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さよならの手口 の商品レビュー

4.1

123件のお客様レビュー

  1. 5つ

    27

  2. 4つ

    59

  3. 3つ

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2021/02/27

再読。 まずタイトルが良い。チャンドラー作品に出てくる有名な言葉『警官にさよならを言う方法はまだみつかっていない』から来ているのだが、『さよならの方法』でも『さよならの手法』でもなく『さよならの手口』としたところに葉村晶シリーズらしさを感じる。 親が子に、子が親に、夫が妻に、妻...

再読。 まずタイトルが良い。チャンドラー作品に出てくる有名な言葉『警官にさよならを言う方法はまだみつかっていない』から来ているのだが、『さよならの方法』でも『さよならの手法』でもなく『さよならの手口』としたところに葉村晶シリーズらしさを感じる。 親が子に、子が親に、夫が妻に、妻が夫に、友達が友達に、過去の傷に…様々な『さよならの手口』が出てくるが、いずれも最悪な形で晶に突き付けてくる。 女性でありながらこれほど痛め付けられ傷を負うという設定の探偵も珍しいが、彼女はそこを諦めつつも受け入れ探偵としてやり遂げていく。 だが結末はあまりにもハード。晶自身が振り返るように、彼女は誠実に働いたが、何かが違っていたのだろう。 クールで手抜きをしない探偵だが、感情がないわけではなく、時折熱くなりお人好しにもなる。そこが彼女の魅力であり弱点でもある。 脇役としては厭な警察官だが当麻警部は結構好きだった。また晶のバイト先である古本屋の富山店長の理不尽さも健在で好き。 彼のお陰で警官にさよならを言う方法は見つかっていたというオチも笑える。 四十代に入ってますますハードな葉村晶探偵の活躍を今後も期待。

Posted byブクログ

2017/08/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

探偵としての腕は良いが、どこかツイていない女探偵、葉村晶。 現在は骨休めのつもりでミステリ専門書店のバイト店員をしている。 ひょんな出来事をきっかけに、元スター女優から二十年前に失踪した一人娘を探して欲しいと頼まれ調査を始めるが……。 話が二転三転し色々な事件も絡んでくるが、テンポ良くスッキリ物語も進み、読み手を飽きさせない。 何より葉村晶のキャラにとても好感が持てる。 明らかになる様々な真実に落ち込み自棄になりそうになるが、やはり探偵の仕事が好きだと気付く葉村。 また葉村のミステリが読みたい。

Posted byブクログ

2017/08/17

2017.8.17読了。 途中なんども頭の中がとっ散らかった... 「ん?どういうこと?」 思いながらも、戻らずそのまま読み進めていったら、終盤一気に沢山のことが解決していった。 ゆっくり、じっくり、時間をかけて、いつか再読したい作品。

Posted byブクログ

2017/07/15

名探偵羽村晶シリーズ第四作。 前作の登場人物が基本的に出てこないのがちょっと残念。。 20年も前の疾走事件を追ううちに、犯人に狙われたり事件に巻き込まれたりして、満身創痍になっていくのが、痛々しくも、プロ根性なように思った。 書評では、羽村晶は不運な探偵という紹介があったが、...

名探偵羽村晶シリーズ第四作。 前作の登場人物が基本的に出てこないのがちょっと残念。。 20年も前の疾走事件を追ううちに、犯人に狙われたり事件に巻き込まれたりして、満身創痍になっていくのが、痛々しくも、プロ根性なように思った。 書評では、羽村晶は不運な探偵という紹介があったが、今作で初めて、その不運だと感じた。 捜査が進むに連れて怪我が増えていく様は、痛々しくもあった。ここまで来たら、調査を続けたのはもはや意地だったんじゃないかとすら思えてくる。 友人思いだけどドライで皮肉っぽい人情家という変な性格が、とても好きになった。 ホントにいたらいいのに。 読んだあと、ふと、この羽村晶シリーズは、新井素子さんの作風に少し似ているような気がしてきた。 強いて挙げてみると、読後感もジャンルも全く違うが、主人公の内省の方向性や、皮肉が皮肉にならないで事実になってしまう立ち回り。 真面目なのは解るのに真面目になりきれないところは、読んでいてついつい力が入ってしまうところでふっと力が抜けるのが、いいアクセントになっていて、作品が一層面白くなっていると思う。 そして、こういう真面目な中のユーモアみたいな、あるいは言葉遊びみたいな息抜きは、集めていくと面白いと思う。 しかし・・・、店長さん! もっと早く免許のこと言っておいてくれたら良かったのに。。 ワンマンすぎる店長さんのおかげで話はタイトルからオチまで全部が面白かったです。

Posted byブクログ

2017/06/19

若竹七海さんのミステリー小説 初めて読みました。 これは 女探偵 葉村晶シリーズだったんですね〜 この本で初めて葉村晶を知る事になるんですけど タイトルからして訳ありな要素を含みつつ、内容も かなり面白かった ついつい読み入ってしまった ラストが呆気なく終わってしまった感じがした...

若竹七海さんのミステリー小説 初めて読みました。 これは 女探偵 葉村晶シリーズだったんですね〜 この本で初めて葉村晶を知る事になるんですけど タイトルからして訳ありな要素を含みつつ、内容も かなり面白かった ついつい読み入ってしまった ラストが呆気なく終わってしまった感じがした…女性探偵ならではの サバサバした性格でありながら 人を気遣うところなど とても 主人公に好感を持てるし、細かく調査してゆく道順が面白かったし、結構痛い目に遭いながら臨んでゆく姿に ミステリーではないドラマ性を感じられ 前作の葉村晶シリーズを読みたくなった。葉村晶シリーズに期待大!

Posted byブクログ

2017/05/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

シリーズものの第一作でもなければ最新作でもなかった。 でも面白かったわ~。 四十代の元探偵事務所の調査員で、今は古本屋のバイト店員・葉村晶。 彼女がめっぽうハードボイルド。 全身打撲、肋骨二本にひび、おでこに大きなこぶ、そして肺がカビの胞子まみれ。 これが、導入部の、本筋ではない事件での負傷。 その後も、たった数日の間に何度病院に担ぎ込まれることか。 しかし彼女はめげない。 やらなきゃならないことは、身体を張ってでもやる。 頭の回転は速い。 そしてなんだかんだ言ってお人よし。 ああ、好きだわ、こんな生きるのが不器用な人。 二十年前に行方不明になった娘の生死は? 彼女の父親は? 失踪した探偵は? 最後までゆるむことなく張りめぐらされた謎と罠。 ミステリ専門の古本屋さんでバイトもしているものだから、懐かしい書名がたくさん出て来て嬉しい。 そして店長のキャラクター! あくまでマイペースに自己主張を押しとおす。 そばにいれば迷惑な人だが、傍で見ている分には実に愉快。 ストーリーの後味の悪さを、彼のキャラクターが随分中和してくれる。 これも、シリーズを追いかけることになりそう。

Posted byブクログ

2017/05/08

女性の探偵ものは、何故だかほろ苦い。 女性が探偵『役』で、美人だったりして、荒事をこなしてくれる相棒がいたり、疲れ切った時に労ってくれるいい男がいたりすると、そうはならないんだけれど。 葉村晶は、その点ちっとも甘くなく、リアルに食べていくための仕事として『探偵』で、女性として得...

女性の探偵ものは、何故だかほろ苦い。 女性が探偵『役』で、美人だったりして、荒事をこなしてくれる相棒がいたり、疲れ切った時に労ってくれるいい男がいたりすると、そうはならないんだけれど。 葉村晶は、その点ちっとも甘くなく、リアルに食べていくための仕事として『探偵』で、女性として得してるところはほとんど全然なく、その上運が悪く、ケガはするし危ない目には合うし、いまや若くもなく美人でもない。 けれど真摯に仕事をし、精一杯フェアであろうとする、人としてスジの通ったところが沁みる、男前?な女探偵ぶりが、独特な面白さになっていると思う。 若竹七海さんの作品は、ドタバタミステリもいいけど、こういう曇り空みたいなミステリも好き。 青空が、ちらっと見えるところがあって救われるのもいい。

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2017/04/16

探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優に二十年前に家出した娘探しを依頼される。当時娘を調査した探偵は失踪していた――。 相変わらずタフ。しかし今回はほんと不運が多くてちょっと笑ってしまった。読み応え...

探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優に二十年前に家出した娘探しを依頼される。当時娘を調査した探偵は失踪していた――。 相変わらずタフ。しかし今回はほんと不運が多くてちょっと笑ってしまった。読み応えあって贅沢な本。ほんとこの一冊で五冊分くらいのネタが入ってるような。新しい女友達とのほのかな友情があんなことになって切ないなあと思っていたら結果アレで同情なんていらんのじゃ!というクール&ドライな後味でほっとしたというかなんというか。ところでみのりは元気なのだろうか……

Posted byブクログ

2019/12/12

前作から10余年。 勤務先の廃業とともに探偵を休業中の葉村晶はミステリ専門書店でバイトをしていた。 ある日、古書を回収しに行った家の床板を踏み抜き、床下に埋められていた白骨死体に頭突き。 肋骨を2本折り入院するが、同室になった元女優の老女から20年前に行方不明になった娘を探してほ...

前作から10余年。 勤務先の廃業とともに探偵を休業中の葉村晶はミステリ専門書店でバイトをしていた。 ある日、古書を回収しに行った家の床板を踏み抜き、床下に埋められていた白骨死体に頭突き。 肋骨を2本折り入院するが、同室になった元女優の老女から20年前に行方不明になった娘を探してほしいと依頼を受ける。 これが、受難の女探偵・葉村晶のさらなる不運の始まりだった。 メインの謎となるのは、元スター女優の20年前に失踪した娘探しですが、同時にいくつもの派生した謎や別のトラブルが発生し絡み合っていくという複雑な様相を呈しています。 失踪当時、女優の娘を調査中に突然失踪した探偵の行方は? 他にもこの親子の近辺の人物が何人も行方不明になっているが、その真相とは。 また、偶然知り合った舞美という女性は何が目的で葉村に近づいたのか? それらの謎が有機的にメインの謎と結びついたり結びつかなかったり、盛りだくさんでおなかがいっぱいになりました。 雪崩のように事件が発生し、伏線を取りこぼすことなく続々と破綻無く回収していく様子は日本版フロスト警部のミステリを読んでいるようで至極満足でした。 事件が起こった時に一人の人間の心の水面が波立ち、それが言動となってあらわれ周囲にどう波及していくのか、露わにしてみせる巧みな心理描写には唸らずにはいられません。 悪意や残酷さを鷲づかみにしてナマの人間の本質を見せてくれる作者の凄腕にぶんぶん振り回されながらも、葉村の筋を通す頑固一徹な清廉さにほっとします。 正義というとちょっと面映いのですが、物事に対して葉村は必ず自分の内面の正義と照らし合わせてから行動を起こすような一面がある気がします。 人間って普通、筋が通らないことでも自分の利益になることなら真実も捻じ曲げ、ずる賢く欺瞞に満ちたことを平気ですると思うのですが、葉村は賢いがゆえにそのごまかしに自分で気づいてしまうようなところがあるんですよね。 そんな彼女だから、不運を呼び寄せてしまうのですが、後悔なく生きているであろう彼女が悪意に敢然と立ち向かっていく姿がすごく好きです。 自分にはできないから憧れているのかもしれません…。 ウィットに富んだ台詞回しもいつもながら楽しいし、100点満点の作品です!!

Posted byブクログ

2017/03/05

初読みの作家さんだったけれど ミステリー好きにはたまらない一冊なのだろう。随所にちりばめられるミステリーの傑作選、残念ながらあたしにはちんぷんかんぷんだったけれど 巻末にご丁寧な解説付き。 内容はかなり重くて 読み進んでいくうちに苦しくなってきて 何とも救いようがなかったのが ...

初読みの作家さんだったけれど ミステリー好きにはたまらない一冊なのだろう。随所にちりばめられるミステリーの傑作選、残念ながらあたしにはちんぷんかんぷんだったけれど 巻末にご丁寧な解説付き。 内容はかなり重くて 読み進んでいくうちに苦しくなってきて 何とも救いようがなかったのが 苦痛だった。 たぶん読み手によってかなりの温度差があるのだろう。

Posted byブクログ