熱狂なきファシズム ニッポンの無関心を観察する の商品レビュー
7年前に出版された本ではあるけど、話題に古さは感じなかった。ここで書かれている政府について、および日本社会の水面下で静かに進む「ファシズム」については当時より進んでいることを感じるから、ため息をつきながら読んだ。声を挙げることに反感を買われ、黙っていることでそれを進めてしまってい...
7年前に出版された本ではあるけど、話題に古さは感じなかった。ここで書かれている政府について、および日本社会の水面下で静かに進む「ファシズム」については当時より進んでいることを感じるから、ため息をつきながら読んだ。声を挙げることに反感を買われ、黙っていることでそれを進めてしまっているということは、毎度の選挙の低投票率や政治的不祥事への反応でもう見えているが、本当に現状を変えたければ、やはり行動で示さないといけない…と言ってもそれが通じないのでジレンマとなる。現在開催中のアレに対する「始まってしまったから云々」という言葉やそれに対するマスやネットで見られる反応にも、決してこれと無関係ではない、とか言ってしまったら反感を買われそうだな。とまれ、ファシズムには精いっぱい抗いたいので、この秋の選挙は投票するし、せめて周囲には必死で訴えたい。
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想田和弘さんについては、内田樹さんのアンソロジーにも寄稿されていたし、映画「演劇1」「演劇2」だけは見たし、何よりも、Facebookの中での発言をいつも見させていただいて、反-安倍、反-原発推進、民主主義擁護のスタンスにはほぼ常に共感させられている。 この本は始めの3分の1ほど...
想田和弘さんについては、内田樹さんのアンソロジーにも寄稿されていたし、映画「演劇1」「演劇2」だけは見たし、何よりも、Facebookの中での発言をいつも見させていただいて、反-安倍、反-原発推進、民主主義擁護のスタンスにはほぼ常に共感させられている。 この本は始めの3分の1ほどが、自民党改憲草案への徹底的な批判、3.11後の「おかしな日本」についての分析に当てられており、あとは雑多な(しかしドキュメンタリー映画論中心の)エッセイ集となっている。 現在の日本の選挙制度についての疑問点にはなるほどと思った。想田さんの映画「選挙」「選挙2」も見てみたい。 また、想田さんの指摘によると、ヒトラー政権出現時の大衆の「熱狂」とは逆に、現在の日本が向かっているのは、無関心な静かさの中でのファシズム化である。日本の一般庶民の政治意識の低さは、今に始まったことではないというか、天地開闢以来、日本の市民が政治的意識が高かったことはないと思う。それでいて、言論・表現の自由などを好きなように満喫しているのが現在の日本人だ。そうした自由、個人の基本的人権、民主主義を明らかに蹂躙する意図を隠そうともしない自民党改憲案を、なぜ国民はろくに批判しようとも、調べようともしないのか。 日本のファシズムは、無関心に支えられて成長している。 一方で、この本に含まれている想田さんのドキュメンタリー映画「観察映画」のセオリーにも興味深いものがある。あらかじめ表現者側が用意した「台本」を排除して客体である人物や状況に接近し、先入観抜きで遭遇した「現実」が、映像により切り取られる。これはインチキ臭いTV番組とは一線を画するものであり、かつ、現代芸術の手法として有効だと思う。 むきだしの現実との出逢い、その体験が映画を作ることそのものでもあるのだ。 ただし、長時間にわたって撮影された映像は、映画としてのパッケージ化にあたって当然きりつめられ、編集される。その「編集」に際して、いかに(予定調和的、イデオロギー的、情動的な)自己を抑制できるか。そこがキモになってくるだろう。 本書は2014年夏に刊行されたもので、収録された文章はそれ以前のもの。安保法制強行採決とその際に生じた、若者達を中心とする巨大なデモについては当然書かれていない。 しかし原発事故をめぐる考察、自民党や橋下徹についての批判、映画「永遠の0」の危険性など、読むに値する文章がてんこ盛りである。
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今の日本の政治状況に対する著者の見方に強く共感した。第1章と「あとがきのような『永遠の0』論」は今、多くの人々に読まれるべきだろう。また第3章の「観ること」の権力性に関する指摘や、現代のすぐれた表現活動(ドキュメンタリ、演劇)やそこで生み出されている新たなものの見方について、教え...
今の日本の政治状況に対する著者の見方に強く共感した。第1章と「あとがきのような『永遠の0』論」は今、多くの人々に読まれるべきだろう。また第3章の「観ること」の権力性に関する指摘や、現代のすぐれた表現活動(ドキュメンタリ、演劇)やそこで生み出されている新たなものの見方について、教えられるところがたくさんあった。
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ファシズム=全体主義、今の日本は「政治的無関心」が束となって国民が形成され、それに便乗する姑息な政治家がのさばる状態になってしまった。 憲法条文の「不断の努力」、著者の言う通り試されている世の中かもしるない。
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想田和弘『熱狂なきファシズム』河出書房新社、読了。ファシズムに必然するのが狂気的熱狂だ。しかし著者は今日のファシズムを「じわじわと民主主義を壊していく」低温火傷という。「ニッポンの無関心を観察する」(副題)と、憲法改正、特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認への現在が浮かび上がる。...
想田和弘『熱狂なきファシズム』河出書房新社、読了。ファシズムに必然するのが狂気的熱狂だ。しかし著者は今日のファシズムを「じわじわと民主主義を壊していく」低温火傷という。「ニッポンの無関心を観察する」(副題)と、憲法改正、特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認への現在が浮かび上がる。 気がついたときには手遅れになるのがファシズムの特徴だが、内向きなナショナリズムに喝采し、ヘイトスピーチが公然とまかり通り、貧困と格差が増す現在日本は、もはや「平時」ではない。反知性主義の勢いは民主主義を窒息させようとしている。 「僕は、私たちの一人ひとりが普段から目の前の現実をよく観て、よく聴くことこそが、巡り巡って『熱狂なきファシズム』への解毒剤になりうるのではないかと考えている。なぜなら虚心坦懐で能動的な『観察』は無関心を克服」するからだ。 世の中の変化のスピードが加速する現在は同時に忘却の速度が加速化している時代。だからこそ「現在」をよく観る必要があろう。著者が「観察映画」で追求してきた「能動的な存在としての観客と、互いに尊重し啓発し合う対等な関係」の構築こそ現在の課題だ。 “『永遠の0』が興行的に大成功した最大の秘密は、それが表面上「反戦映画」の体裁をとったことにある” 「あとがきのような『永遠の0』論」で締めくくられるが、こうした戦術と下支えする心情が「熱狂なきファシズム」を加速させる、警戒せよ。 関連記事 時代の正体(29)熱狂なきファシズム(上):神奈川新聞 http://www.kanaloco.jp/article/78063/cms_id/103021 時代の正体(30)熱狂なきファシズム(下) 有権者の無関心、なぜ:神奈川新聞 http://www.kanaloco.jp/article/78115/cms_id/103191
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あれ?っと思うようなことが少しずつ増えているように思っていた、まさにこのことが書かれている。 政治的なこと、反原発…思っていても、口にするとなんだか違うものと一緒くたにされそうだったけれど、まさにそれこそがあの人たちの思うつぼ、じゃないか。
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マザーテレサさんの言葉でしたね 「愛」の反対の言葉は「無関心」である その「無関心」が 今のニッポンでは 「自分たちの暮らし」そのものに向かっていると、警鐘を鳴らしていると、さまざまな具体的な「例」を挙げて、考察されている。それも 今まさに この場で起こっているものばかり。 ...
マザーテレサさんの言葉でしたね 「愛」の反対の言葉は「無関心」である その「無関心」が 今のニッポンでは 「自分たちの暮らし」そのものに向かっていると、警鐘を鳴らしていると、さまざまな具体的な「例」を挙げて、考察されている。それも 今まさに この場で起こっているものばかり。 そのなれの果て(!)を考えていくと… 怖ろしい としか 言いようがない もし この一冊がまだ入っていない近所の図書館があるのならば ぜひ リクエスト図書にしましょう 追記 この夏に『永遠の0』を見る機会があった。いつもなら、話題になりすぎているモノには極力近づかないようにしているのでるが、このときはひょんなことから観ることになってしまった。まぁ、最後まで観てしまったのであるが、観ている途中も、見終わった後も、なんだかしっくりとこないシコリのようなものが残っていた。今回、この本の「あとがきのような…」を読んで、あぁ、これだったんだなぁ、と改めて気付かされたような気がする。
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凄い!読んでよかった。何と無く感じる、最近の日本社会に対する違和感を、想田さんは誰にでもわかるように分析している。この違和感の分析は観察映画で我々が映像をみて自分なりのバイアスに左右されながらも映像の中で起こっていることを、 分析し、理解するまでの手法そのものである気がする。そう...
凄い!読んでよかった。何と無く感じる、最近の日本社会に対する違和感を、想田さんは誰にでもわかるように分析している。この違和感の分析は観察映画で我々が映像をみて自分なりのバイアスに左右されながらも映像の中で起こっていることを、 分析し、理解するまでの手法そのものである気がする。そう思うと、なおさら凄いな、この本は。しかし、もしかしてもしかするとこの本が発禁になる日も来るのかもしれない…。
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14/10/03。 14/10/25読了。皮相の裏の皮相。『永遠の0』批評については、このような言葉使いは少しの違和感あり。
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「選挙」や「精神」で知られるドキュメンタリー映像作家(本人は観察映画と呼んでいる)による評論集。宇都宮健児氏や平田オリザ氏との対談も収録。 「熱狂なきファシズム」という言葉は著者による造語であるが、今の日本をとてもよく表現した言葉だと思う。ファシズムという言葉には熱狂というイメ...
「選挙」や「精神」で知られるドキュメンタリー映像作家(本人は観察映画と呼んでいる)による評論集。宇都宮健児氏や平田オリザ氏との対談も収録。 「熱狂なきファシズム」という言葉は著者による造語であるが、今の日本をとてもよく表現した言葉だと思う。ファシズムという言葉には熱狂というイメージが伴うが、ファシズムに熱狂は必要ない。むしろ、「低温火傷のごとくじわじわと静かに進行する」方が怖い。まったく同感である。 自らの作品「選挙」の上映会をめぐる体験から導かれた言葉、「つくづく憲法とは、立派な文面があるだけでは不十分であり、使わなければ意味がない」に、わが身を正される思いがする。 憲法第十二条に、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」とあるように、国民が憲法を使っていかなければ、憲法は宝の持ち腐れになってしまう。 この国を覆う恐るべき無関心と闘うには、「日々の生活の中で、自分にできることをやり続けていく。自分に拾えるゴミを拾い続けていく」「わーわー騒ぐ」ことに尽きると、著者は言う。上に挙げた憲法第十二条にあるように。 他に面白かったところは、僕も観たドキュメンタリー映画「アルマジロ」や「アクト・オブ・キリング」についての、映像作家ならではの視点からの文章。最後の「永遠の0」論も良かったけれども、これについては原作は読んだものの映画については観ていないのでコメントは避し控えたい。
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