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現実脱出論 の商品レビュー

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40件のお客様レビュー

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2014/12/21

 坂口さんの著書は何冊か読んでいるが、最近はメンタル的な内容のものが多くなってきたように思う。かつて説いていた現実的な方法論の背後には大きな「苦悩」があったのだろう。とはいえやはり坂口さんの発想はとてもおもしろく、できれば実践してみたい方法論も多い。それらは単なる思いつきではなく...

 坂口さんの著書は何冊か読んでいるが、最近はメンタル的な内容のものが多くなってきたように思う。かつて説いていた現実的な方法論の背後には大きな「苦悩」があったのだろう。とはいえやはり坂口さんの発想はとてもおもしろく、できれば実践してみたい方法論も多い。それらは単なる思いつきではなく実際のフィールドワークによる裏付けがある。しかし本書はそうした社会的取材に基づいたものよりも「実存的」あるいは「現象学的」な発想が多い。  妄想や幻想をうろうろしながら語っているが、肝腎なところは現実に戻ってくる。こうした書き方が本書を体系性を保ったものとして維持している。同じ日付に発行された尹雄大さんの講談社現代新書「体の知性を取り戻す」が身体面からの「日常感覚」を説いているのに対して本書は精神面からの「日常感覚」を説いているように思う。両書とも現実から離れた不思議な考察をしているが、あちこち浮遊した後には現実世界に戻ってくるのでぶっ飛んでしまう心配はいらない。  坂口さんの思考や対処法は、現に鬱やパニックなどの疾患に悩んでいる人にとっても大いに参考になるもの。こうした文章は方法論であると同時に体験の叙述であり、共感を持つだけで気が楽になるということもある。そうした体験をしているうちに「生きる気力」がわいてくればしめたもの。この世には多彩な人がいる。多くの人の話は今の状況を変えるきっかけになるのではないか。いい意味でも悪い意味でも。

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2014/12/20

躁鬱本なのか? 自分、時間、空間との付き合い方で、現実のとらえ方や、距離の置き方が変わるのは、うなずけるし、共感できるがそれだけだった。。。

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2014/12/09

○平方キロメートルという空間でも、その時によって広く感じたり、狭く感じたりする。 同じ一分でもその時によって、長く感じたり、短く感じたりする。 どうやら現実という一つではない世界で、我々が「現実さん」と付き合っていくには……。 坂口恭平さんの「現実脱出論」読み終わる。 現実とい...

○平方キロメートルという空間でも、その時によって広く感じたり、狭く感じたりする。 同じ一分でもその時によって、長く感じたり、短く感じたりする。 どうやら現実という一つではない世界で、我々が「現実さん」と付き合っていくには……。 坂口恭平さんの「現実脱出論」読み終わる。 現実というのは結局 人が生きるために作り出した仮想空間のツールで、それに囚われてしまっては本末転倒なんだね。 物事に当たる時に、赤ちゃんから年寄りまで、色々な年齢の自分ならどう思うか考えてアドバイスもらうって視点も面白かった。

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2014/12/09

あるブログで薦められていたので、手に取る。 冒頭から引き込まれ、一気に読めた。論というほとカタくなく、むしろ著者独自の体験に根差した提案であり、エッセイ集という感触だった。また、『独立国家のつくりかた』(未読)の著者とは知らなかった。 文章が美麗。修辞が豊か。単なる麗句ではなく...

あるブログで薦められていたので、手に取る。 冒頭から引き込まれ、一気に読めた。論というほとカタくなく、むしろ著者独自の体験に根差した提案であり、エッセイ集という感触だった。また、『独立国家のつくりかた』(未読)の著者とは知らなかった。 文章が美麗。修辞が豊か。単なる麗句ではなくて、その表現である必然を感じる。 広義の創造行為が鍵かな、と。

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2014/12/06

本の装丁と内容のデザインで装飾している全く中身のない無味無臭の疑似哲学書に感じた。着想が異端のように見せて平凡である。とても残念に感じた。

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2014/11/12

現実逃避の話かな、と思って手にとってみる。「現実逃避は現実という地平の上で逃げまわる行為にすぎない」といった文章があってなるほどと思い、では現実という地平を離れて逃げまわるには?と楽しみに読むがどうもそういう話ではないらしい。ではどういう話なのかというといまいちよくわからない。秘...

現実逃避の話かな、と思って手にとってみる。「現実逃避は現実という地平の上で逃げまわる行為にすぎない」といった文章があってなるほどと思い、では現実という地平を離れて逃げまわるには?と楽しみに読むがどうもそういう話ではないらしい。ではどういう話なのかというといまいちよくわからない。秘密基地の話とか、世界の形はそれを見る人間によって決まる、とか、個別のエピソードや主張はそれなりに共感できるのだけれど、行こうとしている先がよくわからないので、個々のエピソードの印象が残るに留まった。何度か読むと印象が変わるのだろうか。

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2014/11/12

渋谷NHK前あたりで時間を潰す必要があり、Googleマップに「近くの書店」と囁いたところ、いちばん近くにあったのが「SHIBUYA BOOKSELLERS」という書店。セレクトショップのような洒落た店構えのその店は、人文、アートなどに強く、今の僕の気分にぴったりの品揃えだった。...

渋谷NHK前あたりで時間を潰す必要があり、Googleマップに「近くの書店」と囁いたところ、いちばん近くにあったのが「SHIBUYA BOOKSELLERS」という書店。セレクトショップのような洒落た店構えのその店は、人文、アートなどに強く、今の僕の気分にぴったりの品揃えだった。(あまりに好みに合いすぎて、既読の本が多かったり、新しい分野との偶然の出会いが望めないほど) 気になっていた一冊を購入して近くのカフェで読む。 異才の建築家(?)坂口恭平の、エッセイとも日記ともつかない、「オレ」の生きる様を吐露したようなテキストであるが、いつものようにぐいぐいと引き込まれる。 文中にも出てくる2012年の青山ワタリウム美術館での個展で、彼を初めて見た。ぶらりとフロアに現れた彼はトークライブを始めた。(プログラムだったのかどうかは知らない)はじめは見知らぬ客にそっと話しかける、画廊での作家のように。しかし次第にその話し方は熱を帯びてきて、やがてはものすごいハイテンションで飛び跳ねるように作品と、自分の生き方を叫んでいた。 それは彼が躁鬱症であることを知る前だったのだが、おそらく「躁」の状態だったのだろう。(文中ではその時期は逆に「鬱」だったとあるが) 本書ではその「躁鬱」に、彼自身がどう向かい合っているかが大きな要素になっている。建築家とも芸術家とも作家とも言い切れない、不思議な存在の彼であるが、その目を離せない感じに、私のような凡人はつい惹かれてしまうのだろう。決して好きではないし、尊敬するわけでもないのだが、気になって仕方が無い。もしこの世の中が閉塞したものならば、突破口を開くのはこうした種類の人間なのかも知れないなぁ、という漠然とした予感がするのである。 彼が創造するものはわかりやすい「美」ではない。むしろ混沌としたカオスをごろんと投げ出して、世の中をすこし不安定にする。ノイズといってもいいかもしれない。だけれども、そこに人間の生命力とか、そういった強さを取り戻すヒントがあるような気がする。 ああ、岡本太郎がよく言っていたようなことに近いのかも知れない。原始の力。プリミティブな強さ。洗練されない、上手くないものの美しさ。そんな種類の人なんだろう、きっと。

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2014/11/05

 たまらん!おもしろすぎる!自分の感覚という究極の主観に正直であり続けながら、同時に躁鬱病をもつ自分のからだを乗り物として捉えたり、現実を他人とみなしてめちゃくちゃ客観的に捉えることができるセンス。これはあり得ん!尋常じゃないレベルの賢さ(情報処理能力の高さ?)に脱帽。鳥肌モンだ...

 たまらん!おもしろすぎる!自分の感覚という究極の主観に正直であり続けながら、同時に躁鬱病をもつ自分のからだを乗り物として捉えたり、現実を他人とみなしてめちゃくちゃ客観的に捉えることができるセンス。これはあり得ん!尋常じゃないレベルの賢さ(情報処理能力の高さ?)に脱帽。鳥肌モンだった。  それからもう一点。躁鬱病を創作活動の武器にしているところ。人間には、背が高いとか足が速いとか人それぞれの身体能力的な特徴があるように、脳みその働きにも指向性がある。創作が得意とか事務処理が苦手とか手伝いが絶妙に上手いとか、性格も含めたそういうの。これを自分でよく捉えてそれを活かす生き方をした方が、人はわっしょいできると思うのです。これは僕、今回の転職で(もう1年経つけど)すっごく感じてるところ。で、坂口恭平さんは、躁鬱病という脳みその特徴、操縦不能のモンスターを創作活動のタネにしてしまってる、ってのが僕にとって超ヒットでした!  感覚への信頼と、高度な知性と、どっちも本当にツボ。もうどきどきわくわくしながら読み進めました。いつか一緒に仕事したいなー!

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2014/11/03

「現実逃避」ではなく、「現実脱出」。似ているようでまったく異なる。 坂口氏は、一般的に言われる「現実」も、自分の周りにいくつかある仮想空間のうちの1つでしかないという。彼の言う「現実を脱出すること」=「思考」であり、「まずは、現実に自分の体を合わせるのではなく、自分自身の思考をち...

「現実逃避」ではなく、「現実脱出」。似ているようでまったく異なる。 坂口氏は、一般的に言われる「現実」も、自分の周りにいくつかある仮想空間のうちの1つでしかないという。彼の言う「現実を脱出すること」=「思考」であり、「まずは、現実に自分の体を合わせるのではなく、自分自身の思考をちゃんと中心に置くことだ。現実という他者に合わせて生きるのではなく、自分が捉えている世界を第一に据えよう。」と主張する。 思考こそが、生きることそのもの。見えているものが世界のすべてではない。数年したら再読してみたい一冊。

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2014/10/28

はっきり言って十年に一度読めるかどうかの傑作。空間論、時間論ともに、ここまでオリジナルの言葉で語れる人は今の日本にいないのではないだろうか?

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