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怒りの葡萄 新訳版(上) の商品レビュー

4.4

11件のお客様レビュー

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2025/11/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大恐慌時代のアメリカ。資本主義の波に飲み込まれ翻弄される人々。 描写は微に入り細を穿つ。ふとした文章が目に止まる。翻訳も上手いのだろうが、綺麗だな、と思う。 儚さというよりも、最後の最後まで強い光を灯して燃え尽きるような、そんな物語と文章だった。

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2025/09/09

1930年代当時のオクラホマの大自然(特に小動物)が細かく描写されていてとても楽しめています。1930年代に実際に起こった事象が題材になってますが、100年近くたった今も世界中で移民問題が絶えていないことから、現在でも解決できていないテーマだなと感じました。

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2025/09/07

”オクラホマの赤い土地と、灰色の土地の一部に、最後の雨がやさしく降った。(中略)空の色が淡くなったのと同じように大地の色も淡くなり、赤い土地はピンク色に、灰色の土地は白っぽい色になった。”(P.7) 1930年代のアメリカの荒野を、心の中に描くことができたのは、スタインベックの...

”オクラホマの赤い土地と、灰色の土地の一部に、最後の雨がやさしく降った。(中略)空の色が淡くなったのと同じように大地の色も淡くなり、赤い土地はピンク色に、灰色の土地は白っぽい色になった。”(P.7) 1930年代のアメリカの荒野を、心の中に描くことができたのは、スタインベックの色の使い方によるところが大きい。背景に過ぎないといえばそれまでだが、その背景を具体的にイメージできれば、物語に没入することが出来る。 貧しいながらもなんとか生計を立てていたジョード一家にも、資本主義の荒波が容赦なく降りかかった。大陸を西へと横断した遥か彼方、カリフォルニアでの再起のチャンスを聞きつけ、なけなしの金で買った中古車一台で、その地に出発する。 ”明日は何とかなるさ”という男どもの楽天的な見通しと、自分たちがやろうとしていることへの不安をひそかに抱える母ちゃんの対照的な態度が鮮やかで、新しい事態が生じた時に、どのようにそれに立ち向かうのか(あるいは立ち向かわないのか、)が、具体性を持って描かれている。

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2025/07/19

カリフォルニアの描写うつくしいな... 「怒りの葡萄」の意味のところも震えが来るような怒りが真にせまっていて美しいほど。

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2021/07/13

生まれた土地を追いやられ、たった一枚のチラシに夢を託し、遠い遠いカリフォルニアの地を目指す小作農が主人公の物語。 貧富の差の拡大により、富める者はますます富み、飢える者はますます飢えていく、現代社会にも通じる問題が今以上にリアルに感じられる。 人生のどん詰まりにうって、それでも生...

生まれた土地を追いやられ、たった一枚のチラシに夢を託し、遠い遠いカリフォルニアの地を目指す小作農が主人公の物語。 貧富の差の拡大により、富める者はますます富み、飢える者はますます飢えていく、現代社会にも通じる問題が今以上にリアルに感じられる。 人生のどん詰まりにうって、それでも生き続けなければならない彼らが、やっとの想いで辿り着いた西の大地は確かに美しく、またそれ以上に残酷な現実を突きつけていく…。 登場人物たちの息遣いとその苦しみまで聞こえてきそうな迫力ある描写に、一気に引きこまれる。 彼らの怒りが向かう先は果たして…

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2021/01/16

世界文学の名作は様々な読み方ができるもので、本作もいろんな思いが去来するが、資本主義の下で人間がゴミのように扱われる様は時代を超えた迫力をもって迫る。ジョード一家のように何の救いもない状況に陥った人々もいただろうし、絶望的な状況を逞しく生き抜いた人々もいただろう。敬意と哀悼を感じ...

世界文学の名作は様々な読み方ができるもので、本作もいろんな思いが去来するが、資本主義の下で人間がゴミのように扱われる様は時代を超えた迫力をもって迫る。ジョード一家のように何の救いもない状況に陥った人々もいただろうし、絶望的な状況を逞しく生き抜いた人々もいただろう。敬意と哀悼を感じる。 ふと感じたのは、現代の我々がもしこうした状況に追い込まれたとき怒りの葡萄を心に持つことはできるだろうかということ。平和ボケの軟弱な精神を持つ我々現代人は、分かりやすい異分子や弱者を捌け口として怒りをぶつける悪癖を共有しているが、強大なシステムが我々を押しつぶそうとしたときに、正しい怒りというか、その理不尽さに怒り闘うことができるだろうか?安易に迎合してシステムの下層に組み込まれることを拒否できるだろうか? そのように自問した作品であった。

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2020/08/16

 世界文学の名作で敬遠していたが、今荒れるアメリカのものに何となく惹かれて読んでみた。図書館で借りた河出書房の世界文学全集、訳は石一郎でわかりやすい日本語で良いが、登場人物らんを読むとあら筋がわかってしまう難点あり。しかもトラックに乗る人物しか説明ないので不要(必要な場合も世界の...

 世界文学の名作で敬遠していたが、今荒れるアメリカのものに何となく惹かれて読んでみた。図書館で借りた河出書房の世界文学全集、訳は石一郎でわかりやすい日本語で良いが、登場人物らんを読むとあら筋がわかってしまう難点あり。しかもトラックに乗る人物しか説明ないので不要(必要な場合も世界の名作ではありがちだが)。  東側のオクラホマの耕作地を追われてカリフォルニアへ仕事と生活を求めて家族でトラックでの大移動。この作品を聖書に匹敵する内容と語る人もいるが、確かに土地と人間の結びつき、苦境にたったときの振る舞い、持たざる者同士の協力、苦しい道からの逃避、など人間の生き方を語っていると思う。それまでの暮らし方を捨てて次々変わる状況にたくましく対応する人、できない人、1ドルも稼げない状況なのに酒代に2ドル使って泥酔する人、旅の途中で突然放棄する人…一つの家族に老人から子供までいて、それぞれの大移動の受け止め方、来し方、振るまいが書き分けられていて社会の縮図を感じる。「百年の孤独」に通じるところあり。  タイトルからカリフォルニアで葡萄を育てる話かと思っていたが違った。解説で読んだが怒りの気持ちが葡萄のように人間の中で育っていく、という聖書関係の文言から。舞台も1930年代というからさほどの昔でもない。持てるものが奪われないように新参者を苛める、持たざる外国人が搾取される話は現在にもつながる話だ。  作者が実際に移民のキャンプに参加して書いているのでリアルなのが魅力になっている。作者はこの作品の映画化でできるお金を難民に配布する意向を持つほど難民に同情心を保っていたが、自分や作品に政治色がつくのを避けたとのこと。

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2020/08/12

土地を追いやられる人々。追いやられるのは土地だけでない。人間性そのものだ。家族、コミュニティが切り裂かれていく。元説教師のこれからの言葉はどうなるのだろう。

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2019/05/30

葡萄を求めて本書を手に取ったが今のところ憧れの目的地の象徴程だろうか? ハヤカワepi文庫版の訳を選んでみたが読みやすかった。かなり昔の小説だが色褪せない。視点の切り替えや描写中の視線誘導、キャラ立てが上手くてとても面白い。上巻はカリフォルニアへの旅の話で、土地を追われた悲しみと...

葡萄を求めて本書を手に取ったが今のところ憧れの目的地の象徴程だろうか? ハヤカワepi文庫版の訳を選んでみたが読みやすかった。かなり昔の小説だが色褪せない。視点の切り替えや描写中の視線誘導、キャラ立てが上手くてとても面白い。上巻はカリフォルニアへの旅の話で、土地を追われた悲しみと行く先への不安が、カリフォルニアへ近付くにつれて重くのしかかってくる。キリスト教のモチーフも多々出てきており下巻が楽しみ。

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2015/10/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

スタインベックの作品を初めて読んでみました。 登場人物のセリフがとても心に残り、ながい映画を観ているようでした。 まだ見ぬ地を目指してある家族がルート66に乗りカリフォルニアを目指す話なのですが、大きな家族の中には前進することに不安を持つメンバーもいて、そんな大所帯を説得しながら前に向かう長男やお母さんに深く共感できました。 上巻の半分以上を使って家族が故郷を離れるまでのエピソードが描かれているのですが、遠い昔の話と思えないほどリアルに感じられました。 なかなか決断を下せないのはどの時代も同じだな。。。 それでも前を向いて進んでいく一家の話からは多くの勇気をもらいました。

Posted byブクログ