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娘と私 の商品レビュー

4.4

12件のお客様レビュー

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2015/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前半の部分は獅子文六とは何と身勝手な男だろうと思って読んでいました。 でも話は最初から興味深くて引き込まれて行きました。 読み進むうちに獅子文六の娘に対する深い愛情があふれている事が分かってきます。 獅子文六が結婚という制度に向いてないことや、 子育ても出来る事なら放棄したいという気持ちを持ちながら後半では立派に娘を嫁に出し終えてほっとしているが少し寂しい気持ち等が素直に書かれていて、好感が持てました。 獅子文六の生き方も素敵でした。 もっと早くこの小説を読んでいたら男心が理解出来たかも知れません。 この本を読むのに10日間もかかりました。 少し長いですが、毎日サクサクと読め、私的には久しぶりのヒット作で面白かったです。

Posted byブクログ

2015/02/09

この小説は 1953年から1956年にかけて雑誌に連載された小説。今読んでみると昭和の小説でありながら現代小説ではなく、かといって古典でもない。この半世紀の間に日本の価値観や文化が著しく変化したということに驚かされた。 ほとんど著者の自伝的小説といえる作品。昭和初期にフランス人と...

この小説は 1953年から1956年にかけて雑誌に連載された小説。今読んでみると昭和の小説でありながら現代小説ではなく、かといって古典でもない。この半世紀の間に日本の価値観や文化が著しく変化したということに驚かされた。 ほとんど著者の自伝的小説といえる作品。昭和初期にフランス人との国際結婚で得た一人娘を母親の死によって男手で育てていく。またその途中から再婚して娘にとっての新しい母親を迎え、家族を形成していく姿、そして娘の結婚までを描いている。 この時代の中流家庭がどのような生活をし、また第二次世界大戦をどのように受け止めていたかを実感できた。私自身、戦争は知らないが市井の人々はアメリカとの開戦まではそれほど切迫感や暗さはあまりなく、日常を淡々と過ごしていたのだと感じた。 また男女の関係は今この小説のような表現や内容では男尊女卑と言われそうな書き方をしている。それだけ、男女平等という関係が変化していったのだろう。若い人が読めば、私以上にその変化に驚かされるだろう。 ただ、表現や行動等は今とは違っても、父が娘を思う気持ちは変わりない。あの時代に国際結婚で生まれたハーフの子ども、しかも母親を幼いときに亡くし、新しい母親を迎えるまでの数年は本当に著者にとっては親鳥が雛を守るように必死に育てたという感覚がその行間にあふれている。 昭和初期の普通の家庭の日常や価値観を知ることが出来る作品だ。

Posted byブクログ