日本霊性論 の商品レビュー
本書の前半には、2012年に相愛大学でおこなわれた内田樹の3日間の集中講義が収められています。後半には、内田が館主をつとめる凱風館で釈徹宗がおこなった、鈴木大拙の『日本的霊性』についての講義が収められています。 内田の担当しているパートでは、これまで内田がさまざまな著書のなかで...
本書の前半には、2012年に相愛大学でおこなわれた内田樹の3日間の集中講義が収められています。後半には、内田が館主をつとめる凱風館で釈徹宗がおこなった、鈴木大拙の『日本的霊性』についての講義が収められています。 内田の担当しているパートでは、これまで内田がさまざまな著書のなかで述べている内容をまとめたもので、武道などの体験を通じて内田自身がその存在を実感している身体知の重要性を指摘し、そうした目に見えないものについての感受性をないものとしてあつかってきた現在の社会のありかたに対する危惧が表明されています。 他方、釈の担当しているパートでは、大拙の主著である『日本的霊性』の解説というかたちをとっているものの、内田の議論に通じるような問題へと話を接続することがくわだてられており、大拙が「霊性」と呼んだ感受性のありようを、ある種の知性のかたちとみなすとともに、「人間的な領域」と「非人間的な領域」の境界を感知する能力として、その役割を説明しています。このような能力は、内田がサリンジャーの『ライ麦畑で捕まえて』のなかの「歩哨」についてのエピソードを参照しながら語っていた能力であり、二人の著者の話がおなじ着地点へと向かっていることがわかります。 著者たちが、現在のわれわれの分明な知性によっては把握することのできない知の可能性に対して開かれた態度をとろうとしていることは、それなりによく理解できたように思います。ただその一方で、そうした知のありかたについて、なぜこんなに分明に語ることができるのかという疑問も感じます。
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現代霊性論を読んだ時の方が、知的に高揚した気がします。単に内田先生の本を読みすぎて麻痺しているだけかも。
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禅は修行者に人間の世界が混沌から分離して成立するその生成の瞬間に立ち戻ることを要求する。人類が言葉によって世界を分節し世界が立ち上がる瞬間まで遡航することを要求する。無門慧開はその人間世界の極北での経験を啞子の夢を得るが如くと書き遺す。
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http://kumamoto-pharmacist.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-61ff.html
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今ある度量衡で測れないのがイノベーション 集団が生き延びるための4つの柱 裁き学び癒し祈り 教育の目的は頼りになる次世代をつくること 学びというのは自分の価値観ではその価値を考量できぬもののうちに踏み入ることです。具体的な知識や技術を学ぶことではなくて自分にはそれが何を意味するか...
今ある度量衡で測れないのがイノベーション 集団が生き延びるための4つの柱 裁き学び癒し祈り 教育の目的は頼りになる次世代をつくること 学びというのは自分の価値観ではその価値を考量できぬもののうちに踏み入ることです。具体的な知識や技術を学ぶことではなくて自分にはそれが何を意味するかわからないものに経緯と好奇心を持って接することです。学ぶとは学び方を学ぶことです。
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内田先生の「自分の弱さや幼さを認めることは、ひとつ誤ると、〈非人間的なもの〉を人間世界に導き入れる」というお話と、釈先生の「〈自分が正しい〉という立場に立った瞬間に見えなくなるものがある。そして苦悩を生み出す」というお話が印象的でした!
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日本人が今取り戻さなければならない霊性というものについて。2部構成になっていて、第一部は、内田先生が相愛大学にての講義です。ここでは、なぜ霊性が必要なのか。それはどのようにして現れ、解されていったのか。それを取り戻すためには、なにをしなければならないのかについて、非常に身近に分か...
日本人が今取り戻さなければならない霊性というものについて。2部構成になっていて、第一部は、内田先生が相愛大学にての講義です。ここでは、なぜ霊性が必要なのか。それはどのようにして現れ、解されていったのか。それを取り戻すためには、なにをしなければならないのかについて、非常に身近に分かりやすく書かれています。ここだけでも読む価値あると思います。理解できることしか見ない姿勢が変わることを感じています。 第二部は、釈先生が内田先生の寺子屋ゼミにてされた講義内容です。鈴木大拙の「日本的霊性」をテキストに霊性に迫っています。日本的とあるように、日本にはそういったものがすでにあって、そのため仏教やキリスト教も元の宗教と違って日本的なものに変質してしまう、そのからくりが目を覚まさせられます。また、第一部の内田先生の話に振り返っての話もあり、霊性についてさらに深めることができました。 なんとなくわかること。今までは、明確に説明できないので、それを出すことに躊躇し、見えないふりまでしていました。せめて認め、どう付き合っていくのか考えたいと思います。
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お二人の著者の大学講義録(+対談)。 僕自身の思考は浄土真宗の影響を受けているのかもしれない。ドキッとしました。 「霊性」の意味はまだつかみきれないけれど、今後考えながら生活する中で少しずつ見えてくるような気がする。 「霊性」のわからなさに気付かせてくれた本。
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集団を存続させることが最大かつ唯一の使命である歩哨という役割。どうやらまだしばらくは低迷の時代らしい現代、無理やり成長しようとするのではなく、生き続けること。 勝つことではなく負けないことを続けること、それだけでもとても難しいのかもしれないけど 仏教の勉強もしてみたいな
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内田さんと釈徹宗さんの、霊性についての合本。 内田さんの担当した前半部分はいつもの内田さん、というかんじやけど、釈さんの後半部分はがちがちの宗教、霊性論。 前半はめちゃくちゃおもしろかったけど、後半、むずかしかったなぁ。 新書の割に三〇〇ページ超、文字も明らかに小さめで、かなり気...
内田さんと釈徹宗さんの、霊性についての合本。 内田さんの担当した前半部分はいつもの内田さん、というかんじやけど、釈さんの後半部分はがちがちの宗教、霊性論。 前半はめちゃくちゃおもしろかったけど、後半、むずかしかったなぁ。 新書の割に三〇〇ページ超、文字も明らかに小さめで、かなり気合の入った作品なのかな、と思った。
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