(日本人) の商品レビュー
今まで語られてきた「日本人論」を覆す新しい「日本人論」です。 日本人は実は欧米人以上に合理的で個人主義だという著者の意見はとても興味深いものでした。
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非常におもしろかった。従来の日本人論に反して「日本人は実は世界の中でももっとも世俗的」だという見方は意外なようでいていろんな現象にピタリと当てはまっているところに感銘を受けた。
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面白かった。日本人が空気を読むのは、超越的な物を持たない民族としての「世俗的に生きた」結果であるという説。リバタリアニズムと実は親和性が高い考え方なのだという論にハッとする。福祉国家は資源があって人口が少ない北欧型のモデルでしかうまくいかない、というのはその通りで、かといって日本の医療制度がリバタリアニズム的に崩壊していくのを私は看過できない。 まあ、いろいろ考えさせられる一冊だ。東浩紀の書評もよい。
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日本人は空気の中で生きている。空気とは勿論、世間とかそういうものだ。 世間というムラ社会が日本人の基礎単位であるが、その空気の中で居心地の悪さを感じるのはなぜか。 それは世間の中に同調圧力が存在するから。では、数十年、数百年と日本という島国で培ってきた世間に何ゆえ未だに居心地の悪さを感じたままの日本人は変わらないのか。 ここで、作者は空気とは別の要素、水の考えを持ちだす。 水とは世俗。空気を読み同調した有象無象の日本人像とは違う、世界でも唯一の超個人主義という日本人の姿を映し出す。 さて、日本人論です。日本人論大好き日本人です。 ルース・ベネディクト「菊と刀」以来、日本民族の特異性をあぶり出そうとする活動は途切れることが無い。 今まで読んだ諸々の本から日本人とはこういうものだろうと俺はこう思っている。 「Twelve Y.O」福井晴敏の小説の題名より。その意味はダグラス・マッカーサーの言葉だ。 日本人は12才の少年のようだ。 権力からの抑圧、外国からの侵略、様々な圧力から市民が革命を起こして自由を手にする。 世界各国には自由を得るまでの独立史がある。それが、特にアメリカだが国民のよりどころとなっているところが大きい。 しかし、日本にはその歴史がない。明治維新、終戦とパラダイムシフトを経験しているが、市民による独立闘争というものを経験せずに資本主義の恩恵を受けている。 日本には社会が無い(もともと明治期に入ってきたSocietyという概念を社会と名付けた)。 社会という物は何かという概念を知らずして手に入れてしまった。日本にあるのは世間という空気だ。 「私が米兵にはハローと言ってチッスをすればいいのか?」 前に読んだ山本七平「日本はなぜ敗れるのか」に載っていた、終戦の報を聞いて降伏する前の日本兵上官の言葉である(これにはかなり衝撃を受けた)。 空気が変われば、その空気を読んで態度を変えるのが日本人である。 これが一つ目の特異性。 二つ目に島国日本という地理的特異性がある。 東アジアは中国に対する冊封体制の歴史を持つ。中国皇帝に対して君臣の関係を結び、その体制下で国を統治する。 日本という国はその島国という立場を利用し中国朝鮮からの文化を享受する一方、辺境国という地勢を活かして「知らないフリ」をする事で全てを受け入れることはなく独自の文化を発展させた。 この、社会概念の欠如と辺境の島国という地理が日本の特異点ではないか、と俺は思っている。 さて、で、今回の本は日本人を世界でも稀な個人主義だと定義する。 「日本には『空気=世間』の他に、『水=世俗』という原理がある。『水を差す』とは『空気の支配』に対して世俗の原理をぶつけることだ。 『そんなことやったって、しょせん損するだけだ』といわれたとき、それまでの盛り上がっていた議論は水を差され、現実(世俗)に引き戻される。 このことは、日本における『空気の支配』と矛盾しない。『世間』の拘束が強いのは、そうしなければひとびとをひとつの共同体にまとめておけないほど日本人が『個人主義的』だからなのだ」 一般的なサラリーマン家庭、父母子を考えた時、父は会社という世帯を有し、母子は子を中心としたママ友という世帯を有する2世帯と見ることができる。 さらに、子は成長すれば子で1世帯である。 家を出てワンルームマンションに住み1世帯であるのは、家族みんなで住むということが当たり前の世界からは奇異に見えるらしいが、世帯が別と日本人は無意識に感じている。 ここに日本人の個人主義を見ることができる。 ちなみに俺のオヤジは定年退職してから実家でオカンと二人暮らし。すでに邪魔もの扱いされて親戚に愚痴っているらしいのだが、同じ部屋に2世帯は相いれないことがよくわかる。 ムラ社会の大家族が古き良き日本の象徴であるが、それは個人主義を空気で繋いでいただけに過ぎない。 核家族と来て無縁社会になり、今まで見過ごされてきた日本人の個人主義が浮かび上がる。 空気を読んでいるはずなのに、この居心地の悪さはなんなのか。 そんな矛盾を感じる人に、一つの答えがある。
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