いたいのいたいの、とんでゆけ の商品レビュー
「始まりのさよなら」 文通の終わりは。 友人を心配させたくないあまりについていた嘘が、出会うことにより露見するのはきっと自分のプライドが許せなかったのだろうな。 「ありきたりな悲劇」 再び手紙を君に。 自暴自棄という言葉が一番当てはまるであろう行動だが、人を巻き込んでしまって尚...
「始まりのさよなら」 文通の終わりは。 友人を心配させたくないあまりについていた嘘が、出会うことにより露見するのはきっと自分のプライドが許せなかったのだろうな。 「ありきたりな悲劇」 再び手紙を君に。 自暴自棄という言葉が一番当てはまるであろう行動だが、人を巻き込んでしまって尚且つ殺してしまったらそれはただの人殺しと同じだろうな。 「点数稼ぎ」 一つ目の依頼。 自分の死が分かっているからこその報復なのだろうが、それは本当に彼女が死ぬ前にやりたかった事の一つになるのたろうか。 「腰抜けの殺人鬼」 過去の傷への報復。 彼女がどんな生活を送ってきたのか少しずつ分かりかけてきた気がするが、その中から選んだ者に報復する事が死ぬ前に一番したい事になるのは何だか悲しいな。 「少女と洋裁鋏」 思い出したが最後。 いじめ等の加害者は時間が経てば相手の顔すら忘れてしまうのだろうが、被害者だった者は何年経とうと顔だけで無く当時された事全てを覚えているのだろうな。 「いたいのいたいのとんでゆけ」 慢心が招いた油断。 これまでが逆に上手く行きすぎていたのだろうと思えるほどの、心身共に疲弊するような反撃を食らった訳だが病院に行かず大丈夫なのだろうか。 「賢い選択」 気付いた自分の気持ち。 いつからか彼の言動に違和感があったのは確かだが、それは報復という名の殺人にあてられ狂気じみた物が開花しているように思えたが全くの勘違いだったな。 「彼女の復讐」 彼女が彼に与えた罰は。 最後には自分がと覚悟し尚且つ好きな人の手で殺められるのならと思っていた者にとって、彼女のとった行動は残酷でしかなかったろうな。 「そこに愛がありますように」 彼との再会は過去に。 何処から彼女の無かった事にするが続いていたのかと思えば、彼との出会いは必然で彼を殺さず自らが殺されるのも約束の末の出来事だったのだな。 「おやすみなさい」 全てが終わる時まで。 この場合最終的に誰が生き残り誰が亡くなるのか時系列通りだと有り得ない事ばかりだが、どちらの世界も存在したのなら二人の願いは叶い同じ場所に逝けるのではないだろうか。
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なるほど。こうきたか… 途中、こうなると良いなぁと思った事が そうなって、いやぁ良かったなぁ と思ったら、最終章で(良い意味で)裏切られた。 いつもこの人の本にはやられてしまう。 さて、つぎは何を読もうか…
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僕に殺された少女は、死の瞬間を“先送り”することによって十日間の猶予を得た。彼女はその貴重な十日間を、自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意をする。「当然あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」復讐を重ねていく中で、僕たちは知らず知らずのうちに、二人の出会いの裏に隠...
僕に殺された少女は、死の瞬間を“先送り”することによって十日間の猶予を得た。彼女はその貴重な十日間を、自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意をする。「当然あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」復讐を重ねていく中で、僕たちは知らず知らずのうちに、二人の出会いの裏に隠された真実に近付いていく。それは哀しくも温かい日々の記憶。そしてあの日の「さよなら」。(e-hon)より
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題名のとおり、痛いの痛いのとんでゆけだねっ なんて痛くてつらい話なんだろぉ でもふたりはたくさんの時間一緒に過ごせて良かったぁ
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
飲酒運転で死亡事故を起こしてしまった瑞穂。しかし、事故で死んだはずの少女はそれを「なかったこと」にした。今まで自分を傷つけてきた存在への復讐のために死んでも生きる少女。瑞穂は彼女の復讐を手伝うこととするが…。 少女の受けた虐めや虐待のシーンが辛すぎて、再読をためらっていた本。読み始めたらあっという間だった。三秋作品らしく、不幸の中のほんのりささやかな(救いに見えない)救いの話だった。でも実は、先送りシステムがよくわかってなくて。永遠の17歳の彼女のまわりはどうだったのかな。でも同級生は年重ねてたよね。
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この人の作品は異常さの針が振り切っているものが多いので、作品ごとに、読者ごとに評価が分かれるのものが多いかもしれない。 自分は、やはりこの物語は救いがなさすぎるように感じて、辛く思えてしまう。辛すぎて主人公たちに感情移入することができそうにないほどに。 でも、多分物語の当人たちは...
この人の作品は異常さの針が振り切っているものが多いので、作品ごとに、読者ごとに評価が分かれるのものが多いかもしれない。 自分は、やはりこの物語は救いがなさすぎるように感じて、辛く思えてしまう。辛すぎて主人公たちに感情移入することができそうにないほどに。 でも、多分物語の当人たちは幸せで救われているのだ。どれだけ異常でも、それを空想世界に押し込めるのではなく、現実に存在しうる世界のかたちとして描き出す能力がこの作者にはあって、その世界に読者はどうしようもないほど惹かれてしまうのだ。きっと。
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かつて文通をしながら密かに想いを寄せていた霧子へもう1度会うため、僕は手紙を書く。 待ち合わせの時間を過ぎても彼女は現れず、瑞穂はとうとう嫌になった。 自暴自棄になり、酒を飲んで、車を飛ばす。 酒が回り、意識がはっきりしなくなった時、瑞穂は交通事故、それも、人を殺す程度には酷い...
かつて文通をしながら密かに想いを寄せていた霧子へもう1度会うため、僕は手紙を書く。 待ち合わせの時間を過ぎても彼女は現れず、瑞穂はとうとう嫌になった。 自暴自棄になり、酒を飲んで、車を飛ばす。 酒が回り、意識がはっきりしなくなった時、瑞穂は交通事故、それも、人を殺す程度には酷いものを起こしてしまった……はずだった。 自分が轢いてしまった少女は、いつの間にか自分の車へ乗り込んでいた。 状況が飲み込めない瑞穂に、彼女は言う。 「私、死んじゃいました。どうしてくれるんですか」 起こったことを先延ばしに出来る少女と、自暴自棄になった少年。 決してあり得なかった、2人で過ごす時間。 2人は、次第に気づいていく。 ーーー僕は、自分が轢き殺した少女に、恋をした。 あとがきから読むと、この話で言わんとしていることが分かる気がする。 一度最初から最後まで読んで、あとがきを読んで、再び最初から読むと、なるほどそういことか、となる。 2度楽しめそうなので、私ももう一度読んでみることにする。
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瑞穂を巻き込んだ霧子の復讐は、何か別のカタチにすることはできなかったのかな。衝動的な殺意を持ったことはあるけど、復讐という殺意はちょっと違うものだと思う。執念のある殺意みたい。霧子みたいな酷い虐めにあったことはないからオイラにはわからない。できれば、そうした殺意につながるような恨...
瑞穂を巻き込んだ霧子の復讐は、何か別のカタチにすることはできなかったのかな。衝動的な殺意を持ったことはあるけど、復讐という殺意はちょっと違うものだと思う。執念のある殺意みたい。霧子みたいな酷い虐めにあったことはないからオイラにはわからない。できれば、そうした殺意につながるような恨みは知らないままでいたい。 霧子の瑞穂との再会は最悪なカタチだったけど、瑞穂と気が付いた段階で復讐じゃない別の過ごし方だって選べたのに、と思う。血生臭い復讐の中での「いたいのいたいの、とんでゆけ」はギャップがあってインパクトがあった。オイラとしては親が子供に言うようにもう少し優しい状況で言ってほしい言葉なので、ラストシーンにホッとした。
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同作者の別作品がとても好きなのですが...虐待やいじめの描写がつらくて途中読むのをためらいました。 全体的に薄暗い雰囲気の作品です。
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