理系アナ桝太一の生物部な毎日 の商品レビュー
アナウンサーの楽しい自然体験記…と思うなかれ、かなりレベルの高い内容に触れている。そして、レベルの高さに反して分かりやすい。 中高生時代のチョウ、大学のアナゴ、大学院のアサリ…それぞれで行った研究手法が後の研究や経験にも見事に反映されているのは素直に驚く(普通そんな上手くはいかな...
アナウンサーの楽しい自然体験記…と思うなかれ、かなりレベルの高い内容に触れている。そして、レベルの高さに反して分かりやすい。 中高生時代のチョウ、大学のアナゴ、大学院のアサリ…それぞれで行った研究手法が後の研究や経験にも見事に反映されているのは素直に驚く(普通そんな上手くはいかないものなのだ)。 著者の研究に対する真摯な姿勢に感銘を覚える一方で、これでも「自分は向いてない」と研究者を諦めるその道の厳しさ、自分がいかに上っ面の受験勉強(しかも高校以降は受験勉強をしていないにも関わらず、である)しかしてこなかったかの恥ずかしさなど、様々な感情が湧いてくる。 勉強や研究をするのにも体力がいるって真理だよね。「先ず獣身を成して後に人心を養え」とはよく言ったものだ。
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日テレのエースアナウンサーとして活躍してこられた桝さん。 退社したときは、フリーになったほうが収入も良くなるから、という噂が独り歩きしましたが、入社当時からサイエンスコミュニケーションの仕事がしたいと思っていたことが、この本を読むとわかります。(発行は2014年7月) 少...
日テレのエースアナウンサーとして活躍してこられた桝さん。 退社したときは、フリーになったほうが収入も良くなるから、という噂が独り歩きしましたが、入社当時からサイエンスコミュニケーションの仕事がしたいと思っていたことが、この本を読むとわかります。(発行は2014年7月) 少年時代は野原で昆虫を追いかけ、一貫校の名門中学に入学したら生物部に所属し、ひたすら筋トレに励み、山登り&連泊キャンプで蝶を追い、高校に進級したら学び舎のそばにある有栖川公園の植栽調べに精を出し、公園の高低差を測り、自前で等高線を引き、ジオラマをつくって学園祭で発表した。 東大進学してからは小笠原でのダイビング。海の生物に興味がうつる。そして大学院ではアサリの研究。横浜市の金沢八景の海岸で夏は潮干狩り、冬は干潮の時間が夜中なので、昼間、潮が満ちた状態で海水に浸かり、凍えながらアサリを漁る。 しかし、ここで挫折。アサリの研究をするにも、研究成果をまとめるにも統計学の知識が必要だった。昔から数学が苦手だったため四苦八苦。担当教授からは「君に統計学を教えることは僕の仕事じゃないんだよ」と言われた。この先、研究者の道に進むのはもう難しいかもしれない。 ならば、科学を面白く伝えることを仕事にしよう、そうだ、アナウンサーになろう! ということで、唯一内定がもらえた日テレに入社。 かいつまんでいうとこんな感じ。 そしてここから、みんなが知っているアナウンサーとしての枡さんの人生が始まります。 新人の頃は、「エンタの神様」の前振りを担当(新人アナウンサーが必ず担当していたらしい) 全く場を盛り上げることができず、しんどい経験もした。悩みすぎて眠れない夜も過ごした。 しかし、あるとき、24時間テレビの1コーナーで東京湾にいるスナメリ(イルカの一種)を追いかけるレポートをしたときは、原稿なんかなくても、スラスラと言葉がでてきた。ディレクターからも、枡くんの笑顔初めて見たよ、と言われるくらい生き生きとできた。 そしてついに人気番組、「鉄腕!DASH!」の東京湾再生のビックプロジェクトの担当アナに任命されて、大ブレイク。思い描いてきた仕事にやっとめぐりあえた。 だから退社してからもダッシュの仕事は続けているわけです。 つまりは、桝さんは入社前から、サイエンスコミュニケーターになりたいと思っていたということです。 なんか楽しそうですね、桝さん。 ほんとはNHKの番組に出たかったそうなので、NHKさん、桝さんをメインに据えて、なんか新しい科学番組を作ってください。
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桝さんのまるごと生き物愛に満ちた本であると同時に、少年が青年になり、やがて大人になっていく物語だなと思った。 元々チョウが好きで中高では生物部に入り、その後大学に進学して西表島行きたさをきっかけにスキューバダイビングのサークルに入る。そして海の生物に興味がわいてアナゴやアサリを...
桝さんのまるごと生き物愛に満ちた本であると同時に、少年が青年になり、やがて大人になっていく物語だなと思った。 元々チョウが好きで中高では生物部に入り、その後大学に進学して西表島行きたさをきっかけにスキューバダイビングのサークルに入る。そして海の生物に興味がわいてアナゴやアサリを研究する。大学院にも進学するも、あらためて自分の進路について考える。「好きなことを伝えるのが得意」と気づいてアナウンサーになった。 それだけではキラキラしたように聞こえるが、本人的にはそこまで「デキる」人ではなかったようだ。また、文中に明確には書かれてないけど挫折があったことが伺える。卒論が散々なものだったらしく、「好きな気持ちだけではカバーしきれない自分の実力不足」という言葉からは決して超えることなんてできない挫折感が直に伝わる。この人も苦労した人間なんだ、、、って思うと自分の中の桝さんを見る目がさらに優しくなるのを感じた。 ただ、生物やそれを取り囲む環境も観察してきたからか、いつも目の前の現実をしっかりと捉えていたように感じた。だから、仕事で想定外の事態が起きた時もそれなりの対処をしている(さすがにふて寝は笑えた。しかも案外悪くない効果を生み出してたw)。好きを突き詰めると副産物も生まれる。経験は役に立つときがくる。 クスッとなってたまにウルッとくる素敵な本でした。
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テレビはあまり見ないほうですが、それでも桝アナウンサーのことは知っていました。桝さんの生き物愛が詰まっているし、文章も読みやすい。好きなことのためにどれだけ人生を使うか、キャリアを考える視点でも楽しめる本。 ただどうしても、都会に住み、親御さんが教育にお金を使ってくれて、人脈に恵...
テレビはあまり見ないほうですが、それでも桝アナウンサーのことは知っていました。桝さんの生き物愛が詰まっているし、文章も読みやすい。好きなことのためにどれだけ人生を使うか、キャリアを考える視点でも楽しめる本。 ただどうしても、都会に住み、親御さんが教育にお金を使ってくれて、人脈に恵まれた環境が手を伸ばせば届くところにある、そんな恵まれた環境にある人の話だな、という思いが読んでいて自分の中に残ってしまった。 学問の「好き」を追い求めることが、もっと多くの人にとって手を伸ばしやすくなってほしい。
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〇岩波ジュニア新書で「学校生活」を読む② 桝太一『理系アナ桝太一の生物部な毎日』(岩波ジュニア新書、2014) ・分 野:「学校生活」×「部活」(文化部) ・目 次: プロローグ 思い出の島へ Ⅰ 生き物との出会い Ⅱ チョウ男の日々 Ⅲ 有栖川班の挑戦、そして理系...
〇岩波ジュニア新書で「学校生活」を読む② 桝太一『理系アナ桝太一の生物部な毎日』(岩波ジュニア新書、2014) ・分 野:「学校生活」×「部活」(文化部) ・目 次: プロローグ 思い出の島へ Ⅰ 生き物との出会い Ⅱ チョウ男の日々 Ⅲ 有栖川班の挑戦、そして理系へ Ⅳ アナゴ大学生 Ⅴ アサリ漬けの修士課程 Ⅵ 「理系アナ」の試行錯誤と現在地 エピローグ ふたたび、西表島から ・総 評 本書は、著者である桝太一さんが、自分の中学生から大学院生時代を振り返りながら、その「生き物」に対する熱い思いを語った本です。著者は、日本テレビアナウンサーで、いわゆる「理系アナ」として数々の番組に出演していました。 著者の熱い語りを聞いて(読んで)いると、生物部に限らず、文化部で活動することの面白さが伝わってきます。この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点でまとめます。 【POINT①】同じ気持ちを持つ仲間たちと「共有」する時間 著者が中学・高校時代に夢中になっていたのが「チョウ」です。ただ、こうした虫を「気持ち悪い」と思う人もいるでしょう。著者も、そうした言葉を過去に言われたかもしれません。ですが、本書で書かれているのは、同じチョウ好きな部員たちとの楽しい思い出です。言うならば、文化部は共通の趣味を持った人たちの集まりです。そこで「めずらしいもの、新しいものを発見したいという探究心」を持って「その腕を〔部員たちと〕競い合いたくなる」時間こそ、文化部の醍醐味だと言えます。他人の目を気にせず、共通の趣味をもった仲間たちと一緒に、好きなことに熱中する――そうした時間を大切にしてほしいと思います。 【POINT②】みんなで「作り上げる」喜び 著者は、生物部に「有栖川班」というグループを作り、学校近くの有栖川公園の植物について調べ、それをジオラマ形式にして文化祭で発表しました。その制作過程は、まさに「山あり谷あり」という感じでコミカルに書かれていますが、その時の様子について「自分たちで考え工夫して進めて、曲がりなりにも結論にまで達することができた」瞬間は「何にも代えられないくらい達成感に満ちたもの」だと述べています。文化部での活動では、自分の好きなものを題材に、何かを「作り上げる」経験をして欲しいと思います。たとえ、精度が低くても、何かを成し遂げた経験は君たちにとって大事な“財産”になるはずです。 【POINT③】好きなものを極めると「生き方」が変わってくる 著者は、多くの生き物を観察していく中で「あるがままを受け入れる強さ」を知ったと述べています。即ち、自然の中で「自分の置かれた状況を受け入れて、さりとてあきらめず、自分のできることだけをまっすぐやり続けること」の大事さを生き物たちから教わり、著者も何かに迷った時は、この「強さ」を思い出すようにしているそうです。このように、自分が好きなものを突き詰めていくと、自分なりのポリシーや考え方が生まれてきます。それは、何かに困った時や悩んだ時、自分が立ち戻る「原点」になります。文化部の活動で、こうした「原点」を持つことができれば、それだけ人生は豊かなものになるでしょう。 本書は、何も難しいことは考えずに、著者が自分の好きなもの(生き物)をひたすら楽しそうに語る姿を見(読み)ながら、自分もこうした学校生活を送ってみたいと憧れる――これが、一番正しい読み方なのでしょう。一度きりの中学校生活なのですから、ぜひ、自分の好きなものを追求してみてください。そうして過ごした時間は、君たちにとって素晴らしい“思い出”となり“経験”になるはずです。文化部という選択肢を前向きに考えてもらえれば嬉しいです。 (1320字)
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麻布中学・高校の走り込みから始まる生物部、アナゴとアサリに青春を捧げた東大時代、新人アナウンサー時代の失敗を研究者の手法で乗り越えるくだり。 どれも素直に面白くて、中学高校時代に読んで将来に希望を持つ少年少女の姿が目に浮かぶ。 一方で、麻布中学に通えるくらい親が教育熱心で...
麻布中学・高校の走り込みから始まる生物部、アナゴとアサリに青春を捧げた東大時代、新人アナウンサー時代の失敗を研究者の手法で乗り越えるくだり。 どれも素直に面白くて、中学高校時代に読んで将来に希望を持つ少年少女の姿が目に浮かぶ。 一方で、麻布中学に通えるくらい親が教育熱心で一定の資産に恵まれた家に生まれたというスタートの良さは、まるで当然のことのように書かれていて(当たり前だが彼にとってはそれがデフォルトで当然なのでしょうがないのだが)、そこに対する視点は、あえてなのか意識してなかったのか全くない。 大人の目で読んでしまうと、そういう意味で、ちょっと絶望も感じる本である。「進学校に通うレベルの高い生徒だと、『自分で学ぶ』学習ってこんなに成果が出るんだな〜」みたいな醒めた思考が浮かんでしまうのは否めない。
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生物部や、生物学の研究者(大学院生)などを体験してきた筆者の半生を通して、生き物がいかに好きかや、生き物から学べることなどがまっすぐ書かれていて、面白かった。 その人が何か好きなものについて語ってる本というのが好きだなーと改めて思った。
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桝さんの誠実で一生懸命でありながら不器用そうななお人柄を、ZIPやDASH海岸でいつも拝見しておりました。マスマス大好きになっちゃいました。 中高生時代の生物部の体験が面白く、今の中高生にもぜひ読んでもらいたい! 死んだらどうなるのか…という不安をもっていること、それに対しての考...
桝さんの誠実で一生懸命でありながら不器用そうななお人柄を、ZIPやDASH海岸でいつも拝見しておりました。マスマス大好きになっちゃいました。 中高生時代の生物部の体験が面白く、今の中高生にもぜひ読んでもらいたい! 死んだらどうなるのか…という不安をもっていること、それに対しての考察?も興味深かった。自然にあまり興味のない私も、最後まで一気読みしました。
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我が家にはテレビがないのでその業界での有名人というものにとんと疎いのであるが、そんな私でもちょっと聞いたことがあるような超有名アナウンサーのジュニア新書ということで偵察的に図書館借り。ジュニア新書に適切と思われる分量と内容でさらっと読了。 中学高校での生物部の話から大学のサークル...
我が家にはテレビがないのでその業界での有名人というものにとんと疎いのであるが、そんな私でもちょっと聞いたことがあるような超有名アナウンサーのジュニア新書ということで偵察的に図書館借り。ジュニア新書に適切と思われる分量と内容でさらっと読了。 中学高校での生物部の話から大学のサークル、大学院での研究とまだ若い著者の記憶鮮明な描写が新鮮である。こういう本に小学校高学年から中学生あたりにかけて出会えると、時代背景の近い体験を共有しやすく、視野の広がる子どももいるのであろうと想像される。 しかし、こういうバックグラウンドの人って日テレどうなんでしょう。あんまり合う感じしないけどね〜。これからの彼のキャリアパスにまで思いを馳せてしまった。
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とにかく読みやすかった〜! 学生時代の話が沢山あり、どれも個性的で面白い。 数学は苦手だからで片付けずにやっておいたほうが絶対将来のためになる。ほんとうにそれ 以下、心に残ったことの引用です。 "時間がかかることを不安に思わず、1段1段確実に階段を上っていけば、いつかは届く。"...
とにかく読みやすかった〜! 学生時代の話が沢山あり、どれも個性的で面白い。 数学は苦手だからで片付けずにやっておいたほうが絶対将来のためになる。ほんとうにそれ 以下、心に残ったことの引用です。 "時間がかかることを不安に思わず、1段1段確実に階段を上っていけば、いつかは届く。" "自分の置かれた状況を受け入れて、さりとてあきらめず、自分のできることだけをただまっすぐにやり続けること。"
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