フランケンシュタイン の商品レビュー
恐ろしくも美しく、身勝手で哀しい物語。 最期の怪物のセリフは、心からの叫びとして胸に突き刺さる。 俗っぽい言い方をするなら…、 「ただし、イケメン(≒容姿普通以上)に限る」。 作中幾度となく人間のもつ性善説的な描写に出くわすけれも、それも相手の容姿ひとつで簡単に翻ってしまう。 ...
恐ろしくも美しく、身勝手で哀しい物語。 最期の怪物のセリフは、心からの叫びとして胸に突き刺さる。 俗っぽい言い方をするなら…、 「ただし、イケメン(≒容姿普通以上)に限る」。 作中幾度となく人間のもつ性善説的な描写に出くわすけれも、それも相手の容姿ひとつで簡単に翻ってしまう。 心地よい登場人物たちの交流が、怪物の存在から途端に軽薄なものにも見えてしまう。 ここまで性善説的な美徳と、偽善的な見方と、迫害される側の哀しみが同居しているのはある意味面白い。 風景描写はとにかく美しい。それがまた怪物の容姿や恐怖、悲哀を際立たせる。…この手法、むごい。 それにしても…。 怪物に対して「フンガー!」(cv.兼本新吾)と、西洋妖怪軍団の脳筋キャラを植え付けてしまった日本アニメの罪は大きい…。 (藤子先生、水木先生のせいばかりじゃないけどさ) これほどかわいそうで、かなしくて、時に優しくて、魅力的なキャラはいないのに~。 さて、こうして読破して原作勢となった今。 原作準拠の怪物を日本アニメでも出すことを強く要望する! 根は優しくて、力持ち。 さらに西洋文学にも通じた、読書家で勉強家。 戦えば強いけど、物事を論理的に考えられる。 でも自暴自棄になると手がつけられない、過激な寂しがり屋。毒親を憎みつつも、彼から親としての愛情をほしいと思っている…。 ん?主人公キャラ? なんにせよ、彼ならば、西洋妖怪軍団のよき参謀役となるでしょう。 そして、奇妙キテレツな容姿の日本妖怪に馴染みのある日本の子供達とは、きっと仲良くなれるでしょう…。 …という、夢想をついしてまうくらい、いいキャラです。
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映画未見。断片映像でちょっとみたことあったくらいだから読んだときにこんなに怪物に知能があるのかと驚いた。 愛されない怪物かわいそ…勝手に映画の映像でB級ホラーかと思っていたが全然違う
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10代の頃、ロバート・デ・ニーロ主演、ケネス・ブラナー監督(ヴィクター役も彼)の映画(フランケンシュタイン」を観て、涙が止まらなかった事を思い出した。原作を読んでみると、あの映画はかなり原作に忠実な作品だったんだなと感じた。 風景描写に力を入れている箇所があり、その美しさが怪物の...
10代の頃、ロバート・デ・ニーロ主演、ケネス・ブラナー監督(ヴィクター役も彼)の映画(フランケンシュタイン」を観て、涙が止まらなかった事を思い出した。原作を読んでみると、あの映画はかなり原作に忠実な作品だったんだなと感じた。 風景描写に力を入れている箇所があり、その美しさが怪物の孤独さをより引き立てている。
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ヘンリーにお気楽さを感じてしまう メアリーシェリーも夫パーシーの詩人たるロマンティシズムに同じものを感じてたのかも、とか
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廣野由美子著『批評理論入門』を読むために、まずテクスト『フランケンシュタイン』を。創造者フランケンシュタインの身勝手によって、不幸な生を生きることを強いられた怪物の姿が哀切。北の氷原を犬橇を操りながらフランケンシュタインの追跡から逃れている日々こそ、誰からも愛されず関心を持たれな...
廣野由美子著『批評理論入門』を読むために、まずテクスト『フランケンシュタイン』を。創造者フランケンシュタインの身勝手によって、不幸な生を生きることを強いられた怪物の姿が哀切。北の氷原を犬橇を操りながらフランケンシュタインの追跡から逃れている日々こそ、誰からも愛されず関心を持たれなかった怪物にとって幸せな日々だったのではあるまいか、と思わされた。こんな傑作を弱冠二十歳の女性が書いたのか! さあ『批評理論入門』読むか。
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「知識を得るのがいかに危険なことかを知っていただきたい。人間として許された以上の存在になろうという大それた野心を抱くよりも、生まれた町が全世界だと信じて暮らしている者のほうが、はるかに幸せだということを理解してほしいのです。」
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怪物誕生は何を意味するか。『フランケンシュタイン』は、子供を産むことに対する母親の不安を描いた「出産神話」であるとする考察がある。確かに、作者メアリは、自身の誕生により母親を亡くし、彼女自身も度重なる流産を経験していることから、出産に対するトラウマを怪物誕生のドラマとして具現化し...
怪物誕生は何を意味するか。『フランケンシュタイン』は、子供を産むことに対する母親の不安を描いた「出産神話」であるとする考察がある。確かに、作者メアリは、自身の誕生により母親を亡くし、彼女自身も度重なる流産を経験していることから、出産に対するトラウマを怪物誕生のドラマとして具現化したと考えることも十分可能であろう。そのような観点から見ると、他の小説には無い独創性を持つ作品だと感じられる。
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読んだらガラッと印象が変わりました。こんな話だったんだ!と結構な衝撃。少しの愛情さえあれば全然違った方向に進んでいたのではないか。救われる方法が何かあったのではないか。モヤモヤが拭えなくて心揺さぶられる。読んだそばから再読したくなる素敵な一冊。
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世界初のSF作品で、「こんなにSFやったんだな」と感じる作品。 科学技術の発展に対する不安心あるいは好奇心が伝わってくる感じが如何にもSF。
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バグダードの〜を読む前に、忖度的に読んでみた。 思いの外とっても苦しい、怪物を怪物たらしめたのはシュタインくんじゃないか
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