フランケンシュタイン の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『批評理論』で取り上げられていたので、興味が出て読んだ。フランケンシュタインにも怪物にも全く共感できなかった。フランケンシュタインは、怪物を自ら作りながら、その存在を真っ向から否認し、怪物を作った自分自身を受け入れようとはしない。彼にとって、怪物と怪物を作ってしまった自分は悪であり、否定されるべきものでしかない。怪物については、たしかに、彼は相当不幸な境遇にある。人間の言葉を理解し、豊かな感情がある。その身の毛もよだつような恐ろしい外見以外は、何一つ人間と変わるところはない。しかし、その容貌のためだけに人から恐れられ、疎まれる。だから、人を悲劇の縁に追いやることによって自らの存在を確認するようになる。確かに、フランケンシュタインも怪物も不幸だろうが、そのあり方を肯定することはできない。フランケンシュタインのように自分から逃げていても、怪物のように自分が不幸だからといって人を痛めつけてみても、幸福にはなれない。
Posted by
筆者の旅行体験を元に描いた背景描写が細かく壮大で読み応えがあった。博士と怪物の相入れないジレンマが心苦しかったけれど、どちらも“人間性”を感じるところが多々あって200年前に書かれたとはいえ(翻訳済みですが)読みやすかった。周りの登場人物たちの慈愛が怪物の孤独を更に強調され切なか...
筆者の旅行体験を元に描いた背景描写が細かく壮大で読み応えがあった。博士と怪物の相入れないジレンマが心苦しかったけれど、どちらも“人間性”を感じるところが多々あって200年前に書かれたとはいえ(翻訳済みですが)読みやすかった。周りの登場人物たちの慈愛が怪物の孤独を更に強調され切なかった。。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とにかく怪物がかわいそうすぎる。 そしてフランケンシュタインは、自身が犯した罪には震え上がっているものの、本気で反省はしてないように思える。怪物に対してひどすぎるから。 ただ、物語を生み出した作家の方はものすごい力で狂気を信憑性感じさせて描いている。 ストーリーが気になりすぎて途中の手紙が続く構成がちょっと辛くなり読み飛ばしてしまった部分もあるので、またいつの日かゆっくりと読み返してみたい。命の創造は、人間が踏み込んでいい部分ではないとやはり感じた。
Posted by
本当に面白い作品は、読み始めがどんなに冗長に思えてもある瞬間から胸ぐらを掴まれるように惹き付けられ、あっという間にラストまで魂を持っていかれる。物語から目が離せなくなる。『フランケンシュタイン』はまさにそういう作品だった。ヴィクターの科学者としての驕りと、倫理の箍が外れた無責任な...
本当に面白い作品は、読み始めがどんなに冗長に思えてもある瞬間から胸ぐらを掴まれるように惹き付けられ、あっという間にラストまで魂を持っていかれる。物語から目が離せなくなる。『フランケンシュタイン』はまさにそういう作品だった。ヴィクターの科学者としての驕りと、倫理の箍が外れた無責任な情熱が作り出した生命には、一時は善良な心根が芽生えたものの、度重なる人間からの蔑みと暴力で遂には本物の怪物となってしまった。無垢の生命を怪物に育て上げたのは人間であった。憎悪は憎悪しか生み出さない。この当然の因果をあらためて思い知らされる作品だった。
Posted by
映画は何度か作られてますが、 原作はなかなか読む機会が無く初めて読みました。 フランケンシュタインが完成前から醜いと言いながら、 命を与え、恐怖と嫌悪感では好き好んで醜く生まれたわけではない怪物が哀れ。 また、仲間(伴侶)を作る約束をしておきながら完成直前に破壊。 フランケンシュ...
映画は何度か作られてますが、 原作はなかなか読む機会が無く初めて読みました。 フランケンシュタインが完成前から醜いと言いながら、 命を与え、恐怖と嫌悪感では好き好んで醜く生まれたわけではない怪物が哀れ。 また、仲間(伴侶)を作る約束をしておきながら完成直前に破壊。 フランケンシュタインの身勝手さはこちらの方が怪物。 殺人を犯してからは怪物にも同情出来なくなりましたが、 怪物よりフランケンシュタインの方が怪物に思えます。 200年前の作品なので表現には古さを感じました。
Posted by
孤独な怪物が抱える、癒しようのない哀しみ。最後まで"怪物"としか称されず、名前すら与えられなかった者の痛烈な哀しみ。 (訳者あとがきより)
Posted by
読書会の課題として読んだのだが、とても面白かった。400ページ強をすらすら読めた。 解説にもある通りいろんな読解ができる本だと思うけど、わたしが強く感じたのは、ヴィクター家(とくにエリザベスや父親、ジュスティーユ)の高貴さや気高さ、強さだった。どんな苦境でも、けっして否定に陥らず...
読書会の課題として読んだのだが、とても面白かった。400ページ強をすらすら読めた。 解説にもある通りいろんな読解ができる本だと思うけど、わたしが強く感じたのは、ヴィクター家(とくにエリザベスや父親、ジュスティーユ)の高貴さや気高さ、強さだった。どんな苦境でも、けっして否定に陥らずに現実と向き合う姿に、ぐっときた。
Posted by
映画なら見なかったと思いますが、18世紀末に生まれ、19世紀初頭 20歳の美女が書いたという小説ならば興味ひかないわけはありません ところが、暑さも忘れるほどゾッとする怪奇な恐怖話ではないこと むしろ、これは現代にも当てはまる事情ではないかと、そこに背筋が凍りましたね ...
映画なら見なかったと思いますが、18世紀末に生まれ、19世紀初頭 20歳の美女が書いたという小説ならば興味ひかないわけはありません ところが、暑さも忘れるほどゾッとする怪奇な恐怖話ではないこと むしろ、これは現代にも当てはまる事情ではないかと、そこに背筋が凍りましたね フランケンシュタイン青年科学者が人間に似た生命体を完成させる それが怪物くん、フランケンシュタインが作った名無しの権兵衛 解説にある通り、わたしも怪物の名前がフランケンシュタインと思っておりました でも、フランケンシュタインが生んだようなもんだから、フランケンシュタインでいいんじゃないか それはさておき、作品の生命体があまりにもおぞましいので (そこは詳しくは描写されていないので、想像で各自イメージする) 製作者は拒否してしまう、つまり、捨ててしまう ちょっと待って!仮にも人間に似た生命体だよ 書き損じの小説や、作りかけの工作じゃないんだから・・・ 怪物くん見た目はひどい(おそましい)が 掘り起こせば感性に溢れ、知性と情けを知る御仁 あるきっかけで人間としての教養を積んでしまう それではと 人間社会で受け入れてもらいたいのがあだとなり 本人の意向とは裏腹に恐れられ ますます孤立してしまう悲しさ 生みの親にも嫌われ、誰も振り向かない、認めてもらえない そうなったときどうなるか? 失意のどん底、復讐の魔物となるのか 少々饒舌なところもありますが、三重構造の良さ 語りて フランケンシュタイン 怪物くん それぞれの真に迫ったモノローグがグイグイと迫ってきます 怪物とは「超現代科学技術のもう取り返しがつかない行方か!」 との思いを強くしました
Posted by
恐らく多くの人が、本書のタイトルと、フランケンシュタイン博士が作り出した怪物のイメージは持っていると思う。 しかしそれは、フランケンシュタイン原作から得たイメージでは無く、人間によって作り出された、継ぎ接ぎだらけの怪物というイメージなのではないだろうか。 少なくとも私は、そうだっ...
恐らく多くの人が、本書のタイトルと、フランケンシュタイン博士が作り出した怪物のイメージは持っていると思う。 しかしそれは、フランケンシュタイン原作から得たイメージでは無く、人間によって作り出された、継ぎ接ぎだらけの怪物というイメージなのではないだろうか。 少なくとも私は、そうだった。 改めて本書を読んでわかったことは、フランケンシュタインとは藤子不二雄先生が書いたユーモラスな怪物ではない。 古典的な怪奇物語であるということ。 決して明るい物語でもない。 でも、そういえばフランケンシュタインって何だ?と思ってしまった人は、一度は読んでおくべきだと思いました。
Posted by
なんとなくぼんやりとは知っているつもりだったフランケンシュタインが、実は全然知らなかった。だいたい著作が女性だったとは。
Posted by