宇喜多の捨て嫁 の商品レビュー
最初の章が陰惨だったため、読み切れるか、と思ったが、話のつながりが分かり始めるとスルスル読めた。 自分の妻の父、娘の婿たちを殺していく直家、強烈だなと感じたが、そんな彼を形作ってしまう過去。 入り混じった話がこの本を形作っていて本当に面白かった。
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宇喜多直家、謀略の数々。気が滅入るけど因果応報、短編がうまく繋がって最後まで読むと全ての印象が変わり、不思議な読み心地だった。 同じく宇喜多直家を取り上げた『涅槃』に続けて読むと人間関係がわかりやすくて読みやすかったかも。
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宇喜多直家を中心に、語り手が入れ替わりながら戦国時代の争いを描いていくところは物語の構成として面白いなぁと思ったのですが、、、 内容がどんよりというか重苦しいところが多くて、読んでいて息苦しくなってしまうように感じました。うーん。
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「涅槃」で垣根さんの描く宇喜多直家とは全然印象の異なる登場人物達。特に阿部善定が…。(あ、興家は同じように下衆でした。)でも直家の境遇を思うと気の毒に感じる。精神的に消耗するので、間に別の本を読んで回復をしながら読んだ。 表紙の装画が妖しく美しく、心をとらえる。(山本タカトさん。...
「涅槃」で垣根さんの描く宇喜多直家とは全然印象の異なる登場人物達。特に阿部善定が…。(あ、興家は同じように下衆でした。)でも直家の境遇を思うと気の毒に感じる。精神的に消耗するので、間に別の本を読んで回復をしながら読んだ。 表紙の装画が妖しく美しく、心をとらえる。(山本タカトさん。調べてみよう。)
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宇喜多直家という人物が、悪人なのか、否か。 何だか分からないまま、物語は進むのだが。 幼少期からの話、彼が今の地位を築いたのか、己のためなら、娘などは駒の一つなのか。 悪人だけが、クローズアップされるが、果たしてそうなのか? そして、唯一?生きてると思われる於葉のその後は? もし...
宇喜多直家という人物が、悪人なのか、否か。 何だか分からないまま、物語は進むのだが。 幼少期からの話、彼が今の地位を築いたのか、己のためなら、娘などは駒の一つなのか。 悪人だけが、クローズアップされるが、果たしてそうなのか? そして、唯一?生きてると思われる於葉のその後は? もしかして続きあるのか…?
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久しぶりの再読。 宇喜多直家というと数々の仕物(暗殺)でのし上がって来た人物。第一話の説明によると、舅を仕物したために妻は自害。長女の嫁ぎ先を次女の嫁ぎ先に襲わせ長女は自害、次女は錯乱後死亡。三女が嫁いだ主家の浦上宗辰はやはり暗殺され三女も後を追って自害。そして四女の嫁ぎ先は直家...
久しぶりの再読。 宇喜多直家というと数々の仕物(暗殺)でのし上がって来た人物。第一話の説明によると、舅を仕物したために妻は自害。長女の嫁ぎ先を次女の嫁ぎ先に襲わせ長女は自害、次女は錯乱後死亡。三女が嫁いだ主家の浦上宗辰はやはり暗殺され三女も後を追って自害。そして四女の嫁ぎ先は直家の甥・詮家軍に滅ぼされたという。 松永久秀や斎藤道三のように悪人イメージ先行でその実態がよく分からない人物だが、この作品では彼を様々な視点で描いていく。 表題作でもある第一話は四女・於葉の視点にて。 こちらはイメージ通りの直家が描かれる。於葉の嫁ぎ先・後藤家では周囲からの侵攻や裏切りを見極めて先に回ってうまく防いだはずが、直家の方が一枚も二枚も上であった。 作中に出てくる碁に例えれば、於葉と後藤家は先々を見極めて先手先手を打った積もりが、実は自分たちは盤上の碁石にしか過ぎず、直家こそその碁石を操る棋士であったかのようなそんな印象すら抱く。 ところが第二話の不遇の少年時代、第三話の舅を仕物後、妻が自害するまでの話を読むと直家の印象がガラリと変わってくる。 直家以外はかの織田信長が持つという『無想の抜刀術』、直家が『業の技』と呼ぶその技と、舅を仕物し妻を自害に追いやったその過程が後の直家像を作り上げる原点になったということだろう。 この時代、仕物という方法がどのような見方をされていたのかは正確には知らない。作中では戦で正々堂々戦うのではない仕物は卑怯なやり方という言われ方をしている。ましてや直家はそのために『捨て嫁』と呼ばれる、妻や娘たちを捨て駒にしている。 暗殺というと、やった方が悪者でやられた方は悲劇の人というイメージ。謀叛というと、起こした側が主君を裏切った悪者で起こされた方は悲劇の人というイメージ。それは明智光秀の例でもよく分かる。何百年と裏切り者のレッテルを貼られてきた。 しかし本当にそうなのか? 暗殺をした側だけが悪いのか、謀叛を起こした側だけが悪いのか? 個人的には舅の中山信正のキャラクターやセリフはとても印象深い。こんな時代でなければ…と思うばかり。 『家臣や足軽、人夫を死役に駆り立てる』戦が正々堂々とした素晴らしい戦い方なのか。 仕物という、一見卑怯な方法も見方を変えれば兵を不必要に死なせない方法と言えないか…なるほど。 第四話の浦上宗景視点、第五話の浦上宗辰視点の話は再びイメージ通りの隙のない直家が描かれる。 最近再放送されている大河ドラマ『太平記』を見ていても思うが、力を付けていくということ、勢力を広げ家中で存在感を増していくことはそれだけで他者の恐怖となり狙われる的となる。 調べると宗景の晩年は不明なことが多いらしく、さらに嫡男の宗辰に至ってはその存在すら怪しいらしい。ひっくり返せばこれほど作家さんの創作意欲をそそられる題材も無いだろう。 ついに本懐を遂げる第四話、さらに第五話で再び業の技と直家の哀しみと覚悟を知る。 そして最終話。前にサラッと書かれていたあのエピソードがここに繋がるとは。 読み終えて様々な伏線があったことに気付いて、思わず最初から読み返したくなる。実によく出来た構成だった。 ただ一つ気になるのは、娘たちの嫁ぎ先を滅ぼしていくその過程で直家は娘たちに対してどんな思いを持っていたのかが書かれていなかったこと。そここそが知りたかったのだが、妻の自害によって直家は変わってしまったということなのか。 政略結婚や人質が殺されることは当たり前だった当時と現代とを同じ感覚で考えてはいけないが、妻や娘たちのことは捨て駒のように使ったが、家臣や民たちは大事にし慕われていたという直家の二面性を描き切るには消化不良でもったいなく感じた。 また「尻はす」なる業病に侵されながら嫡男をもうけたという設定もちょっと無理があるような。養子ならわかるけれど。 実際の直家がどういう人物だったかはもちろん分からない。イメージ通りの仕物を得意とし隙あらば謀叛を起こし形勢不利となればたちまち許しを乞う姑息な人物だったのかも知れない。だが歴史の先例として、彼がやっていない仕物までも彼のせいにされている部分も多数あるのかなと勝手に思ったりしている。宗辰の暗殺も彼の存在すら怪しいなら無かったことになるのだし。 続編とも言える「宇喜多の楽土」もそのうちに再読してみよう。この作品を踏まえた上だとまた違った印象になるかも知れない。
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戦国時代の殺伐とした空気を伝えきれていると思います 久々に こんな時代に生まれてこなくてよかったぁ と思える作品でした 直家が 生きながらに体が腐るような病気 (多分 皮膚がんか 大腸がんかと思われます) 尻はすという病に蝕まれながらも 身内を犠牲にして 所領や民を守る姿 すさま...
戦国時代の殺伐とした空気を伝えきれていると思います 久々に こんな時代に生まれてこなくてよかったぁ と思える作品でした 直家が 生きながらに体が腐るような病気 (多分 皮膚がんか 大腸がんかと思われます) 尻はすという病に蝕まれながらも 身内を犠牲にして 所領や民を守る姿 すさまじい修羅を感じさせる内容でした
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表紙が陰鬱 中身はもっと陰鬱 壮絶な下克上 その時代を生きた女性にスポットを当てる 時系列がいったり来たりする でも、だから、この男がなぜこの生き様なのかが次第に分かってくる よく耳にした武将や城ばかり 陰鬱で心に迫るストーリーだった ≪ 忌み嫌う その男にも 母の愛 ≫
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「無想の抜刀術」を持つ、宇喜多直家を巡る連作集。 岡山育ちの私には馴染みの深い地名や川の名前が出てくる。 確かに「宇喜多の捨て嫁」はインパクト大なコピーだけに、冒頭に置きたかったのはわかるが、人物関係がマイナーな宇喜多家周辺で、時系列でないのは結構辛かった。 戦乱の世に埋もれるには惜しい、母・妻・娘の女性陣のあり方が切ない。 しかし「尻はす」とは強烈な病名だ。
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