どろぼうのどろぼん の商品レビュー
ものの声が聞こえるどろぼん.もののために泥棒するという設定が素敵.すべてのものに命は宿っているのだとしみじみ思った.ひょうひょうとしたどろぼん,取り調べの警察官,みんないい人たちで,あたたかい気持ちになりました.
Posted by
久しぶりの児童書。とっても可愛らしくて良い本だった。 持ち主から必要とされなくなったモノたちの声が聞こえるどろぼん。私も何か盗まれてるかもしれない。私は安いものを沢山買う癖がある。一つ一つの物を大切にしようと思った。 よぞらがかわいい。会いたい!
Posted by
職場の司書の先生に薦められて。(ともにシニア)挿画も素晴らしい。 わたしは何を盗まれたかな。 身の回りを見渡してみる。 子どもたちの描いた絵、とか、盗まれないようにしとこう。 そして、誰かが捨てずにおいている何かを、勝手に捨ててはいけないね。
Posted by
いい本。ファンタジー苦手なんだけど、程よくで ところどころはいる挿絵も本当に素敵。 子供に是非読ませたい。
Posted by
どろぼんには、ものの声が聞こえる。持ち主さえ忘れてしまったもの、そこにいたくないというものの声。だから他人の家に忍び込み、ものを盗み出す。 静かにじわりと染み込んでくる言葉。現実感がないようで、しっかと目の前にあるような感覚。 本を読むことの楽しさ、物語の面白さが詰まっている。
Posted by
不思議でわくわくするどろぼうと友達のお話。 どろぼうのどろぼんが警察で話す不思議な物語、どんな展開になるのか引き込まれる。 言葉の使い方、風景描写もとても美しい。読んでよかった、久しぶりの児童書。 朝日小学生新聞の書評欄でおすすめされていた一冊。
Posted by
「だれでもみんなまちがうし、その小さな無数のまちがいがあつまって、世界はできている。 そのぜんぶを一気になんとかすることはできなくて、ただ自分の近くにあるまちがいによりそい、手をさしのべるしかないんだ」 そうやってみんなが生きていれば、世界はなんてあたたかく幸せなんだろう・・・ ...
「だれでもみんなまちがうし、その小さな無数のまちがいがあつまって、世界はできている。 そのぜんぶを一気になんとかすることはできなくて、ただ自分の近くにあるまちがいによりそい、手をさしのべるしかないんだ」 そうやってみんなが生きていれば、世界はなんてあたたかく幸せなんだろう・・・ 斎藤倫さん、いつもながら言葉がとてもきれい。
Posted by
ものの声。 それは役割があって生まれてきていて、その人のところにものを戻すのがどろぼんなのかな。 私も何かをどろぼんに盗んでもらったのかな。 部屋の中のものと会いたくなった。
Posted by
どろぼんは「もの」の声が聞こえる。どろぼうの天才だ。絶対に捕まらなかったどろぼんが、ぼく(刑事)につかまった。どうしてなのか。どろぼんの供述を聞く形で物語は進んでいく。 必要とされていない、なくなっても誰も気がつかない、なんなら自分がなくなってしまったほうがいいと思っている「も...
どろぼんは「もの」の声が聞こえる。どろぼうの天才だ。絶対に捕まらなかったどろぼんが、ぼく(刑事)につかまった。どうしてなのか。どろぼんの供述を聞く形で物語は進んでいく。 必要とされていない、なくなっても誰も気がつかない、なんなら自分がなくなってしまったほうがいいと思っている「もの」の声が聞こえるどろぼんは、その不思議な力でどろぼうをしてきた。詩人の方の文章だからか、音・リズムが印象的な言葉が出てきた。繊細で優しいおはなし。 作中でものといきものはそもそもちがう世界にあるものであり、どちらかの声を聞けば、どちらかの声は失うことになる、と言われている。ものの寂しさや悲しさに耳を傾けて救ってきたのに、いきものの声に耳を傾けて救うことと、何がそこまで変わってしまうのか、いまだに考えている。一方的な感情から双方向的なやりとりに変わっていくことが大きいのかな。 これまで受動的にものの声を聞いて生きてきたどろぼんが、持ち寄られる悲しさや寂しさだけでなく、よぞらを通して信頼されることを経験する。その中で、自分からどの声を聴くのか能動的に選んで、変わっていく。
Posted by
斉藤倫さんの、「波うちぎわのシアン」が、独特な雰囲気を纏っていたのがずっと気になってまして。 次に読んだこの作品は初の長篇物語で、シアンより以前の作品なのですが、テーマは似たものを感じました。 「波うちぎわのシアン」が、生まれる前の映像を見られる能力で、子供が生まれようとする当...
斉藤倫さんの、「波うちぎわのシアン」が、独特な雰囲気を纏っていたのがずっと気になってまして。 次に読んだこの作品は初の長篇物語で、シアンより以前の作品なのですが、テーマは似たものを感じました。 「波うちぎわのシアン」が、生まれる前の映像を見られる能力で、子供が生まれようとする当時の、忘れかけていた喜びや思いに気づくことの大切さだったのに対して、今作は、物の声を聞くことができる能力なのですが、ただし、それは、持ち主に忘れられてしまい、無くなっても気づかれない物です。 そして、自分がなくなったほうがいいと思っている物も含まれ、しかもそれは物だけではなく、それ以外の声もあり、その内容は胸を引き裂かれる思いでした。 悲しいけれど、現実に起こっていることなのですね。 そんなものたちの視点に立つことで教えてくれるのは、ものを大切にする気持ちとともに、思いこみなしに、どんな小さな声にも耳をかたむけて、世界を視ることでした。 かといって、それで世界を救えると安易に言っているわけでもなく、むしろ、人間みんな間違いもするし、その小さな無数の間違いが集まって、世界はできていて、私たちにできるのは、自分の近くにある間違いに寄り添い、手をさしのべるしかないこと。 ただ、それで自分の世界は成り立っていけるという思いは、この物語の主人公「どろぼん」にとって、大きな慰めになったのだろうと思います。 物たちの声を聞きながら、どろぼうをしていた、どろぼんにとって初めて訪れた、信頼されることや、胸が苦しくなるような気持ち。 それまで自然に行動することができたどろぼんが、当惑しつつも、考え続け、本当に聞きたい声が何なのかを実感し、自らの思いで行動に移す。 その行動には能力ではない、どろぼん自身の人間性が問われることになり、怖いと思うけれど、それでも、その声を欲する強い思いに、これまでの行いが報われる形となり、また、それに関わる刑事たちの思いこみなしの人間性(それはどろぼんが教えてくれた)に、あたたかい感動を覚えました。 また、「信じられているということは、ひなたの大きな岩の上にねころんだみたいな心地」のような、共感できる詩的な表現が所々、印象的だったのですが、斉藤倫さんは詩人ということを今更知り、なるほどと。 シアンもどろぼんも、自然の表現に独特な美しさを感じたのですが、詩人の方が書く物語の味や雰囲気みたいなものも、なんかいいですよね。 やはり、世界の視方が新鮮で面白い。 そして、「牡丹靖佳」さんの、時折、メリハリの効いたカラフルな絵も、また印象的で興味深かったし、斉藤倫さんの詩集も是非読みたいです。
Posted by