さみしくなったら名前を呼んで の商品レビュー
2024.8.30 短めの短編が多めで、面白くて一気に読み終えた。 なぜか懐かしくて切ない。 ここは退屈迎えにきて、よりも好きだった。
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何者かになりたい、何か成したいと考える若者(自分もですが…)に染み込むようなお話。するっと入り込むような感じのリアルさなので同年代かなと思ったら80年生まれの方なんですね。さすが作家さん…
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【あらすじ】 さみしいとか悲しいとか切ないとか、そんなのを感じる心のひだが、全部なくなればいいのに――。ブスと呼ばれ続けた女、年上男に翻弄される女子高生、未来を夢見て踊り続ける14歳、田舎に帰省して親友と再会した女。「何者でもない」ことに懊悩しながらも「何者にもなれる」と思って、ひたむきにあがき続ける女性を描いた、胸が締め付けられる短編集。 【個人的な感想】 「何者でもない」ことに懊悩しながらも「何者にもなれる」と思って、ひたむきにあがき続ける女性たちの姿に胸が締め付けられる。 これまでに経験したことがあることもないことも、なぜか主人公の気持ちに感情移入して懐かしかった。
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「ケイコは都会の女」 「Mr. and Mrs.Aoki, R.I.P.」 「孤高のギャル 小松さん」が好き。
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2021/09/01 あたしは、いつになったら自分が思い描く女の子になれるんだろう。いつになったら完成するんだろう。それまでに、あとどのくらいの時間がかかるんだろう。あたしがなりたいのは、きれいで、頭が良くて、おしゃれで、おもしろいことが言える人。いつも堂々としていて、自信があって、人に媚びたりしないし、あとで自己嫌悪に陥るようなダサいリアクションもしない。そういう女の人になれるまで、あとどのくらいかかるんだろう。 気が遠くなりそうな膨大な時間と、無駄撃ちだらけの破れかぶれな経験。 そういったものの果てにあたしはちゃんと、自分で自分に及第点を出せるような人間に、なれるんだろうか。 わたしたちは親友だけど、本当はいろいろ違った。 わたしだって車で高速とか、怖すぎて一度も走ったことないけど。それでも行ったことのない場所があれば、クリアしなければと思ったし、したことがないことは、やってみなきゃと思った。バイトもセックスも上京も一人暮らしもアジア旅行も、そんな義務感で無理矢理やった。恐れる気持ちを乗り越えなければ、経験値をできるだけ上げなければ、自分が思い描いているような大人にはなれない気がして、無理矢理やった。 そして加賀美は、手遅れになる少し手前で軌道修正できた、わたしの姿みたいだ。主体性が育ちすぎて複雑にならずに済んだーそのおかげで地元での暮らしにすんなり適応できているーもう一人の自分の姿。 とにかくもうちょっと、時間が必要なのだ。自分にはなにが出来て、なにが向いていて、なにをするために生まれてきたのかを、ひと通り試してみる時間が。そういう試みは、もう若くはないと思えるようになるまで、つづけなくちゃいけない。へとへとに疲れて、飽き飽きして、自分の中の無尽蔵に思えたエネルギーが、実はただ若かっただけだってことに気がつくまで、やってみなくちゃいけない。身の丈を知り、何度も何度も不安な夜をくぐり抜け、もうなにもしたくないと、心の底から思えるようになるまで。
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周りへの違和感と憧れがないまぜとなった毒舌。最初の数ページを読んで、今自分が読みたいのはまさにこんな文章だ、と嬉しくなった。一文一文が読んでて気持ちいい。
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具体的な職業に「なりたい」と思ったことなんて、わたしだって一度もない。普通に生きてる普通の人間には、野心もなければ夢もない。ただこのまま、ちょっとだけ退屈な、けれどそのぶん平和で幸せな生活がつづくことを、謙虚に願っているだけだ。
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短い中にそれぞれ異なる濃い個性が詰まっている気がして読みながらわくわくしたけれど、後半では慣れてしまったのか薄まったように感じてしまった。「具体的な職業に「なりたい」と思ったことなんて、わたしだって一度もない。訊かれれば苦しまぎれに花屋とか、無難で女の子らしい仕事を言ってただけで...
短い中にそれぞれ異なる濃い個性が詰まっている気がして読みながらわくわくしたけれど、後半では慣れてしまったのか薄まったように感じてしまった。「具体的な職業に「なりたい」と思ったことなんて、わたしだって一度もない。訊かれれば苦しまぎれに花屋とか、無難で女の子らしい仕事を言ってただけで。普通に生きてる普通の人間には、野心もなければ夢もない」や、「自分の中の無尽蔵に思えたエネルギーが、実はただ若かっただけってことに気がつくまで、」の文章に、昔の自分や、早い気がするけれど今の自分が何だか共感できて、印象的だった。
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わたしは幸いにして、わりと早いうちからなんとなくやりたいことを見つけることができたうえ、学生時代は友達に恵まれて、やりたいことをやりたいときにやりたいようにやってこれた。 そのおかげで「ここではないどこかに自分の居場所があるはず」系の悩みはほとんど持たずに生きてきた、と思う。 そ...
わたしは幸いにして、わりと早いうちからなんとなくやりたいことを見つけることができたうえ、学生時代は友達に恵まれて、やりたいことをやりたいときにやりたいようにやってこれた。 そのおかげで「ここではないどこかに自分の居場所があるはず」系の悩みはほとんど持たずに生きてきた、と思う。 そうではない人もたくさんいることは知っているので、この短編集に出てくる女性や女子たちに自分を重ねる人はたくさんいるんだろうなあ、他人事のように思いながら読んでいた。 しかし。最後の「遊びの時間はすぐ終わる」、これは私の話だった。私と、私のようになる手前で軌道修正したたくさんの友人たちの話だった。独立心旺盛で、結婚できないタイプと言われている主人公、私か!私かよ! それから本と各短編のタイトルがセンス良い。 「さよちゃんはブスなんかじゃないよ」「人の想い出を盗むな」「孤高のギャル 小松さん」好きだな~。
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山内マリコさんらしい。 寂しさと切なさと、頑張ろうと励まされる感じと。 男女の不平等さと理不尽さと。 大人になる方法でタクちゃんがveryで夫婦で載ってるのを見つけ、お母さんを鼓舞するところ、共感した。 登場人物みんなわたしみたいに思えてくる。
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