ジュンのための6つの小曲 の商品レビュー
神前酔狂宴を読んで興味を持って図書館で借りた。 あまり好みではなかったが、なんとなく読了。 小谷田奈月さんの本、2冊とも私からは出てこない表現・文章だな、と思う。
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『ジュン』は音楽家だ。彼の前では言葉は意味を持たず、全ての音となる。 ジュンは彼女との出会いで、自分は楽器だったのだと気付く。彼女の名は『エイプリル』、演奏家で、曲を作るクラスメートの『トク』のギターだった。 ジュンは常日頃の奇行から、皆に「弱い」と思われている中二の男子。確か...
『ジュン』は音楽家だ。彼の前では言葉は意味を持たず、全ての音となる。 ジュンは彼女との出会いで、自分は楽器だったのだと気付く。彼女の名は『エイプリル』、演奏家で、曲を作るクラスメートの『トク』のギターだった。 ジュンは常日頃の奇行から、皆に「弱い」と思われている中二の男子。確かに自閉症とかADHDとか、何かしらの障害児に該当するのだろう。とても素晴らしい声の持ち主で全てを歌にしてしまえるけれど、独自の言葉(音)にしてしまうためバカにされている。ある意味独特の才能があるのだろうけれど、どうしても親目線で読んでしまうので大変だろうなという思いが先に立ってしまう。 もう1人の少年トクは、比較的普通の男の子。悩みの種は親、主にと言うかほとんど父親のカン。まあ時期的なせいもあるのだろうけれど、あの父親じゃ苦労するだろうなと、こっちは子ども側が気の毒。 そんな二人が音楽を通して出会い、一つの目的に向かうわけだが・・・ 転機となるのが、ジュンがクラスメートに意味なく暴力を振るわれたとき、「こんなのもう無理」というトクの叫び。常日頃バカにされてはいてもジュンが平気そうだから「ま、いっか」と思っていたけれどもう無理だ、と。きっといじめを見ている大半の子はこんな風に思っていそうだな。さらにジュンにも苛立ち「お前は誰と喋ってんの?」と。初めてトクは本音をぶつけ、ジュンはトクと向き合う。エイプリルの持ち主ではなく、カンくんの子どもでもないトクに。このシーンに一番心を揺さぶられた。
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きらめくような文章。読んでいて心が弾んだ。 少し前のわたしだったら、主人公ジュンの友人のトクの目になって読んで、ときにジュンのふるまいにイライラしながら読んだかもしれない。 子どものいる今は、ジュンも、トクも、そのほか彼らをとりまくみんながのびのび健やかに過ごしてほしいなと願う。
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大田図書館まで自転車で借りに行った1冊目。すごいざわざわするんだけど説明できない。説明しようとすると陳腐化するようなことしか言葉として出てこない。次は『望むのは』を読むべきか『風下の朱』を読むべきか。
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変わった言動で周囲からバカにされるが、音楽には特殊な才能を発揮する14歳の少年の物語。 少年には、耳に入る音だけでなく、色や光景までもが音楽に変換されていく。自分は楽器と名乗り美しい歌声を披露する様は何ともピュアで、そのうきうきする心を表現する文章も魅力的だ。 が、発達障害と思...
変わった言動で周囲からバカにされるが、音楽には特殊な才能を発揮する14歳の少年の物語。 少年には、耳に入る音だけでなく、色や光景までもが音楽に変換されていく。自分は楽器と名乗り美しい歌声を披露する様は何ともピュアで、そのうきうきする心を表現する文章も魅力的だ。 が、発達障害と思われる少年を取り巻く環境は、かなり厳しい。そこかしこに挟み込まれる主人公の言動はリアルで、友人たちとの関係もきれいごとばかりではない。この先も、けっして生きやすいとは言えない人生が待ち受けているはずだ。が、少数の理解者を得て悪意を蹴散らし、力強くはばたいていくクライマックスは秀逸。 デビューから2作目ということで、粗さはあるものの、瑞々しい感性がきらめく素敵な一冊だった。
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すごく良い。 止まる暇もなく、一気に読んだ。 登場人物がみんなみずみずしい。 音楽の神様に愛された少年たち。 続編を読みたい気もするけど、これで終わりかな?
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自分は楽器、という中学生の音に満ちた生活。 アホジュンと呼ばれる現実には胸が痛くなるけれど、発達障害?自閉症?の世界の見え方の一端を瑞々しく感じることができる小説でした。 描くのが難しい世界だと思いますが、とてもすばらしい文章で見事な作品です。 たくさんの人に読んで欲しいなあ・・...
自分は楽器、という中学生の音に満ちた生活。 アホジュンと呼ばれる現実には胸が痛くなるけれど、発達障害?自閉症?の世界の見え方の一端を瑞々しく感じることができる小説でした。 描くのが難しい世界だと思いますが、とてもすばらしい文章で見事な作品です。 たくさんの人に読んで欲しいなあ・・・。
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http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?amode=11&bibid=TB10070879
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生活の中の音も色も質感も、すべて音楽の素材にしてしまう。そんな少年・ジュンの、幸福の予兆で満ちあふれた一日から始まる冒頭。でもその調和はすぐ終わり、発育の遅いアホな子として疎んじられている現実が明らかに。常識人のクラスメイトをはじめ、子どもみたいな大人やアブナイ音楽家がジュンの存...
生活の中の音も色も質感も、すべて音楽の素材にしてしまう。そんな少年・ジュンの、幸福の予兆で満ちあふれた一日から始まる冒頭。でもその調和はすぐ終わり、発育の遅いアホな子として疎んじられている現実が明らかに。常識人のクラスメイトをはじめ、子どもみたいな大人やアブナイ音楽家がジュンの存在に気づいて脱皮していくようなストーリー、ジュンが感じる鮮やかだったり哀しかったりする色や音の描写、屈託ないやりとり、どれも素敵。どんな状況でも歌えれば幸せだったわがままなジュンの世界がとうとう歌だけでなくなったラストに打たれた。
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