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紙の月 の商品レビュー

3.8

675件のお客様レビュー

  1. 5つ

    115

  2. 4つ

    263

  3. 3つ

    190

  4. 2つ

    30

  5. 1つ

    2

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2026/04/21

読んでいてずっと怖いと思っていた。 なにが怖いのかといえば、 梨花の空虚さや、 金が人を狂わしていく様が、 加速して留まることを知らずに転がっていくことが。 しかし物語が進んでいくと、 梨花の友人たちも、 最後には梨花自身も、 私やあなたを発見するのだ。 その見事な到達点に、...

読んでいてずっと怖いと思っていた。 なにが怖いのかといえば、 梨花の空虚さや、 金が人を狂わしていく様が、 加速して留まることを知らずに転がっていくことが。 しかし物語が進んでいくと、 梨花の友人たちも、 最後には梨花自身も、 私やあなたを発見するのだ。 その見事な到達点に、 ここをめがけて転落してきたのなら、 意味のある地獄だと思った。 * 映画はだいぶ前に観ていて、 とてもおもしろかったので、 お陰でずっとイメージの中で梨花は宮沢りえの顔をしていた。 ラストの違いについては、 吉田大八監督の解説でなるほどと感じた。

Posted byブクログ

2026/04/20

恋愛小説だと思って読んだのだが、まったく恋愛はゼロで、お金にまつわるホラー小説だった。 横領した主人公の友達が語る彼女のイメージが、いいイメージもあれば悪いイメージもあり、正直どれが本当の彼女なのかわからなかった。 読み終えて、主人公がここまで道を踏み外した理由をしみじみと考...

恋愛小説だと思って読んだのだが、まったく恋愛はゼロで、お金にまつわるホラー小説だった。 横領した主人公の友達が語る彼女のイメージが、いいイメージもあれば悪いイメージもあり、正直どれが本当の彼女なのかわからなかった。 読み終えて、主人公がここまで道を踏み外した理由をしみじみと考えてしまった。主人公はごくごく普通の女性のように見えて、だからこそ怖くなった。 夫との結婚生活が悪かったんだろうなって思うんだけど、夫をああいう臆病な性格にさせてしまったのは妻の何かだったのかもしれない。 夫とのかみ合わないうわべだけの会話とか、若い男の子に出会って思わず気分が高ぶってしまうところとか、中年女あるあるって感じだった。 普通の女性なんだけど、夫と不仲なところに、若い男の子に偶然会って、仕事でお金に触れる環境にいて…ってのが重なったのがやっぱり決定的だったのかなと思った。と思うと性的な不満、誘惑というのは侮れないなって思った。満たされない女の性欲って怖いな!って結論になったので、ある意味、本来読みたかった恋愛小説を読めたような気にはなれた。

Posted byブクログ

2026/04/09

普通の専業主婦だった梨花が一億円横領する話。 破滅に向かうことが分かっている物語を読むのは苦しいですが面白いです。 正義感が強く普通の人であることはこの物語の核だと感じました。 倒れる間際のジェンガのような状況に読みながら、はらはらします。自由や幸せが何かを考えさせられる作品で...

普通の専業主婦だった梨花が一億円横領する話。 破滅に向かうことが分かっている物語を読むのは苦しいですが面白いです。 正義感が強く普通の人であることはこの物語の核だと感じました。 倒れる間際のジェンガのような状況に読みながら、はらはらします。自由や幸せが何かを考えさせられる作品でした。 夫の悪意のない言葉での見下し、価値観のズレが絶妙。 解像度が高くてゾクッとします。

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2026/03/28

銀行員の梨花が、ある出来事をきっかけに少しずつ道を踏み外していく物語。最初はほんの小さな綻びだったはずなのに、気づけば取り返しのつかないところまで転がり落ちていく。その過程があまりにも生々しくて、読んでいて怖くなる瞬間が何度もあった。痛々しくて、正直かなり重い読書だったと思う。 ...

銀行員の梨花が、ある出来事をきっかけに少しずつ道を踏み外していく物語。最初はほんの小さな綻びだったはずなのに、気づけば取り返しのつかないところまで転がり落ちていく。その過程があまりにも生々しくて、読んでいて怖くなる瞬間が何度もあった。痛々しくて、正直かなり重い読書だったと思う。 ただ、読み進めるほどに「梨花は何を求めていたんだろう」と考えずにはいられなかった。本当の自分を探していたのか、それともただ今の自分から逃げたかったのか。彼女は結局どこへ行きたかったのだろう、と読み終えてからもずっと考えてしまう。 決して楽しい話ではないし、むしろ苦しくなる場面のほうが多い。それでも、読み終えたあとに残る余韻がなんとも言えない。

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2026/03/29

銀行から一億円を横領した話し。主人公の梨花は顧客の孫である大学生の光太に恋をする。綺麗でいたい、特別な時間を過ごしたいと、願いを叶えるために、顧客のお金に手を付ける。最初は出来心だったが、沼のようにハマっていく。やめることが出来ない怖さを感じた。

Posted byブクログ

2026/03/22

言わずと知れた名作。 角田光代さんがどこにスポットを当ててこの物語を描かれるのか、見てみたかった。 やはり凄いと思った。 繊細な心理描写もさることながら、だけど。 これまで真面目に生きてきた梨花が、一線を超える場面が、はっきりとどこ、と言えない部分が。 「後で戻すから一旦借りる...

言わずと知れた名作。 角田光代さんがどこにスポットを当ててこの物語を描かれるのか、見てみたかった。 やはり凄いと思った。 繊細な心理描写もさることながら、だけど。 これまで真面目に生きてきた梨花が、一線を超える場面が、はっきりとどこ、と言えない部分が。 「後で戻すから一旦借りる」これ、自分も家庭内でした事が無かったっけ。 それから、夫婦の会話で感じる違和感、好きな人に満たされてると感じた時の「万能感」、またこの言葉やらのチョイスが凄いんですが、その漲るような力も、分かる気がする。 それに、光太にも梨花にも、誰かを陥れてやろうとか、明確な悪意はなくて。だからこそ、反省もせずエスカレートしていくんだけど…気持ちを理解できなくもない。 梨花の過去を知っている友人たちが思い描く梨花の姿が、それを肉付けしていく。梨花まではいかないまでも、お金に翻弄されて、確実に大切なものを失っていく人が多く描かれる。 読み終えてからも、色々と考えさせられる作品です。

Posted byブクログ

2026/03/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

お金と、心に満たされなさを持つ人の話だった。 主人公の梨花。ちょっとぼーっとしていて、何事も深く考えなくて、見たくないものは見ようとしない。そうして暮らしているうちに、日常の物足りなさや、退屈さを埋めるためにお金を使うようになる。始めは化粧品や、服。ちょっとお高めのデパートの惣菜。 少しずつ、少しずつエスカレートしていって、顧客のお金を拝借して、借金をして、その借金を補填するためにまた新たなお金を、かき集めて。そのうち贅沢が手放せなくなって、夢のような時間のために、現実で帳尻を合わせるよう奔走して。 自分の欲のために、自分の都合のいいように解釈して、見たくないものは見ないで、深く考えないで、ずーっと薄暗い悪意を抱えながら、言い訳してさらにお金を使っていく。 一瞬、すごくいい気持ちになるけど、続けているうちに金銭感覚が麻痺して、札束や金額の数字がただのかたまりになって、時間が分からなくなって、愛しているはずの恋人の話が全然耳に入っていなくて、生きている実感みたいなものが薄れていく。どこかぼんやり、地に足つかず宙ぶらりんのまま夢の中のように生きている。そしてその満たされなさを、また他人のお金で埋める。 光太くんが少しずつ、少ーしずつ心が移り変わっていくのを、光太視点で描かずに分からせるところがすごく上手だなと思った。 お金との距離感と、人との距離感。家族でも、恋人でも、親子でも、友達でも、銀行員と顧客でも。適切でないと一気にバランスが失われていく。 本当、少しずつ、少しずつ堕ちていくところや、心が変わっていくのが、じんわりと流れ込んでくるように伝わってきて、心地よく読み進められた。少しずつ、少しずつが、見事だった。 苦しいだろうな、とも思うけど、アホだな、とも思った。あと、もうとっくの昔から取り返しつかないのに、もうやめなよ、それ以上は…ヒリヒリしながら読んでいくのも楽しかった。 梨花と、生き方が違いすぎて感情移入はなし。なんで大事なことから目を逸らし続けられるの。感覚が鈍い感じがして、想像力がなくて。満たされなさを持つ人の、浅はかで弱いところが見えた。こうしてどんどん堕ちていく人、いるんだろうなって、それで大きな罪犯してしまうのかなって、想像できた。

Posted byブクログ

2026/03/13

スリル満点で面白かった。 お金の豊かさ、息が詰まる苦しさ、お金と情の結びつきの無力さ、全て身を持って知ったような読後感でした。お金の価値って何だろう?と本質を問いたくなるけれど、正解がないものなのかもしれない。 もう取り返しはつかないのに、破滅が待っているのに、それでもどうに...

スリル満点で面白かった。 お金の豊かさ、息が詰まる苦しさ、お金と情の結びつきの無力さ、全て身を持って知ったような読後感でした。お金の価値って何だろう?と本質を問いたくなるけれど、正解がないものなのかもしれない。 もう取り返しはつかないのに、破滅が待っているのに、それでもどうにか救われてほしいような、許したくなる気持ちになってしまう主人公の梨花。一歩間違えたら誰もが梨花になってしまう可能性があるのでは?とハッとする場面も。 横領罪を犯してまで過ごした夢と絶望の狭間の数年が、ほんの少し羨ましく見えてしまったのは自分の生活が平凡すぎるからなのかもしれない……

Posted byブクログ

2026/03/13

1億円を横領した女性銀行員と彼女の同級生たちの話。人間の弱いところを深く生々しく露呈した作品。お買い物中毒の話でもなく、若い男に貢ぐ話でもない。自分がどんな人間なのか、探しても探しても見つからず報われない主人公の話。 「かわいい子には旅をさせよ」とはよく言ったものだなと。若いう...

1億円を横領した女性銀行員と彼女の同級生たちの話。人間の弱いところを深く生々しく露呈した作品。お買い物中毒の話でもなく、若い男に貢ぐ話でもない。自分がどんな人間なのか、探しても探しても見つからず報われない主人公の話。 「かわいい子には旅をさせよ」とはよく言ったものだなと。若いうちからもっといろんな経験を積んでおけば、自分で自分の道を開拓できたのではないかと思う。 ずっと心に穴が開いたままの主人公が、顧客の預かり金から一時的にお金を抜いてしまったことから全ては始まる。 生きていくのにお金は必要だし、お金の余裕は心の余裕は事実。でも、人生で大事なものはお金では買えないものばかりで、お金って実は何でもない。紙で作られてるのがその証拠。もはや最近なんてキャッシュレスで目にも見えない。そう思ったらお金って恐ろしい。 主人公が報われないのは、お金で自分を見つけようとしたり、お金で人を変えようとするから。人は苦労したり、辛くて涙を流したり、何かを乗り越えたりしないと強くなれない。かく言う自分もまだまだ成長の過程にいる。そう思うと自分の身に起こってもおかしくないと読者は感じさせられるので、この小説に更に現実味が増す。 まだまだ感想はあるけれど、人生論みたいなものを語ってしまうほど考えさせられる作品でした。読みやすくて、終盤の嵐のような展開もすごく良い。紙の月というタイトルも素晴らしい。

Posted byブクログ

2026/03/10

ひりひりと痛みが伝わってくる場面が多いのに、本人は気づかなくて読者としてもどかしい。一見何ともないが痛々しい状況を丁寧に描写し続けている。人間の欲って夢中になれる良さと同時に麻薬となって抜け出せないね。

Posted byブクログ