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詩集 じぶんのための子守歌 の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2024/05/21

工藤直子さんの詩集ですね。 工藤直子さん(1935年、台湾生まれ)詩人、童話作家、翻訳家、作詞家。  「のはらのうた」を読んですっかりファンになりました。  あとがきに「この本は『詩集』といっているが中身は『詩』という気がしない。ダンゴの芯をはげましてやろうとして『うた』をうたい...

工藤直子さんの詩集ですね。 工藤直子さん(1935年、台湾生まれ)詩人、童話作家、翻訳家、作詞家。  「のはらのうた」を読んですっかりファンになりました。  あとがきに「この本は『詩集』といっているが中身は『詩』という気がしない。ダンゴの芯をはげましてやろうとして『うた』をうたいかったみたいだ。」  ダンゴは工藤直子さんの心です。自分をこの詩を読む人を励ましたい、いろんな気持ちを『詩』にたくされた『詩集』ですね。      はじめて   「あした」というじかんは    はじめて会うじかんだから    あしたになったら ちゃんと    あしたに   「こんにちは はじめまして」    と いおう      じぶんのための子守歌   吐く息が ため息のように通りすぎると   わたしは目を閉じて 心の扉をひらき   忘れていた風景を さがしはじめる   そしてうたう子守歌   ー自分で自分を ゆすってやって   「ひと」って せつないね   「ひと」って さびしいね   「ひと」って がんばるね   「ひと」って けなげだね   「ひと」って おかしいね   「ひと」って がんこだね   「ひと」って こわがりね   「ひと」って ふしぎだね    そして それだからこそ   「ひと」って いじらしいね    吐く息が しずまり     わたしは ゆっくり眠りはじめる    あおむけに寝て 地球に抱かれ    寝返りうって 地球を抱いて    抱いたり……抱かれたり    抱いたり……抱かれたり       だっこ    風はいろんなものを     だっこする    風にだかれて    鳥は    空のゆりかごであそび    風にだかれて    花は    葉っぱをまくらにねむる    あ いま    風がひろがった    地球をだっこするのかな       ひかる たんぽぽ   春が素足でやわらかく歩いてきた   野原はうっとり目をさまし   花柄のブラウスに着がえる   ブラウスに てん・てん・てん・てん   金色の水玉模様がまぶしい   ああ たんぽぽだ たんぽぽだ   太陽がこぼした光のしずくだ   モンシロチョウが かけつけて   はたはた たんぽぽに拍手   てんとう虫は 用事をわすれ   うとうと たんぽぽの中でひるね   かぜが吹き かげろうがのぼり   じまんの春のブラウスをみせたい野原は   綿雲をひきとめて   いつまでも話しこんでいる      ひとつきりの心  まぶしい朝 腫れた目で  今日あうひとのことをおもってみました  心がにぶくなったのでしょうか  毎晩チクチクつくろっていた痛みが  すこしずつ薄れてきます  いわばまあ「分別」ですか  わたしもそろそろ  ー世の中とはそんなものー  うなずくようになるのでしょうか  ひとつきりの心です ひとつきりの  あのひとをおもうときも この心で  となりのおばさんと話すときも この心で  ごはんを食べるときも この心で  ひとつきりの心 けっとばして大の字にねます  ひとつきりの心 毎朝けっとばして起こします スッキリとして清々しい、あふれるばかりの命の賛歌ですね。工藤さんの詩には、はっとさせられます。心の移ろいに寄り添いながら、自分らしさをしっかりと見つけようとされています。擬人化も柔らかいイメージで、自分の心を捉え、前に進めるエネルギーに変えていきます。素敵ですね。ますますお気に入りになりました。

Posted byブクログ

2024/05/13

「身の上ばなし」「うっとり」「きびきび」。 こんなすてきな言葉だったか、とほれぼれ。 擬人化されたたくさんの生き物、植物たちがそれぞれの世界を生きている。 「さようならこんにちは」という詩には、どきっとさせられた。

Posted byブクログ

2022/12/25

前回読んだ、「あいたくて」は、愛についての内容が多かった印象でしたが、本書は、より広い視野において、自分自身を見つめ直してくれる歌ばかりで、その新鮮なものの見方に、はっとさせられたり、共感させられたりして、もう、最初の歌「はじめて」から、既に惹き付けられました。 「あした」と...

前回読んだ、「あいたくて」は、愛についての内容が多かった印象でしたが、本書は、より広い視野において、自分自身を見つめ直してくれる歌ばかりで、その新鮮なものの見方に、はっとさせられたり、共感させられたりして、もう、最初の歌「はじめて」から、既に惹き付けられました。 「あした」というじかんは はじめて会うじかんだから あしたになったら ちゃんと あしたに 「こんにちは はじめまして」 と いおう 若い頃は何故か、こうした内容に共感できなかったけれど、今の年になると、とても清々しくて心地好いものを感じました。 そして、これを発展させた「こんにちは」には、思わず、居住まいを正してしまうような、私たちの住む世界を敬うことの大切さも感じさせられます。 うえむいて あ、そら ──こんにちは したむいて お、じめん ──こんにちは みぎをみて ほ、風がふく ──こんにちは ひだりみて わ、いいにおい ──こんにちは いろんなものが わたしのまわりで おたがいに 「こんにちは」と いっている これが「いる」ってことかな これが「いきる」ってことかな そんな敬服さは、「いきる」にも。 川には川のかんがえがあるような 花には花のはからいがあるような 虫には虫の「宇宙」があるような 鳥には鳥の「宇宙」があるような それぞれが いっしょうけんめい 生きているから わたくしも いっしょうけんめい 生きたくなります 世界は敬服するだけじゃなくて、わたしと一体化することもできるって教えてくれた、「深呼吸」。 息をすうと 「せかい」は わたしに すいこまれ 「せかい」が わたしになる すん・すん・すん 息をはくと わたしは 「せかい」に はきだされ わたしが 「せかい」になる ほっ・ほっ・ほっ 「せかい」とわたし いったりきたりして わたし いきている わたしと一体化できれば、きっと孤独も怖くないね、「ひとりぼっち」。 「ひとりぼっち」は さびしいね 「ひとりぼっち」は せつないね あなたも どこかで そう思っているのかしら だとしたら 「ひとりぼっち」が ふたり いるのね 「ひとりぼっち」は さむいわね 「ひとりぼっち」は なきたいね みんなも どこかで そう思っているのかしら だとしたら 「ひとりぼっち」は いっぱい いるのね そう思ったら なんだか にぎやかな 「ひとりぼっち」 そう思ったら なんだか あたたかい 「ひとりぼっち」 泣いた後には、きっと笑顔になれる、「双子の心」。 「はい」といったら ウソになってしまう 「いいえ」といっても ほんとうではない 「はい」と「いいえ」のあいだに 一00万の 虹色の 答えがある   それが「こころ」っていうもんさ   「はい」と「いいえ」の 双子の心 「おお笑い」のおくに 悲しみの泉がわき 「おお泣き」のはてに 希望のカケラが浮かぶ 「おお泣き」と「おお笑い」のあいだに 一00万の虹色の 人生がある   それが「こころ」っていうもんさ   「わらい」と「なき」の双子の心 あとがきで、工藤さんは、子どもの頃の「なぜ? どうして?」と「ふしぎだな」を感じると、ちょっと涼しい風が吹いてきて、息がしやすいではないか、と書かれていて、そこには、子どもの頃に感じたことが、大人になった自分自身を救う鍵になることを、示しているとともに、自分は何も知らない存在であることを、無意識に自覚していた当時の、自然な気楽さが(あるいは無垢さなのか)、精神的に楽にさせるのかもなんて思いましたし、工藤さんのオマジナイの一つである、『三日坊主も十回やれば三十日』には、子供の頃の私に教えてあげたい気持ちにさせられて、いい言葉だと感じました。 そんな子供心に感じたことがよく表れてる、「いのち」。 ひとは いのちに「かぎり」があるって どうして わかっちゃったかな だんごむしなら たぶん そんなとき (あれっ? ぱたっ)って かんじなんじゃないかな ……だんごむしに感想きけないけど 限りがあるから、こんな言葉を贈りたくなる、「また来てね」。 ありがとう と 日に五十回言い ごめんなさい と 日に千回言い また来てね と 星の数ほど言う   それくらい また来てね また来てね また来てね そして、今後この詩集(歌集)を捲る度に、私は、笑顔でこう叫びたくなるだろう、「えいっ」。 じんせいに 飛び越えねばならぬ川 …みたいなものがあらわれたら 「えぇぇぃっっっ!」と飛ぶ そのとき 「チャランポラン上等!」 と叫ぶ

Posted byブクログ

2021/11/05

とってもとっても素敵だった。 日常をそんな風に拾ってうたにする工藤さんみたいになりたい。 他の詩集も読んでみよう

Posted byブクログ

2021/01/25

これらの詩を読んでいると、ちょっぴり寂しくなったり、あったかい気持ちになったり、懐かしく思えたり。 作者、工藤直子さんの、あとがき  ずっと うたっていよう  がいい。   子どもの頃の、工藤さんは、「なぜ? どうして?」と「ふしぎだな」で、出来ていて、年をかさねていっても、ダン...

これらの詩を読んでいると、ちょっぴり寂しくなったり、あったかい気持ちになったり、懐かしく思えたり。 作者、工藤直子さんの、あとがき  ずっと うたっていよう  がいい。   子どもの頃の、工藤さんは、「なぜ? どうして?」と「ふしぎだな」で、出来ていて、年をかさねていっても、ダンゴのように、いろんな気持ちに包まれてはいるが、ダンゴの芯には、子どものころの気持ちが踏んばっている。  そして、そのことを感じると、ちょっと涼しい風が吹いてきて、息がしやすいではないか。というわけで、「なぜ? どうして?」と「ふしぎだな」を確保・持続するために、工夫してきた ー そのひとつが、じぶん用の「オマジナイ」をつくること。 … 私が中でも、気に入ったのは、 「シンパイするな「わたし(この場合は自分)が そばについている」     です。 読み終えると、安心して眠れそうな 詩集でした。 、、、好きな詩、、、   みえない手紙 どこにいますか おげんきですか 背すじのばして歩いてますか わらう日々を すごしていますか ときどき泣いたりしてますか ちょっとスネたりもしてますか どこにいますか おげんきですか 話につまると空を見あげて きっかけをさがそうとしましたね あの日 あなたもわたしも いっしようけんめいでした どこにいますか おげんきですか わたしは なんとかやっています ときどき ふっとたちどまり あなたを探す自分に気がつき しらぬまに急ぎ足になります どこにいますか おげんきですか あなたとわたしを へだててしまう かぞえきれない春夏秋冬 みえないあなたに きりもなく みえない手紙を書いてます どこにいますか おげんきですか 追伸 = きょうはいい天気です   さようならこんにちは 「またいつか」といわれました その声があんまりやさしかったので もう けっして「いつか」はこないと 思いました 読まずにすてられた恋文が 夜の空をとんでいきます せめて星たちが読んでくれたらと願います 「さようなら」といわれました その声があまりきれいだったので 「こんにちは」といわれたように 聞こえました 胸の扉がカタリとひらく音が はっきりと聞こえて…… いま たしかに あなたに会えたような気がします 「さようなら」のなかに 「こんにちは」がいます 「さようなら」のなかに 「こんにちは」がいます   たましい 「たましい」って なになのか どこにあるのか わからないけど ときどき (たましいがしられぬように泣いている) 気がする   もしも もしもいま いなくなるとしたら ここに こうしている 「わたし」のままで いたい もしもいま いなくなるとしたら 星のように月のように ほんのり光っていたい もしもいま いなくなるとしたら あちこちを みまわして すこし あわててみたい もしもいま いなくなるとしたら 最後に わけしりぶって 少し笑っていたい もしもいま いなくなるとしたら 空にむかって 大地にむかって 呼びかけていたい   あなたに会えてよかった   生まれてきてよかった   あなたに会えてよかった   生まれてきてよかった 、、、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました、、、    

Posted byブクログ

2019/07/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

疲れたときに、とてもこころに染みる、優しい詩集です。 作者の工藤直子さんは天性のセンスがある方だと思います。 春、4月か5月に、広い原っぱに、黄色いタンポポがたくさん咲いていて、綿毛がとんでいるところにひとりで座って、風に吹かれながらお日様に当たっているみたいな、気持ちになりました。 まわりには、誰もいなくて、風も静かに吹いています。 「いきる」 川には川のかんがえがあるような 花には花のはからいがあるように 虫には虫の「宇宙」があるような 鳥には鳥の「宇宙」があるような それぞれが いっしょうけんめい 生きているから わたくしも いっしょうけんめい 生きたくなります 「みえない手紙」「あの日」「さようならこんにちは」「ひとりぼっち」「また来てね」「もしも」も好きでした。 何かこの詩集、ことばのテンポがすごくいいなと思ったら、あとがきの「ずっとうたっていよう」で、工藤さんも「この本は「詩集」といっているが、中身は「詩」という気がしない。ダンゴの芯をはげましてやろうとして「うた」をうたいたかったみたいだ。じじつ歌詞としてつくったものもある」とおっしゃっています。

Posted byブクログ

2015/01/06

まわる地球 みずめぐり 海と空 友だちになる ほたる誕生 だっこ ひかる たんぽぽ ひとりぼっち

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2013/11/11

ひさびさに手に取る工藤直子の詩集。 年を重ねても変わらぬあたたかい言葉の選択。 直子節、健在。 市読後、ここちよい気分に浸れた。

Posted byブクログ