夜の木の下で の商品レビュー
+++ 話したかったことと、話せなかったこと。はじめての秘密。ゆれ惑う仄かなエロス。つないだ手の先の安堵と信頼。生と死のあわい。読み進めるにつれ、あざやかに呼び覚まされる記憶。静かに語られる物語に深く心を揺さぶられる、極上の傑作小説集。 +++ 表題作のほか、「緑の洞窟」 「焼却...
+++ 話したかったことと、話せなかったこと。はじめての秘密。ゆれ惑う仄かなエロス。つないだ手の先の安堵と信頼。生と死のあわい。読み進めるにつれ、あざやかに呼び覚まされる記憶。静かに語られる物語に深く心を揺さぶられる、極上の傑作小説集。 +++ 表題作のほか、「緑の洞窟」 「焼却炉」 「私のサドル」 「リターン・マッチ」 「マジック・フルート」 +++ 記憶の中では、世界はいつまでもそのままであり、それでいて気づかないほどわずかずつ姿を変える。そんな確かであって不確かな世界を漂うような印象の物語たちである。決してしあわせいっぱいではない主人公たちの秘められた思いがゆらゆらと揺蕩っているような一冊である。
Posted by
短編集として、これはダントツ、という作品も 苦手だという作品もありませんでした。 サドルと会話するお話は面白かったです。 総じて記憶に残りにくい一冊でした。
Posted by
久々の湯本 香樹実さん。 時を置いてゆっくりと語られる記憶だったり、 自転車のサドルが突然話しかけてきたり、 交通事故で意識不明の弟を思う姉の気持ちとその姉を“あいだのとこ”で見つめる弟だったり。 なんて書くとファンタジー? OR オカルト? なんて言われそうだけど、 ...
久々の湯本 香樹実さん。 時を置いてゆっくりと語られる記憶だったり、 自転車のサドルが突然話しかけてきたり、 交通事故で意識不明の弟を思う姉の気持ちとその姉を“あいだのとこ”で見つめる弟だったり。 なんて書くとファンタジー? OR オカルト? なんて言われそうだけど、 いえいえ、普通の人たちの話なんですよ、と。 それぞれ、ひっそりした語り口が優しくて気持ちがとても静かになったし、 一度読んで、ちょっと間をおいて再読したら、 なおさら、その面白さが沁みてきて、うん、よかった! いい出会いができて嬉しいです。(#^.^#)
Posted by
短編集ですが、一貫したテーマは生と死なのかもしれない。どの物語も静かに進んでいく。この作家さんの本は久しぶりでしたが、また読みたくなりました。装丁がとても素敵です。
Posted by
装画がとてもいい。相手の想いの中へ連れて行ってくれそうな装画だ。いっしょにすごした時間の中へ連れて行ってくれる。
Posted by
「夜の木の下で」やっぱり帯にあった言葉は本文の中にあっても秀逸。「もし恋というものが、相手の持っている時間と自分の時間を重ね合わせたいと願うものなら、あのとき僕はもう、恋をしていたのだ。」相手と同じ時を過ごしたいっていうのは理屈じゃなくて衝動。はたからみてアンバランスでも。
Posted by
雰囲気がとても好き!!特に1,4,6話目!〈緑の洞窟〉二本のアオキの木の下の洞窟。腐葉土の匂い。〈焼却炉〉生理用品が燃えていく。〈私のサドル〉好きだった城ヶ崎くん。彼への思いを、自転車のサドルは理解していた。〈リターン・マッチ〉あいつは、自分をいじめていた奴らを一人ずつ呼び出して...
雰囲気がとても好き!!特に1,4,6話目!〈緑の洞窟〉二本のアオキの木の下の洞窟。腐葉土の匂い。〈焼却炉〉生理用品が燃えていく。〈私のサドル〉好きだった城ヶ崎くん。彼への思いを、自転車のサドルは理解していた。〈リターン・マッチ〉あいつは、自分をいじめていた奴らを一人ずつ呼び出して決闘を申し込んだ。勝ち目なんかないのに。あいつはほんとうに命をかけていたんだ。〈マジック・フルート〉僕らは『幸いあれ求める人よ』の口笛を吹く。猟師のために、自らの体を少しずつ差し出す蛇。〈夜の木の下で〉捨ててしまったキジ白の猫。
Posted by
短編集6編 それぞれ珠玉のような情景があって、アオキの陰に蹲る双子の弟、焼却炉で燃える炎、しゃべるサドルや屋上の決闘、特に楠の花咲く夜の公園のむせかえるような香りと猫と缶酎ハイを飲む弟の姿は印象的だ。カバーの絵もとても雰囲気にあってる。
Posted by
緑の洞窟、焼却炉、私のサドル、リターン・マッチ、マジック・フルート、夜の木の下で 回想される少し不思議な短編集 幼い頃の話が多かったけれど青春小説というわけではなくて、ものがたりというようにするする読めた。
Posted by
短編6作。 こうのかなえさんの装画そのままのイメージ。 静かでしっとり、少し冷たいけど寂しくないみたいな。
Posted by