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漢方の口訣 筍庵ひとりごと の商品レビュー

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2024/06/18
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「漢方一途で生きた医師のエッセイ」 著者の山田光胤(てるたね)氏(1924-)は漢方医です。 本書は著者の漢方治療をエッセイの形でまとめたもので、専門誌で好評連載されたものをベースとしています。 山田氏は大正末期に生まれ、昭和26年に東京医大を卒業して医師になります。 虚弱体質で生まれ、幼少期より名医と呼ばれた「大塚敬節医師」の漢方治療を受けていました。 そのため医学生時代から漢方に親しみ、一貫して漢方を学び続けてきました。 師は後に義父にもなった大塚医師で、古典研究も傷寒論、神農本草経、千金方、外台秘要方(げだいひようほう)など古方派を中心に後世派、折衷派など広く学びました。 90歳を越えてなお漢方専門の「金匱会診療所」で臨床に立ち、執筆などにも精力的に取り組んでいましたが、先年帰幽しました。 本書はその70年にもわたる研究が結晶化したもので、「月刊 漢方療法」で好評連載されていたものが元になっています。 文中で著者は「号」である「筍庵(じゅんあん)」と称していました。 内容は、自身の来し方、漢方の秘訣、日常など広く及び、それらがエッセイの形でまとめられていました。 臨床に関連する部分では、名医たちの処方を集めた「本朝経験方」や師から伝えられた口訣、自身が実践する腹診や脈診の技法、経験した症例も多く掲載され、試行錯誤しながら生薬を加味し、方剤同士を合わせながら工夫を加える姿には引き込まれました。 内容は専門分野にも及ぶため、門外漢にはとっつきにくい部分はありますが、読み応えのある好著でした。

Posted byブクログ