愉楽 の商品レビュー
正直、ようやく読み終えたという感慨。 しかし、ック法のエネルギーは読む方の何千倍、いや何十万倍という物凄さを感じさせられた。 「世間」からすれば、「あらゆる反という冠が貼られた」というのはまっとうな事だろう・・以下括弧つきの表現が他出せざるを得ないのが正直なところ、この本の特色と...
正直、ようやく読み終えたという感慨。 しかし、ック法のエネルギーは読む方の何千倍、いや何十万倍という物凄さを感じさせられた。 「世間」からすれば、「あらゆる反という冠が貼られた」というのはまっとうな事だろう・・以下括弧つきの表現が他出せざるを得ないのが正直なところ、この本の特色とすら思える。 既成事実、状況がひっくり返って行く出だし、展開。しかし、ラストは治まるところに収まると言う「受活村の穏やかな時間」が流れ続けていく。 解説で筆者が述べる下り、訳者谷川氏の其れも同じ温度でおもしろく、高まり過ぎて異様に落下しきれなかった私の気持ちに翼をくれた。 「差別主義に異様に敏感な日本で、この本の出版が可能だろうかとまず思った訳者・・私も読み始め直ぐにこの本は 凄いな、衝撃でした。 しかし、受活の意味、村の生活、人々、よそから来た社会主義の女性、県長等々これでもかというほど輩出し続ける人物キャラクターの激流に圧倒されます。 障害とは、健常者とは・・ レーニンの遺体を展示し、入場料でバカ稼ぎを企画するという発想は絶対 ちまちま日本では起こりえない~いや政府が乗り出すだろう。 身障者は、足りない部分を補うインナーパワーが湧きだし、レジリエンス(しなやかさ)エンパワメント(自らの押し上げる強さ)が周囲とのスクラムで高まって行く様子が随処で描かれる。おとぎ話、滑稽話としてではなく。。 完全人~健常者は単なる人口の仮面を持った存在にすぎない、最後は阿修羅の道を進むしかないという反転。 この反転の発想もあっちこちに~夏に大雪が、冬に酷暑、ギラギラ太陽が。世の中に【絶対はない】という絶対が根底にあった。 しかし、病むほどに疲れた。
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これすごいです。天才的。訳者あとがきで、障害者が徹底的に打ちのめされる筋立てや差別表現が現代日本人に受け入れられるのか不安に思ったそうですが、汎くマイノリティと世間の寓話と捉えれば、誰でも両方側に心当たりがあるでしょう。「コレはアレで、この人はあの人のことだな!」って当て嵌めなが...
これすごいです。天才的。訳者あとがきで、障害者が徹底的に打ちのめされる筋立てや差別表現が現代日本人に受け入れられるのか不安に思ったそうですが、汎くマイノリティと世間の寓話と捉えれば、誰でも両方側に心当たりがあるでしょう。「コレはアレで、この人はあの人のことだな!」って当て嵌めながら読む人多いのでは。とにかくこれは普遍的な物語だ!と感服。最初「なんてチープで悪趣味な・・・」と思った表紙、後半、実にしっくりきて驚きました。いやほんとビックリ。「受活じゃった?」がマイブームになりそう(笑)
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原題はやっぱり“受活”。 ここはヨクナパトーファかマコンドか。 中国4000年の物語る力たるや凄まじい。
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小説を読んでいると、年代のわからない、牧歌的な暮らしの描写のなかに突然TVやラジオが現れて驚いてしまうことがある。『楢山節考』とかそうだった。この小説もまさにそれで、黄魔術に護られたような障害者たちの村を思い描いていたのが、ふと気がつけば我々のよく知る現実世界に着地している。魔法...
小説を読んでいると、年代のわからない、牧歌的な暮らしの描写のなかに突然TVやラジオが現れて驚いてしまうことがある。『楢山節考』とかそうだった。この小説もまさにそれで、黄魔術に護られたような障害者たちの村を思い描いていたのが、ふと気がつけば我々のよく知る現実世界に着地している。魔法が現実に食い破られて、脳幹が衝撃を受ける。その痛みと快楽。受活だ…。 注: 受活は物語に出てくる方言で「苦しみを伴った気持ちよさのこと」。本書の原題でもある。 目の視えないものは耳を研ぎ澄まし、片足の萎えたものはもう一方の脚力を強化する。では、目も耳も足も口も機能しない四重苦のものは何を強くするだろうか。草児(ツァオアル)という女性の劇歌が登場する。視聴覚に障害を持ち、両足は動かず口も聞けない草児は、死後一度も振り返ることなく天国を目指しさえすれば、来世は何不自由ない身体が約束されている。しかし彼女は現世に残してきた夫や息子娘、さらには飼っていた動物たちすらも気がかりで道中何度となく振り返ってしまう。彼女は身体機能と引き換えに人一倍の愛を持っていたのだ。 この小説に登場する片端者たちは、文字通りパズルのように欠けた部分と秀でた部分とを組み合わせ、自然発生的に愛に基づいたアナキズムのような社会を形成している。しかしそれは欠けた部分を持たない健常者の介入によって、簡単に破綻してしまう。彼らは障害者をモノのように扱い、痛めつけ、何もかもを奪っていく。すべて己の生への執着のために。ここでは五体満足の「完全人」は、逆説的に修羅なのだ。 松岡正剛の著書『フラジャイル』によると、世界中の神々には、不具者を意味する名前のものや、身体機能を失うエピソードを持つものが多く存在するという。古代の人々が弱きものを神に据えた理由は何なのだろう。彼らの声なきメッセージは、ここ最近の世の中の出来事を通してみるとかなり示唆的なものにも思える。そしてそれは本書とも深く響きあっている。揺れる世間と白酒のように強い語り口が混ざり合って、奇妙に熱っぽい読後の余韻が残った。
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独特な世界観と物語。グイッと引き込まれる、先の読めない、着地点のわからない展開。そして、土の匂いがするような、方言混じりの文章がクセになりました。 読んでいる時間がとても心地よくて、ずっとこの時間が続けば良いのに、と思わせてくれる本でした。 「政治や社会からの自由」についてや...
独特な世界観と物語。グイッと引き込まれる、先の読めない、着地点のわからない展開。そして、土の匂いがするような、方言混じりの文章がクセになりました。 読んでいる時間がとても心地よくて、ずっとこの時間が続けば良いのに、と思わせてくれる本でした。 「政治や社会からの自由」についてや、「幸せとは何か?」について。「人々が共生するコミュニティ」を描いている作品でもあります。 あまり馴染みのなかった中国文学で、読むのに時間がかかってしまいましたが、他の小説ではなかなか味わえないズッシリとした読後感と余韻は最高でした。
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白髪三千条というが、やはり中国の作家の物語る能力は桁が違う気がする。 物語として楽しめたかといえば微妙だが、中国共産党の治世をこれだけ揶揄した話を書いてかの国で無事にいることは驚きに価する。
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表紙からてっきりソローキン的なアナーキーさやあらすじからドノソ『夜のみだらな鳥』を予想していたがそこまでの前衛性はなく古典的とも言える小説だと感じた。明の時代からの片端者たちの村は、観光資源としてのレーニンの遺体を購入しようとする県長の野望に協力して、障害者としての特技を見世物と...
表紙からてっきりソローキン的なアナーキーさやあらすじからドノソ『夜のみだらな鳥』を予想していたがそこまでの前衛性はなく古典的とも言える小説だと感じた。明の時代からの片端者たちの村は、観光資源としてのレーニンの遺体を購入しようとする県長の野望に協力して、障害者としての特技を見世物として全国を行脚する。彼らの超人的な芸は評判を呼び、購入資金は溜まっていき、遺体購入でソ連との交渉は順調だったのだが…… 影響のある南米文学のエグさというより中国古来のものだろう。残酷な歴史を象徴するエピソードの数々は酷く哀しい。良書。筆力に感心した。
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真夏に大雪が降った年、障害者ばかりの僻村・受活村では、レーニンの遺体を購入して記念館を建設し、観光産業の目玉にするという計画が始動する。その資金を調達するため、村人たちの中から超絶技能を持った者が選抜され、旅の一座を結成する。飛ぶように走る片脚の青年、下半身不随の刺繍の名手、微か...
真夏に大雪が降った年、障害者ばかりの僻村・受活村では、レーニンの遺体を購入して記念館を建設し、観光産業の目玉にするという計画が始動する。その資金を調達するため、村人たちの中から超絶技能を持った者が選抜され、旅の一座を結成する。飛ぶように走る片脚の青年、下半身不随の刺繍の名手、微かな音も聞き分けるめくらの少女…。激動の20世紀を背景に繰りひろげられる狂躁の日々。想像力と現実が混淆する魔術的物語。中国社会の矛盾を撃つ笑いと涙の大長篇。フランツ・カフカ賞受賞。
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国民性が分からないとこの本の本当の面白さは分からない。 行政によって国民の考え方も大分変ってくると言う事、人はながされやすいからなぁ、外人でも話せばわかるって本当かな? 善は善、悪は悪、この辺は万国共通だなぁと少し安心した。
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中国から生まれた発禁?相当のマジックリアリズム小説。実際に発禁になったのか。前半は長さに挫折しそうになるが、後半は一気読み。障害者たちの村にもたらされた共産主義、政府の手が、その村にあった平和を破壊していく様が、中国のある側面を寓話的に暴いてみせる。障害者による絶技団、レーニンの...
中国から生まれた発禁?相当のマジックリアリズム小説。実際に発禁になったのか。前半は長さに挫折しそうになるが、後半は一気読み。障害者たちの村にもたらされた共産主義、政府の手が、その村にあった平和を破壊していく様が、中国のある側面を寓話的に暴いてみせる。障害者による絶技団、レーニンの遺体の購入による再建計画、完全人の嫉妬と模倣、一人の優れた美貌を持つ娘の妖艶さ、お金による人の変貌など、この小説の中にあまりにも多くのものが込められていて、これが正しく小説による一つの世界の構築。 作者のあとがきで、書くことは苦痛でしかないが書かずにいられない、という業が告白されているが、それもうなづけるくらい、作者の血が流れていることを感じる。
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