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若者よ、マルクスを読もう(Ⅱ) の商品レビュー

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2014/11/12

何故今マルクスなのか。 ソビエト連邦が崩壊し、冷戦は資本主義陣営の勝利となったはずだった。しかし現在、資本主義は大きな転換期を迎えているように見える。マルクスが語った理想は果たして共産主義だったのか? 正直、マルクスを読まずにここまで生きてきた自分には分からない。マルクスの知...

何故今マルクスなのか。 ソビエト連邦が崩壊し、冷戦は資本主義陣営の勝利となったはずだった。しかし現在、資本主義は大きな転換期を迎えているように見える。マルクスが語った理想は果たして共産主義だったのか? 正直、マルクスを読まずにここまで生きてきた自分には分からない。マルクスの知性とは一体何だったのか。 それを知りたくてこの本を手に取った。 マルクスに共感したものの中でも、マルクスシストとマルクシアンに分類されるらしい。前者は「マルクスの思想をマルクスの用語を使って語る人」、後者は「マルクスの思想をマルクスの用語ではなく、自分の言葉を使って語る人」だという。僕らの前の世代ー全共闘の時代の学生たちはマルクスを読み、マルキシストとなったが、マルクスの知性を深く読み解くことが彼らに出来ていたのかは疑問である。しかしそれを批判する資格はマルクスを読んでいない私にはないのだ。 まずは読んでみなくては始まらないことは分かっているが、資本論、長いんだよなぁ…。 頑張ってみよう…。

Posted byブクログ

2014/12/07

第1巻を読んだのは2010年10月。4年も経ってた。ちょっと間が空き過ぎじゃないかな。 当時の社会状況とマルクスがマルクスらしくなっていく様子を衒学お二人が語り合う内容。 35年ぐらい前の大学時代にマル経(=マルクス経済学)は必修だったから、資本論の最初の方とダイジェストは読ん...

第1巻を読んだのは2010年10月。4年も経ってた。ちょっと間が空き過ぎじゃないかな。 当時の社会状況とマルクスがマルクスらしくなっていく様子を衒学お二人が語り合う内容。 35年ぐらい前の大学時代にマル経(=マルクス経済学)は必修だったから、資本論の最初の方とダイジェストは読んだ。 改めてマルクスに触れると、経済学というより社会思想の人だな。「ルイ・ボナパルトのブリュメール一八日」はマルクスが肩入れするプロレタリアートが登場しない、全員ワルモノの政治ドラマ。マルクスの容赦ない筆誅が冴えわたり、とある。面白そう。 内田先生はマルクスの「類的存在」は孔子の「仁」に近いと云う。マルクスの思想は搾取されるばかりの労働者への共感からなっているという。マルクスのことを考え直す気になる。 しかし、「賃金、価格及び利潤」。 大学時代にも労働価値が価値になるための命懸けの跳躍という台詞にカッコイイと思ったものだが、その跳躍が止揚(=アウフヘーベン)されて、価値イコール労働価値となったら、どういう形であれ資本家の取り分は搾取になる。それでいいのか。誰が商品の跳躍をさせるんだ。労働者ではあり得ないだろう。商品が価値に変わる跳躍が消える日が来るわけないじゃないか。 すり潰されていく若者たちを救う方法は、何処にあるんだろうか。マルクスの価値を見直す意味は、判るのだけれど、マルクスの枠組みでは答えは見つからないのじゃないだろうか。 史的唯物史観とか、マルクスの教条主義的な処って莫迦の拡大再生産に繋がったんだよな。そうした部分を修正し、社会の連帯の再構築に繋がれば良いんだけれどね。

Posted byブクログ

2014/10/13

面白い。マルクスは読んだことがなく 型どおりの感想ですが、マルクスを読んでみようと おもいました。 ただ、石川氏の記述部分の今回の範囲 『フランスにおける階級闘争』『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』『賃金・価格および利潤』あたりの内容は非常に難解で何度も読み返さないと理解...

面白い。マルクスは読んだことがなく 型どおりの感想ですが、マルクスを読んでみようと おもいました。 ただ、石川氏の記述部分の今回の範囲 『フランスにおける階級闘争』『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』『賃金・価格および利潤』あたりの内容は非常に難解で何度も読み返さないと理解できない部分もあり。マルクスの書籍(これ以外の資本論など)が読めるかどうかはよくわかりません。 今回の範囲の中では、『賃金・価格および利潤』における労働価値説は非常に面白いと思います。 『商品の価値の大きさ、つまりその相対的価値はそのなかにふくまれているこうした社会的実体の量の大小によって、すなわち、その生産に必要な相対的労働量によってきまる』等とても面白く。含蓄のなる内容で、究極の考え方の理論がここにある気がしました。 タイトルの若者よマルクスを読もうですが、社会に出る前の学生が読むよりは、ある程度社会にでて、労働を行った人たち(多分10年くらい働いた人)が読むのが一番いいような気がします。マルクスの理論っていろいろな内容を究極にそぎ落として、根幹や究極に達成してしまった理論なので、働いたことがない学生などにとっては劇薬になる可能性もあるようなきがします。 もっといろいろな視点を行ったり来たりできるような経験をつんでから読むとすごく浸透するというか、理解できて整理できて厚くなっていくような気がします。 日本の現状の危機感とマルクス。グローバリズムの危機。公共と社会、組織のビジネス価値追及、贈与経済などの実現などがマルクスとつながるというのは驚きも感じます。 マルクスというのは、やはりソ連の崩壊などから、もう過去の論理。”マルクスは死んだ”という感じがしていたので新鮮な感覚とやはり、古典は読まなければいけないなあという感じも。。。

Posted byブクログ

2014/09/22

石川康宏氏の解説が非常にわかりやすくてよい。 ただ、現代社会において商品の価値が「労働時間」に還元(?)されるのかは疑問が残る。 では、マルクスの時代と今とでは何が違うのかということになるが、その答えは自分の中にはない。 ただ時間というものを人間存在にはりついた不偏的的なものさし...

石川康宏氏の解説が非常にわかりやすくてよい。 ただ、現代社会において商品の価値が「労働時間」に還元(?)されるのかは疑問が残る。 では、マルクスの時代と今とでは何が違うのかということになるが、その答えは自分の中にはない。 ただ時間というものを人間存在にはりついた不偏的的なものさしにするのであればそれは究極的には定量化されデジタルに計測される数値目標に還元されてしまう。 当時の時間という考え方がアナログなものであったとしたなら、連続した時間の中に切れ目はなく労働時間はその全体量の重みという感覚でしか測れなかったものなのかもしれない。そこでは時間の持つ濃淡は重みという感覚に還元されるからその重みは普遍的な魂の重みとつながったのかもしれない。 しかし、デジタルで時間をとらえられた瞬間に時間は貨幣と同等の計量物差しとなりそこには人間存在は消えてしまう。 この本ではブラック企業やそれに代表される今の政治状況を批判的に論じる方法論としてもマルクスを引用しているが、すべての企業がそういったブラックではないと考える。というよりもすべての職種をブラック企業的に搾取することはできない。 そういう観点からは労働者と資本家の役割が一部あいまいになってきているところもあるのだろう。また、そのあいまいさを逆手にとって、さらなるブラックに手を染めている企業もあるし純化された資本主義の論理では(たとえば経団連の主張など)いきつくところは歯止めのない搾取になってしまうのかもしれない。 内田氏はこのような状況に対して最後の往復書簡に人間存在の諦念(の予感)にも似たような言葉を記している。しかし、逆に言えば底に見える「絶望」はそこからうまれる「希望」のはじまりというメッセージでもあるのかもしれない。 などなど、読んでいて自身の働き方や考え方を重ねあわせるといろいろな思考が次々とあらわれて面白い本だった。 惜しむらくは自分が本家のマルクスをちゃんと読んでいないこと。(若いころになんどかチャレンジで挫折) その上で読み直すともっと面白いかもしれない。 何年後になるかわからないが第三弾を期待。

Posted byブクログ