猫舌男爵 の商品レビュー
5編の短編のうち「睡蓮」「猫舌男爵」が特に面白かった。 どちらも地の文がなく、手紙や日記をめくりながらストーリーを埋めていく文章で、その開き方が鮮やかで気持ちい。 皆川さんの著作を読んでいく中で、鶴屋南北や鎌倉権五郎などのモチーフに複数回出会えるのが少し嬉しい。
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短編集。表題作は、読めない日本の稀覯本『猫舌男爵』を巡る外国人翻訳家ヤンと関係者の話。ヤンの余計な気遣いで家庭崩壊しかけているコナルスキ氏が、最後に一応の平穏を取り戻してよかった。「睡蓮」手紙を遡るごとに女性画家の真実が見え、その生涯を噛みしめながら、彼女の美術展に赴いた気持ちになる。「太陽馬」ロシア内戦下で、少尉に随従するコサック兵の秘話。物語を託された側は生き抜いて欲しい。他二作品。
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タイトルからの直感のみで棚差しから購入。 解説まで読んではじめて、この作品集の肝が理解出来た。 一見すると全くバラバラに独立した五つの短編集のようで掴み所がないが、丁寧に読み込むことで物語同士が共鳴するとは驚き。読み手が気づく事で、各物語の’孤独’が救われる。 第一印象では「オムレツ少年の儀式」「猫舌男爵」が好き。結局、猫舌男爵についてはわからずじまいだったが、みんな幸せな結末を迎えてなにより。 繰り返し読み必至。 1刷 2021.6.12
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皆川博子は過去の異国へ誘ってくれるから好きだけど、何かしらのトラウマを残していくので、もうちょっと当分はいいかな…という気持ちになった。『水葬楽』、『睡蓮』は良かった。
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面白かったです。 SFとコメディと幻想と…いろいろな色のお話たちでした。 表題作は笑い過ぎました。皆川さんこういうのもお書きになるんだ。ハリガヴォ・ナミコが皆川博子のアナグラムって気付かなかったけど…そして皆川さんの初期?に針ヶ尾さんのお話あるのですね。 「私は猫です」の活用…確...
面白かったです。 SFとコメディと幻想と…いろいろな色のお話たちでした。 表題作は笑い過ぎました。皆川さんこういうのもお書きになるんだ。ハリガヴォ・ナミコが皆川博子のアナグラムって気付かなかったけど…そして皆川さんの初期?に針ヶ尾さんのお話あるのですね。 「私は猫です」の活用…確かに、これ読んでると日本語ってつくづく変わってるなと思います。 結局誰も「猫舌男爵」を読めていないし、話も噛み合わないのに、ラストは皆さん幸せになる。良いなぁ。 「水葬楽」がとても好きでした。 死が近付くと容器に入り、液体の中で暮らす人々。それを見詰める兄妹は結合児で…。選別された妹だけど、なかなか衰弱が始まらないのがゾッとします。Back Ground Poemがとてもいい雰囲気です。 「オムレツ少年の儀式」もラストの鮮やかさ!と思います。 「睡蓮」も良かった…書簡を時系列の逆から描いていく。これは狂う、と思いました。エーディトの絵、見てみたいです。 「太陽馬」の作中作が好きです。ナチュラルに、内戦中のロシアの描写と繋がるのにおおっとなりました。 解説がヤン・ジェロムスキくんだ!熱い文章で笑ってしまいました。訳者の垂野さんは実在するようなのでこの方の文章なのかな?面白いです。
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表題作があって、解説がそうなら 各作品のなかで現れる現実と幻想の境は この本を読みおわった時点で、さらにあいまいで ふとした瞬間にグニャリと歪んでしまいかねない。
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多彩で美しくて後味の良い短編集。扱うジャンル、文体、世界観、人物像なんかが見事に合致していて、ああ文で味わえてなんて嬉しい、とにやにやしてしまいました。
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2/13 読了。 純粋な水が注がれた密閉された箱の中で長期的安楽死を迎える技術が富裕層のあいだで常習化されている、そんな近未来SFの設定を、双子の兄妹をめぐる耽美的な悲劇に落とし込んだ「水葬楽」。ろくに日本語の読めない山田風太郎ファンのポーランド人青年が訳した、謎の日本人作家ハリ...
2/13 読了。 純粋な水が注がれた密閉された箱の中で長期的安楽死を迎える技術が富裕層のあいだで常習化されている、そんな近未来SFの設定を、双子の兄妹をめぐる耽美的な悲劇に落とし込んだ「水葬楽」。ろくに日本語の読めない山田風太郎ファンのポーランド人青年が訳した、謎の日本人作家ハリガヴォ・ナミコの小説が発端となって引き起こる日波横断スラップスティック「猫舌男爵」。父を亡くして田舎から都会に出てきた母子の破滅をえがいた「オムレツ少年の儀式」。精神を病み、30年以上も精神病院に入ったまま生涯を終えた女性作家の一生を遡行していく「睡蓮」。中華風のおとぎ話と、ロシアでのコサックとボリシェヴィキの闘いがシームレスに交差する「太陽馬」。タイプの異なる短篇5篇を収めた短編集。 これ以外の結末はないにも関わらず、最後の段落でハッと胸を突かれる思いがした「オムレツ少年の儀式」が好き。いたってよくある<純粋な魂が都会に染まっていく話>なんだけど、腰にぶら下げた角笛と尾鰭の幻想を回収する手つきが見事で圧倒される。
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相変わらず素晴らしい。 『オムレツ少年の儀式』と『睡蓮』が特に好き。 表題作は皆川さんの小説としてはなかなか珍しい感じでしたが、純粋に笑えて面白かったです。 『太陽馬』はラストの情景を頭に浮かべるとなぜだか涙が出そうになりました…。
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何処の世界の、何処の時代の物語か見当もつかない摩訶不思議な物語5篇と解説を含めた短編集。 表題作を除けば、真面目な物語な筈なんだけれどレトリックに翻弄させられながら「読まされた」感の読後の物語集。 猫舌男爵の本当にありそうで絶対なさそうな話は秀逸。
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