意識をめぐる冒険 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
意識は特別なものではなく、進化の過程で合理的に形成された自動反応メカニズムだろうということです。だから、私の脳のニューロンと他のニューロンとの電気パルスの伝達を決めているシナプシスの値が、すべてシミュレーションされると、私の意識が計算機上に出てくるだろうと思われます。ニューロンとシナプシスの構成は単純なので、枠組み作りは不可能ではない。ただ、一本のニューロンは1万の他のニューロンと繋がっているし、数は千数百億本あるので、簡単ではないですね。一番の問題は、シナプシスの結合係数は数が多すぎて計測しようもないだろうから、自習学習が必要だろうけど、その方法は全くわからないですね。そういう意味では、本当の人工意識まだまだ先ですね。 あと、意識は生物には普遍的な進化の産物だと考えてられるので、他の生物にもレベル差はあっても、意識はあると考えるのが合理的です。自分を客観的に見れるのは、人と同等レベルの脳構成が必要かもしれませんが。犬に感情があるのは歴然ですし、感情は意識そのものだから。コッホ氏もベジタリアンになったそうです。
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「情報を処理し、なおかつその情報を統合できるシステム」 あるいは「内在的な情報を生み出すシステム」であれば、 それが人間の脳だろうと、犬の脳だろうと、虫のであろうと ワイヤーとトランジスターで作られた電子回路であろうと 何らかの意識を持つとする「汎心論」とも言える考え方が 印象に...
「情報を処理し、なおかつその情報を統合できるシステム」 あるいは「内在的な情報を生み出すシステム」であれば、 それが人間の脳だろうと、犬の脳だろうと、虫のであろうと ワイヤーとトランジスターで作られた電子回路であろうと 何らかの意識を持つとする「汎心論」とも言える考え方が 印象に残る。「意識」は人間において初めて獲得することの できた特殊なものではなく、この宇宙にありふれている、 ごく当たり前の存在だというこの考え方が、なぜかすとんと 腑に落ちてきた。日本人には割と受け入れやすい考え方なの かも知れない。 ただ、研究は進み知見はどんどん増えているとは言え、意識 に関する科学的探求はまだほんの端緒を開いたばかり─この 本を読んでもその思いは変わらなかった。 あと、これからの哲学者・宗教者は脳科学を押さえておか なければ、立ちゆかなくなる、そんなことも思いました。
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意識はどこからくるか?かなり刺激的で面白い。科学がどこまでこの世界を明らかにできるのか?神とは?日本の八百万の神の考え方は作者が言う世界に蔓延する意識と何か通じるものがある気がする。突き詰めれば、意識はその入れ物によらないというのも、いつかは人類が到達するかもしれないなんて考える...
意識はどこからくるか?かなり刺激的で面白い。科学がどこまでこの世界を明らかにできるのか?神とは?日本の八百万の神の考え方は作者が言う世界に蔓延する意識と何か通じるものがある気がする。突き詰めれば、意識はその入れ物によらないというのも、いつかは人類が到達するかもしれないなんて考えるのも楽しい。
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意識を科学的に説明しようと20年も頑張ってこられたクリストフ・コッホさんの本。たぶん、一流の科学者の方であろう。しかし、科学について書かれた一般書を読むといつも科学者の方の情熱に感心する。凄いなぁと思う。 2011年に書かれた本なので、かなり最新の情報が盛り込まれていると思う。...
意識を科学的に説明しようと20年も頑張ってこられたクリストフ・コッホさんの本。たぶん、一流の科学者の方であろう。しかし、科学について書かれた一般書を読むといつも科学者の方の情熱に感心する。凄いなぁと思う。 2011年に書かれた本なので、かなり最新の情報が盛り込まれていると思う。コッホさんの考えでは、意識そのものは物理的な世界とは別世界のものではあるが、物理的な世界によって生み出されているということのようである。といっても魂が存在するというようなものではない。 本書でも触れられていた、ポパーさんとエックルズさんの「自我と脳」を読んでみようと思った。なぜなら、彼らが心と脳は別物で心身二元論を主張していると批判されることもあるが、ポパーさんの主張はそう単純ではなく、むしろ、コッホさんの考えに近いんじゃないかなと思ったからだ。 それと、科学に関する本なんだけど、なんだかとてもロマンティックで、ところどころでグッと来る文章がに出会えた。いやぁ~いい本だった。 Mahalo
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「意識」に関する最新の研究について紹介した本。 ディープラーニングの盛り上がりから機械に人格が生まれるのも時間の問題か、みたいな雰囲気になりつつあるけど。知能と意識の間には、まだまだ大きな隔たりがあるのだと気付かされる。
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なぜ人の意識について研究するのかを著者自身の生い立ちに遡り説明し、宗教や哲学など交え意識とは何かを考察するのを導入とし、臨床医学や、様々な実験結果(人間が手を動かそうとするより先に手が動いているなど)などにより、その考察を深く掘り下げる。本書でも統合情報理論が取り上げられているが...
なぜ人の意識について研究するのかを著者自身の生い立ちに遡り説明し、宗教や哲学など交え意識とは何かを考察するのを導入とし、臨床医学や、様々な実験結果(人間が手を動かそうとするより先に手が動いているなど)などにより、その考察を深く掘り下げる。本書でも統合情報理論が取り上げられているが、汎心論の進化形と論じ、宗教の話に回帰しつつ、まだ最終理論にはならないと結論付けている。終章では宗教を批判しつつ科学の進歩が意識の謎を解くとしている。似たようなテーマの本を何冊か読みましたが、まだまだこれからの分野のようです。この先が楽しみです♪
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特に、自由意思と意識に関わる7章と8章は秀逸。 意識が創発的な現象であるとする考え方はとても感覚的にわかり易くて受け入れやすいんだけど…それでは許して貰えないらしい。意識の存在することは誰にでにも自明なのに、そこから先へは各界の気鋭が束でかかっても一向にはっきりしないのは何故なん...
特に、自由意思と意識に関わる7章と8章は秀逸。 意識が創発的な現象であるとする考え方はとても感覚的にわかり易くて受け入れやすいんだけど…それでは許して貰えないらしい。意識の存在することは誰にでにも自明なのに、そこから先へは各界の気鋭が束でかかっても一向にはっきりしないのは何故なんでしょうね…
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第一章をさらっと読んだ時は、ハード・プロブレム(心身問題)を中心に扱った、よくある啓蒙本なのかと思った。しかし終章の自伝的な記述を読むに至り、これは脳科学を専門とする著者が私生活で襲われた不思議な感覚ーー人生がいかに「無意識」に支配されているかーーの意味を探ろうと、自らの壮大な研...
第一章をさらっと読んだ時は、ハード・プロブレム(心身問題)を中心に扱った、よくある啓蒙本なのかと思った。しかし終章の自伝的な記述を読むに至り、これは脳科学を専門とする著者が私生活で襲われた不思議な感覚ーー人生がいかに「無意識」に支配されているかーーの意味を探ろうと、自らの壮大な研究をもう一度つぶさに解し直した過程を描いた、まさに「冒険」の名に相応しいものであることに気がついた。 著者の研究自体、「意識」そして「無意識」を還元主義の立場から説明しようとするもの。研究に研究を重ねたはずの対象に、研究外の思いがけないところで悩まされるというのが著者にとっては何とも皮肉だが、この皮肉が終盤立ち上がってきて別の角度からテーマを照らしなおすという効果が本書に特別の彩りを与えている。脳科学を巡るトピックが満載の本書だが、何と言ってもこの読後感がすばらしい。
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池谷裕二先生が 「読売新聞」(2014年9月14日付朝刊)で紹介しています。 (2014年9月14日)
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