跳びはねる思考 話のできない自閉症の僕が考えていること の商品レビュー
このシリーズ、以前から読みたいと思っていて、やっと読む機会があった。本書のおかげで、自閉症の人たちの理解に大きく一歩近づいたと思う。 身近に結構、自閉症の人たちがいる。程度はさまざまだが、100人に1人は自閉症だそうだ。子どもの時はちょっと変わった言動をする子と見られ、そこそこい...
このシリーズ、以前から読みたいと思っていて、やっと読む機会があった。本書のおかげで、自閉症の人たちの理解に大きく一歩近づいたと思う。 身近に結構、自閉症の人たちがいる。程度はさまざまだが、100人に1人は自閉症だそうだ。子どもの時はちょっと変わった言動をする子と見られ、そこそこいい学校に行くが、卒業後は社会に出られないので実家で暮らしている。正直なところ、彼らがどの程度まで周りの言うことを理解しているのか、どう感じているのかなど、不明なことが多かった。 著者の東田氏は、普通に話すことができず、他人とコミュニケートできない。意識が飛びやすく、集中して何かをすることもできない。時間を流れでとらえることができない。でも、感受性はとても強く、また繊細で傷つきやすい心を持っているようだ。私が会ったことがある5人の自閉症患者は、あまり悲しそうには見えなかったが、著者は人と違うことが悲しくて辛くてたまらないと書いている。この本に書かれている、詩のような著者の本音は、よく理解できて心に届く。 中学生の時に出版した本がきっかけとなり、今は世界中で講演を行っているそうだ。外国語で感想や質問をもらうことは、プレゼントだと表現している。大人になり、やっと自分の居場所をみつけ、病気の自分を受け入れることができたという。とてもいい本だった。
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ここまで、詩的に、というか文学的に書けるのは、個人の能力に依存するものなのかもしれないな、と、思った。 自閉症者と自分を読んで、当事者としての気持ちや考えを知るうちは発見の連続。 読み進めると自閉症者というラベルは見えなくなって、感受性豊かな一人のただの人間という印象になった。 ...
ここまで、詩的に、というか文学的に書けるのは、個人の能力に依存するものなのかもしれないな、と、思った。 自閉症者と自分を読んで、当事者としての気持ちや考えを知るうちは発見の連続。 読み進めると自閉症者というラベルは見えなくなって、感受性豊かな一人のただの人間という印象になった。 障害の有無ではなくて、感じ方や物事の捉え方の差異、表現の方法という観点で見ると新たな視座を与えてくれる、自分の世界の味方、表現の仕方を一変させられる体験でもある。
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図書館で。 操縦出来ないロボットという感覚、という表現がすごくわかりやすい。そういう感覚なんだ。 人は何を考えているかわからない、何をされるかわからない、行動の予測が出来ない事に潜在的な怖れを抱くのだと思うので、こういう思考回路が働いて行動しているのだとわかるのはすごく納得がいき...
図書館で。 操縦出来ないロボットという感覚、という表現がすごくわかりやすい。そういう感覚なんだ。 人は何を考えているかわからない、何をされるかわからない、行動の予測が出来ない事に潜在的な怖れを抱くのだと思うので、こういう思考回路が働いて行動しているのだとわかるのはすごく納得がいきました。 それにしても行動は衝動的なのに文字による思考は冷静に追えるってのは面白いなぁ。話し言葉と書き言葉は脳内でもつかさどってる所が違うんだろうなぁ。
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身体的不自由がなくても、個性や能力は千差万別であるように、自閉症と呼ばれる方もそれぞれ千差万別であるのだ。ともすれば、私たちはハンディキャップのある方たちを一つのカテゴリーにくくってしまいそうになるが、本書を読むと何も知らなかった自分、知ろうとしなかった自分の傲慢さに気付き、同時...
身体的不自由がなくても、個性や能力は千差万別であるように、自閉症と呼ばれる方もそれぞれ千差万別であるのだ。ともすれば、私たちはハンディキャップのある方たちを一つのカテゴリーにくくってしまいそうになるが、本書を読むと何も知らなかった自分、知ろうとしなかった自分の傲慢さに気付き、同時に新たな世界が広がるのを感じる。 東田さんが、自分の状態を「壊れたロボットを中から必死に動かそうとしている感じ」というような言葉で表現されていたのだが、この一文に衝撃を受けた。思うようにならない自分の身体を一生懸命動かし、続かない集中力をなんとかなだめて文章を紡ぐ、その姿勢に心を打たれた。
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自閉症の人たちは一般的に社会に適応できないと言われていますし、障害者でもあるわけで、いったいどういうことを考え、どういうことを感じて生活しているのかがほとんどわからなかったりします。僕もこれまで身近に自閉症の人がいたことがなく、まるでどういう障害の人たちかまったくわかりませんでし...
自閉症の人たちは一般的に社会に適応できないと言われていますし、障害者でもあるわけで、いったいどういうことを考え、どういうことを感じて生活しているのかがほとんどわからなかったりします。僕もこれまで身近に自閉症の人がいたことがなく、まるでどういう障害の人たちかまったくわかりませんでした。ともすれば、知的障害をもつ人たちのように、こちらの言葉がなかなか理解できず、ごく初歩的な言語化しかできない人たちなのかなともみていました。でも本書を読むと、そんなふうなイメージで見ていた自分が恥ずかしくなります。しっかりした、そして詩的で、柔らかな哲学的な言葉で満ちているからです。そこでは、著者の感覚が、普通の人が社会性を獲得するために無意識的に捨てなければならないものがあることをわからせるものがあります。たとえば、著者には、周囲の風景、そのなかにいる人間も木も草も石もなにもかもが等しい価値を持ち、著者はそのなかの興味をひかれたものと、言語にたよらずに気持ちを通わせ始めるそうです。だから、急に言葉をかけられても、人間からの言葉だからといって急激に注意をもっていかれるものではなかったりするようです。それは、考えようによってはすごく自然なスタンスのようにも見えます。また、そういった自閉症者独特の世界観をあらわしているところもあれば、「絆」や「よりどころ」などなどへの考察を述べているところもあります。そうして、こうやって一冊の本を仕上げたことで、社会性が無いとされている自閉症者が、社会へ見事に参加していることになりました。これは、とても素晴らしいことだと思いますし、著者個人だけへの理解に限らず、他の自閉症者の人たちへの理解を助ける意味でもあって、ゆえに他の自閉症者が生きやすくなり、他の自閉症者からのなんらかの発信が、いくらか容易になるかもしれない可能性を強くしました。
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この本は、自閉症の人が独自で書かれている本で 自閉症の人は会話が出来なくっても動作仕草に 全て意味があっての行動で、周りがどう思うと 自分がこれだと思った瞬間に行動出来るのが自閉症の方のすごいところだと、また 自閉症の方でもこんな本を書けるんだというの自信を私は貰った・・・。 周...
この本は、自閉症の人が独自で書かれている本で 自閉症の人は会話が出来なくっても動作仕草に 全て意味があっての行動で、周りがどう思うと 自分がこれだと思った瞬間に行動出来るのが自閉症の方のすごいところだと、また 自閉症の方でもこんな本を書けるんだというの自信を私は貰った・・・。 周りからしたら自閉症の人がいるだけで 変な目で見るけど、本当は本当は 周りに理解をして欲しい だから、この人はそんな自閉症の方でも こんな想いをしているんだ 本を書けるんだとみんなにお伝えしたかった様に思えます!! 最近の私はなんで、私は生まれて来たの? 私の魅力って何?って思って自分を 悔やんでたんだけど、私は平凡でも 私は病気ひとつせずにここまで生きてる 普通に生きてこれてる自分って それだけで素晴らしいじゃないか、 世の中には生まれつき病気で やりたい事がやれない人だっているのだ やりたい事がやれてる事が幸せ そして、自らやりたい事に没頭出来る事が 素晴らしいのだ、そうこんなんでも 自分は素晴らしいのだと 心からそう思ったし、この本を書いて下さった方に感動し、感謝を伝えたいと思う1冊でした
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自閉症の方が書いた文章を初めて読んで、彼らがどんな感覚で日々過ごしているのかが以前よりも理解できた。なぜそのような行動を取るのかも理解できた。 私たちは知らないものに勝手にこういうものだとステレオタイプ化しがちだ。だが、自閉症うんぬんでなく、個人としてもっと知り関わっていかなくて...
自閉症の方が書いた文章を初めて読んで、彼らがどんな感覚で日々過ごしているのかが以前よりも理解できた。なぜそのような行動を取るのかも理解できた。 私たちは知らないものに勝手にこういうものだとステレオタイプ化しがちだ。だが、自閉症うんぬんでなく、個人としてもっと知り関わっていかなくてはならないと思った。 言葉がうまく出なくても、頭の中ではこんなにも考えて言葉にしているのかと驚かされた。少しでも共生しやすい社会に近づいて欲しい。 *毎日の生活の中で重要なことは、注意された今日とは違う明日が来るのを信じ続けることです。明日に希望を求めるのではなく、今日のやり直しを明日行うのです。
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子供のころの 思うように伝えられない葛藤も そのまま書いてくださってて とても 辛いことだったんだろう と胸が痛くなりました それでも 透明感のある 詩のような美しい文章で 心の美しさがにじみ出るようでした
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世界観が本当に素敵。 突然、関係ない言葉が飛び出したり、儀式的な行動をしたりすることの理由ってそういうことだったんだ!って理解できて嬉しかった。 たとえ言葉として口から出なくても、頭の中では様々なことを考えているんだなって分かって嬉しかった。 これからは、問いかけに対して返事が...
世界観が本当に素敵。 突然、関係ない言葉が飛び出したり、儀式的な行動をしたりすることの理由ってそういうことだったんだ!って理解できて嬉しかった。 たとえ言葉として口から出なくても、頭の中では様々なことを考えているんだなって分かって嬉しかった。 これからは、問いかけに対して返事がもらえなくても、きっと分かってくれているんだなって思えるし、その人なりの言葉じゃない形で出てくる答えを見逃さないように接していきたいと思った。
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自分について、生きるということについて、世界がどのように見えるかということについて、詩のような、エッセイのような。自分がうまくコントロールできなくていろいろ考えこんでしまうことは、誰にも経験のあることだが、それについて、より長くより深くにより日常的によりリアルに考えてきたのが著者...
自分について、生きるということについて、世界がどのように見えるかということについて、詩のような、エッセイのような。自分がうまくコントロールできなくていろいろ考えこんでしまうことは、誰にも経験のあることだが、それについて、より長くより深くにより日常的によりリアルに考えてきたのが著者なのだろう。
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