〈わたし〉はどこにあるのか の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
どうして自由意志と責任論になるのかなあと思ったら原題はWho is in charge Free will and science of brainだった。タイトルの訳はちょっとどうかと思った。
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モジュール、創発、分離脳、インタープリターモジュール、 ミラーニューロン、etc. 今まで読んできた「意識本」を 総括するような内容。講義を元にした本なので、そう感じた のかも知れない。ホフスタッターの本を読んだ時に肝心な ところがよくわからない、エッシャーの絵のような印象を 持...
モジュール、創発、分離脳、インタープリターモジュール、 ミラーニューロン、etc. 今まで読んできた「意識本」を 総括するような内容。講義を元にした本なので、そう感じた のかも知れない。ホフスタッターの本を読んだ時に肝心な ところがよくわからない、エッシャーの絵のような印象を 持ったのだが、それに比べればはるかに読みやすいこの本 でも同じような手応えが残ったというのは、「わたし」が どこにあるのかは、まだよくわかっていないし、脳科学も まだまだこれからの分野ということだろうか。「自由意志」 を単に一つの脳内の問題では無く、社会的な脳と脳との間に 生じる問題だという指摘は興味深かった。
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読みやすい。そして少しわかりにくい。優れた一冊。 自由意志は存在するのか、というテーマに絡めて「今自分がどこにいるのか?」といった認知に関する問いかけを連続して浴びせられる。 そしてヒュームの「人間は自由にあるとともに、因果的に決定されている」というあたりに落ち着く。
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<わたし>はどこにあるのか 認知神経科学の父とも言われるガザニガによる脳科学の講義についてまとめたものである。脳科学の進歩によりどのように脳の機能が解明されてきたかを説明しながら、意識や自由意志、人間の社会的関連性や法律や文化について議論している。そしてそれらの影響と脳の関係につ...
<わたし>はどこにあるのか 認知神経科学の父とも言われるガザニガによる脳科学の講義についてまとめたものである。脳科学の進歩によりどのように脳の機能が解明されてきたかを説明しながら、意識や自由意志、人間の社会的関連性や法律や文化について議論している。そしてそれらの影響と脳の関係についても議論していて議論の幅が広い。 脳は脳細胞、脳神経からできており、さらに原子、分子からできているため物理法則から逃れることはできず、決定論から逃れることはできないと言う考え方がある。それに対しては、量子力学の確率的な可能性よりも複雑系の考え方をとり結果は予測できないとしている。しかし、どうもごまかしているように感じてならない。つまり予測することができないので意識は決定論では説明できない、あるいは決定論的ではないと言っているように思えるが、果たして正しいのだろうか。 脳の基本的な配線は、生命の遺伝的プロセスと自然淘汰により作られており、DNAに書き込まれている。そして、脳は各部の脳神経組織による分散処理システムであり、左脳のインタープリターが見たり聞いたりした現象を説明していると言うことが示されている。そしてそれらは脳障害の事例や心理学的な実験を含めて説明されており興味深く、それらの機能の範疇でしか作動しないと言うことでもあり、人間あるいは個人の限界を感じざるを得ない。 また、機械なら故障は修理すると言うことになるが、人間の行動の問題は脳の故障として直すのか、それとも自由意志の結果だとして罰を与えるのかという議論も興味深い。 人間の行動に関しては脳が勝手にやったのか、自由意志による選択によって行動したのかと言うことは重要な問題であり、人間社会の法律判断、選択による自由などについて法廷でも脳科学が判断に使われ判決に影響している。 興味を引く議論は多々あるが、やはり自分が自分をコントロールしていると言う感覚は存在している。それはどうやら各部の脳の活動のダイナミクスの中で生じている感覚を意識と呼んでいるだけではないのか。つまり、実際のところ何も存在しない、言ってみれば「空」なのかも知れない。
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脳科学の最先端(原書2012年) どんどん次が読みたくなる面白さ。 脳に中心はない。あるのは入力を処理するたくさんのインタープレターだけ。
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名前からはわかりにくいが、脳科学の立場で意思決定から法的責任までを考える本である。近代的自我なるものは各個人が論理的に物事を考えられることを前提にしているが、実は案外周囲の環境で左右されていて、その前提が怪しいというのは考えさせられる。結局脳科学で分析できることよりも、人間相互の...
名前からはわかりにくいが、脳科学の立場で意思決定から法的責任までを考える本である。近代的自我なるものは各個人が論理的に物事を考えられることを前提にしているが、実は案外周囲の環境で左右されていて、その前提が怪しいというのは考えさせられる。結局脳科学で分析できることよりも、人間相互の関係の中で決まる部分が多いらしい。この辺のことはよく言われる話だが、一番面白かったのは最後。精神喪失や精神耗弱の疑いがある人をどのように裁くか、そして脳科学はどのように関われるか。脳のスキャンで嘘本当や責任能力を見抜けるわけではない。結局相互の関係による部分が大きいという結論に達しているのは示唆的である。
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認知神経学の研究者、ガザニガのギフォード講義を元にまとめられた一冊。 原題は"Who is in charge?" 人が人たるのは何ゆえか?人の頭の中にホルムンクスが存在するのか、人には完全な自由意志があるのか、それとも脳内の物質的な反応のみに全てが帰結するの...
認知神経学の研究者、ガザニガのギフォード講義を元にまとめられた一冊。 原題は"Who is in charge?" 人が人たるのは何ゆえか?人の頭の中にホルムンクスが存在するのか、人には完全な自由意志があるのか、それとも脳内の物質的な反応のみに全てが帰結するのか。 ガザニガの結論は「ひとつの脳を見ていても何もわからない」。何故なら人と人との関係の中にしか人間の選択と行動は存在しないのだから。 認知神経学の最新の研究成果を期待していると若干肩透かしをくらう結論だ。
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タイトル通りで「自由意思」に関する本。この手の本は色々読んでいるので内容的には既に聞いた話が多く、今回の本に関してはあまり目新しさはなかった。それでもこのテーマの本はやっぱり面白いですね。
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昔習ってそう面白くも思わなかった分離脳がこんなに面白いものだったなんて。最後まで失速せずあらゆる分野を巻き込んだ台風のような講義。
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メンインブラックで描かれる「病院に搬送された人 間の顔をあけると出てくる『小さい宇宙人』」。わ れわれの中には同様にホムンクルスがいて、会いたい人との待ち合わせ日時や食べたいもののある店をどれにするか決定しているのか。 脳は、体と独立した器官なのだろうか。我々はどの ように意思...
メンインブラックで描かれる「病院に搬送された人 間の顔をあけると出てくる『小さい宇宙人』」。わ れわれの中には同様にホムンクルスがいて、会いたい人との待ち合わせ日時や食べたいもののある店をどれにするか決定しているのか。 脳は、体と独立した器官なのだろうか。我々はどの ように意思決定を下すのだろうか。これに「脳は他の器官同様」であり、意思決定は、認識したものと 認識したものの間隙をイメージする(作話する)能力の総合であるとする立場から展開される一冊。 法制度における脳科学の位置づけが特に印象的でし た。
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