊後関前藩の中老・坂崎正睦の...
小説職人・佐伯泰英の手に掛かれば、読者を涙させることも、ワクワクさせることも自在である。居眠り磐音江戸双紙もついに第48巻。大団円まで残すところあと2巻となり、物語はいよいよ熱を帯びてきた。 なかでも圧巻は第二章「八朔の雪」である。 磐音はもともと豊後関前藩の中老・坂崎正睦の嫡男であり、本来であれば藩政の中核を担うべき家柄にあった。しかし、江戸で剣術家として生きる道を選ばざるを得なかったのは、若き日の悲劇に起因する。幼なじみの河出慎之輔、小林琴平とともに藩政改革を志していたものの、守旧派・宍戸文六らの陰謀により、許嫁・奈緒の兄である琴平を討ち取るという痛恨の事態に追い込まれたのである。この出来事は、磐音の人生を大きく歪める転機となった。 そしてその影は、奈緒の運命にも色濃く落ちる。 一家の大黒柱であった兄を失い、父も病に倒れた奈緒は、やがて苦界へと身を落とす。しかし彼女には、生来の美貌と武家育ちの気品、そして教養があった。瞬く間に吉原随一の花魁へと上り詰め、「白鶴」の名で知られる存在となる。やがて山形の紅花商人・前田屋内蔵助に身請けされ、ようやく安定した生活を得たかに見えた。 だが運命はなおも過酷である。内蔵助は不慮の事故で命を落とし、前田屋の家運も傾く。奈緒は再び困窮の淵へと追い込まれてしまう。 この苦境から彼女を救うべく動いたのが、弥助と霧子であった。本巻では、奈緒が三人の子を伴って江戸に戻り、再び生活の基盤を築くまでが描かれる。その鍵となったのが、書名にもなっている「白鶴の紅」である。 「白鶴」とは花魁時代の源氏名、「紅」は口紅を指す。門外不出とされた製法を奈緒は密かに習得し、さらに独自の工夫を加えていた。自らの過去を隠さず、それを力に変えた奈緒に対し、吉原もまた全面的に支援を惜しまない。当時の吉原は単なる遊興の場ではなく、流行の発信地であった。「白鶴の紅」はその特性を最大限に活かし、見事に成功を収める。そこには、磐音を中心とした人の縁と善意が確かに息づいている。 さて、本巻の時間設定は前巻から二年後である。そのため、利次郎と霧子、辰平とお杏という二組の婚姻はすでに過去の出来事として語られる。また、磐音の旧主・実高も、鎌倉の東慶寺で謹慎していたお代の方と復縁し、それぞれの人生があるべき場所へと収まっていく。 物語はこうして、終幕に向けて着実に収束しつつある。 最大の懸案である田沼意次との対決はいまだ決着を見ないものの、第10代将軍徳川家治の死去により、田沼は最大の後ろ盾を失った。栄華を誇ったその権勢にも、いよいよ陰りが見え始めている。
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1786年、辰平と利次郎がそれぞれ仕官し、意知事件から2年が経過。 このシリーズにしては結構時間をすっ飛ばした感じ。 田丸の悩み、奈緒の店開き、家治の死に伴い、田沼意次の没落、お代の復帰。物語は収束に向かいつつある。
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前巻から一気に2年が経過し、田沼意次はもはや虫の息といった感があるものの、最後まで何かがあると思わせぶりな記述が続く。 そんな中で物語は磐音を中心とした人の輪が、個人個人の成長と共に広がってゆく様子を描いており、長いシリーズの中でもトップクラスにほのぼのした内容でした。 たまには...
前巻から一気に2年が経過し、田沼意次はもはや虫の息といった感があるものの、最後まで何かがあると思わせぶりな記述が続く。 そんな中で物語は磐音を中心とした人の輪が、個人個人の成長と共に広がってゆく様子を描いており、長いシリーズの中でもトップクラスにほのぼのした内容でした。 たまにはこんな雰囲気も良いと思います。
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いつの間にか2年の月日が流れていて、また間の巻を飛ばしたのかと思いました。 色々とあった奈緒が立ち直っていく様子が書かれています。 そして、いつもの人々。いつもの和気あいあいとした中にある、老中田沼の動き。 このまま終わるのか、もう一波乱あるのか?続きが気になります...
いつの間にか2年の月日が流れていて、また間の巻を飛ばしたのかと思いました。 色々とあった奈緒が立ち直っていく様子が書かれています。 そして、いつもの人々。いつもの和気あいあいとした中にある、老中田沼の動き。 このまま終わるのか、もう一波乱あるのか?続きが気になります。
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あれ、一冊飛ばした?と最初戸惑いました。 奈緒好きとしては奈緒がやっとこ落ち着けてよかったと思う一巻。うまく行き過ぎはご愛嬌。 世の中も静かにただ確実にずりずりと動いていきますね。 2020.4.19 51
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タイトルの通り。 性に対する考え方など現代とはだいぶ違い、かなりオープンだったと聞いたことがあるけれども、それでも、来し方を恥ずることなく、前を向いて生きていく奈緒さまの凛とした佇まいはとても好きです。 十年を越す歳月が醸し出した磐音と奈緒も、落ち着くべきところへ落ち着いたよう。...
タイトルの通り。 性に対する考え方など現代とはだいぶ違い、かなりオープンだったと聞いたことがあるけれども、それでも、来し方を恥ずることなく、前を向いて生きていく奈緒さまの凛とした佇まいはとても好きです。 十年を越す歳月が醸し出した磐音と奈緒も、落ち着くべきところへ落ち着いたよう。 利次郎や辰平も尚武館から巣立ち、次世代の照信にスポットライトが当たります。こちらも春が近い? 長年にわたり仇敵だった田沼意次ですが、家治が逝去したことが決定打となり、反田沼派によって手足がもがれるかのごとく追い詰められてしまうのは、なんだか酷いことのようにも感じてしまいます。 磐音もそんな気持ちだったのかなぁ。 クライマックスが近づいてきたからか、話の進み方が早送りのようになっているように感じました。
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やせ軍鶏でぶ軍鶏の合同結婚式見たかったなぁ。大団円に向けて色々と動き出した。武左衛門だけが意気消沈。頑張れ武左衛門。子どもの巣立ちを喜んでやってくれ。気持ちはわかるけどさ。
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4月-1。3.5点。 山形を出た、奈緒。磐音との再会もそこそこに、 有る才能が開花。すごい。 物語の終息に向け、色んな物が動いている。 田沼派の攻撃も。
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奈緒ファンのための1冊。 おこんとの初対面、高尾太夫の来店、泣ける・・・。 あっ、お代の方と俊次との初対面も良かった!
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今回は、2年の歳月が、経過している。 田沼意次の刃傷騒ぎの後の、田沼家の縁戚関係を離縁・離脱を求めて、保身を図るのは、世の常であるが、恩義のある者への行いしては酷薄な仕打ちであるのが、寂しい感じがする。 今回は、磐音の剣豪を発揮するところは、少なく、幼馴染で元許婚の奈緒が、浅草...
今回は、2年の歳月が、経過している。 田沼意次の刃傷騒ぎの後の、田沼家の縁戚関係を離縁・離脱を求めて、保身を図るのは、世の常であるが、恩義のある者への行いしては酷薄な仕打ちであるのが、寂しい感じがする。 今回は、磐音の剣豪を発揮するところは、少なく、幼馴染で元許婚の奈緒が、浅草で最上紅前田屋を店開きする。 元許婚のことも、吉原の花魁だったことも、すべてオープンに公表しての開店であったが、吉原からの援助もあり、盛大な盛り上がり方が、描かれ、奈緒の商才と努力が、うかがえる話になっている。 豊後関前藩のお代の方の環俗で六郷渡しの所に実高の跡継ぎの俊次が、出迎えているところも心憎い。 側室の子である俊次に会うのも初めてなのに親子のような情愛の書き方が、うまい。 居眠り磐音シリーズはまり込んで、テレビのドラマにも、はまり込んだが、残り僅かに終結を迎える事になるのが、惜しい。そして、次の巻に期待している私が居る。
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