1,800円以上の注文で送料無料

グローバリズムという病 の商品レビュー

4

20件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    8

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2014/11/24

グローバルな人材、グローバルな企業、ここ何年も耳にタコな「グローバル」「グローバリズム」。かっこいいような、先進的なイメージながらも、なんとなく眉唾なものを漠然と感じる訳が分かった。やっぱりそういう面があったのね、と。そして、現政権への不安感って、右傾化だけじゃなく、そういう危う...

グローバルな人材、グローバルな企業、ここ何年も耳にタコな「グローバル」「グローバリズム」。かっこいいような、先進的なイメージながらも、なんとなく眉唾なものを漠然と感じる訳が分かった。やっぱりそういう面があったのね、と。そして、現政権への不安感って、右傾化だけじゃなく、そういう危ういものを推し進めようとする経済政策にも、やっぱりあったのか…と、腑に落ちた。 腑には落ちたけど、とりあえず、出来ることって、何なのか、じっくり考えてみなければ。

Posted byブクログ

2014/11/20

平川克美『グローバリズムという病』東洋経済新報社、読了。「グローバル○○って、いい加減ウンザリしませんか?」(帯) そう思うなら紐解くべき一冊。本書は、グローバル「信仰」とその起源を追跡する経済エッセイ。想像の産物である国民国家と株式会社が飽くなき自転車操業で幻灯するのがグローバ...

平川克美『グローバリズムという病』東洋経済新報社、読了。「グローバル○○って、いい加減ウンザリしませんか?」(帯) そう思うなら紐解くべき一冊。本書は、グローバル「信仰」とその起源を追跡する経済エッセイ。想像の産物である国民国家と株式会社が飽くなき自転車操業で幻灯するのがグローバルだ。 発端はアメリカの守旧主義。グロバーリズムという名の重力の下で進むのは階層化と貧困の拡大。自己責任論を声高に喧伝しながら多国籍企業の収奪システムが国民経済システムを破壊する。しかもその内実は、本家アメリカのコピペ・下請けだから周回遅れが必然となる。もはや劣化ウラン弾のごとき状態だ。 著者は戦後の日米関係を自身の半生と重ね合わせながら省察を重ねるが、スーパーグローバル大学に見られるような戦後日本への強迫観念こそ、「美しい日本」(安倍晋三w・大笑い)を破壊する不断の「敗戦」であり、それは慢性的な成人病に他ならない。 「『今や、英語ぐらいできないと世界に乗り遅れる』とか、『グローバル化に対応して日本も鎖国的な状況から脱しないといけない』とか、『このままでは、日本は世界に取り残されてしまう』とは言うが、そこに『乗る』ことのメリットとデメリットとは何なのか、そもそもグローバリズムとは何であるのかについての議論はほとんどなされていない。  あるのはただの『英語熱』。『アメリカ熱』。アメリカへの憧憬と、羨望、へりくだり」。 本書は地に足をつけた生き方取り戻す処方箋だ。

Posted byブクログ

2014/11/08

ご本人も自覚ありそうだけど、夏目漱石の私の個人主義に通じそうな本だった。 読んでる最中はちょっと好きになれないかなーと思ったわりに、読み終わってみたら意外にふせん沢山貼っていた。 一番響いたのはウルグアイ大統領ホセ・ムヒカの演説の引用でしたが。。 これから先世界はどこに向かって行...

ご本人も自覚ありそうだけど、夏目漱石の私の個人主義に通じそうな本だった。 読んでる最中はちょっと好きになれないかなーと思ったわりに、読み終わってみたら意外にふせん沢山貼っていた。 一番響いたのはウルグアイ大統領ホセ・ムヒカの演説の引用でしたが。。 これから先世界はどこに向かって行くのかなと考えさせられる本でした。

Posted byブクログ

2014/10/20

・グローバリズムとは、アメリカが世界に広めたイデオロギーのことで、いわゆるグローバリゼーションとは区別している。 ・「今や、英語ぐらいできないと世界に乗り遅れる」とか「グローバル化に対応して日本も鎖国的な上京から脱しないといけない」とか、「このままでは、日本は世界に取り残されて...

・グローバリズムとは、アメリカが世界に広めたイデオロギーのことで、いわゆるグローバリゼーションとは区別している。 ・「今や、英語ぐらいできないと世界に乗り遅れる」とか「グローバル化に対応して日本も鎖国的な上京から脱しないといけない」とか、「このままでは、日本は世界に取り残されてしまう」とはいうが、そこに「乗る」ことのメリットとデメリットとは何なのか、そもそもグローバリズムとは何なのかについての議論はほとんどなされていない。 ・日本人は元来グローバルという言葉に弱いのである。その理由は、明治期以降、東アジアの島国から脱皮して、西欧近代国家にキャッチアップすることが国是であった時代、産官あげて西欧に範を求め、西欧に学んできた経験が、世界有数の経済大国になった今でも、西欧コンプレックスというかたちで一種のトラウマになって残っているからだろう。 ・民主主義の発展段階において、常に海外先進国にキャッチアップするという明快な目標を持ち続けてきた日本人において、海外先進国との比較はただの目標である以上のものがあった。周囲を海で囲まれ、同一の言語を共有し、一億総中流という時代を経て、平和を教授してきた日本人は、自分たちが日本人であるということをほとんど意識しなくてもよかった。さらに言えば、戦後GHQによる統治と、日米安全保障条約や地域協定に規定された日米関係における米国への依存の構造を受け入れてきた日本人は、ナショナルアイデンティティという観念を屈折したかたちで内面化し、それを表だって議論するというkとおを避け続けてきたのである。それを突き詰めていけば、日本は政治的にも、軍事的にも、主体的な選択の余地はほとんど残されておらず、せいぜいが経済的な優位性というところに自らの存在理由を見出すことしかできないということを、多くの日本人が無意識のうちに感じ取っていたからだろう。主体的な選択の余地のないところに、主体的な自己定位もない。だから日本人は、常に何かからのビハインドというかたちでしか、自分たちのナショナルアイデンティティを確率するポジションをとることができない。日本人が自己を規定するときには、自分たちが何処にビハインドしているのかというかたちをとるのであり、その何処がない場合はには探し出すという奇妙な行動をとるのである。 ・グローバルスタンダードなんていうものは本来存在していない。ただ、ビハインドによる自己定位を常態にしてきた日本の政府も、企業も、自分たちが何にビハインドしているかの明確な指標が欲しいのだ。そして、それがなければ作り出す。こうしてグローバルスタンダード信仰が生まれてきたのだろう。 ・グローバリズムとは世界を豊かにし、人間を貧困や圧政から解放するための社会思想でも経済思想でもなく、ビジネス勝者が勝ち続けるための、露骨な、なりふり構わないお金儲けの方便に過ぎない。 ・グローバリズムをつくり上げたのは「株式会社」というシステムであり、「株式会社」というものが対抗する障壁とは「国民国家」そのものである。「株式会社」は生まれながらに超国家的な存在として、この世界に生まれてきたのである。 ・株式会社は資本と経営の分離という原理において、右肩上がりの社会を前提とした発展途上モデル。 ・今、日本の人口は1億3000万人から急激に減少をしていく過程にある。この国民全体が、生活水準を維持してゆく方法を考えるのが、経済政策の基本的な目標になるべきだ。日本を企業が最も活動しやすい場所にすると安倍首相は述べたが、日本は企業のためにあるのではない。 ・グローバリズムが主張する正当性がトリクルダウン効果である。富めるものがより裕福になることによって露が大木から滴り落ちて枝下の雑草に注がれるように、貧乏人にも恩恵があるというのがトリクルダウン効果。もう何年も前からそのようなことが言われているが、露が大木から滴り落ちてその恩恵にあやかったなどという話は、ついぞ聞いたことがない。 ・グローバリズムは、これまでのところ、資源は無限に存在し、人間はそれらの資源を無限に消費できるという前提で思考されてきた。問題は、資源の流動性が不十分であること、この世界には非効率なものが残っていることであり、それらを効率化すれば、人間は更なる資源の恩恵にあずかれると考えてきた。・・・しかし、それはビジネスという枠組みの中だけで有効性を持つ限定的な論理である。 ・この本のタイトルに「病」という語を使った理由は、それが何か悪いものであるとか、無くなってしまえばよいとかいう否定一辺倒の対象ではなく、むしろうまく付き合っていかなければならないものであり、ときには必要不可欠であり、ときには毒にもなるというものを表現したいと思ったからなのです。

Posted byブクログ

2014/10/05

もうそれは概ねわかっているんだ。自分でも思考したし、本もたくさん読んでいる。それでどうするのっていうことにページの多くを割いている本は無いものか。私にとってはもう問題提起はお腹いっぱい。

Posted byブクログ

2014/09/09

英語熱とアメリカ熱だけ。 多国籍企業。脱国家 グローバリズムの発信源は成長とシェア獲得を自己目的化した多国籍企業。 多国籍企業にとってはニッチ市場は困るから。 商品は他者志向にある。 読まれるべき日本語を目指す。 漱石の文学の拝啓にはアジアの劣等な島国が近代化していく過程の中にお...

英語熱とアメリカ熱だけ。 多国籍企業。脱国家 グローバリズムの発信源は成長とシェア獲得を自己目的化した多国籍企業。 多国籍企業にとってはニッチ市場は困るから。 商品は他者志向にある。 読まれるべき日本語を目指す。 漱石の文学の拝啓にはアジアの劣等な島国が近代化していく過程の中における知識人としての誇りと不安といったアンビバレントな心理的葛藤がある。

Posted byブクログ

2014/08/31

面白い。書かれてある内容についてはすべてにおいて 同意したいことばかり。 内田樹氏の仲間的な著者なので、内容的には 同じようなことではありますが、平川氏のほうが 論理的・理論的によくわかる気がします。 株式会社とグローバリズムに対しての警鐘。 成長すること・右肩上がりであること...

面白い。書かれてある内容についてはすべてにおいて 同意したいことばかり。 内田樹氏の仲間的な著者なので、内容的には 同じようなことではありますが、平川氏のほうが 論理的・理論的によくわかる気がします。 株式会社とグローバリズムに対しての警鐘。 成長すること・右肩上がりであることのみを 前提とした株式会社制度が先行きが成り立たなくなる。 そのためにグローバリズムを標榜し、国民国家の解体に 向かうということになってしまう。 それでいいのか?成長することだけが是なのか? ということはいろんな方向で考えていく必要があるのだ と思います。とはいえ無邪気に生活していかないと いけない現実はあるのですが。。。

Posted byブクログ

2014/08/19

書いてあることの全てに同意してしまう。 「法人税やら優遇制度やら国内の事業環境が悪いと主張して日本を出て行った会社は二度と戻ってくるな」、これをはっきり言う人が居ない事にイライラしてたんだよね、はっきり言ってもらってすっきり爽快。

Posted byブクログ

2014/08/11

グローバリズムとは何なのか? 世界がグローバル化している&国際的な取引が当たり前になってきていると言うならば、古代の時代から、人はグローバルを目指して商売をしてきているはずであり、それがなぜ今ここまでクローズアップされ、声高に叫ばれるのか不思議で不可解だったが、その疑問に答えてく...

グローバリズムとは何なのか? 世界がグローバル化している&国際的な取引が当たり前になってきていると言うならば、古代の時代から、人はグローバルを目指して商売をしてきているはずであり、それがなぜ今ここまでクローズアップされ、声高に叫ばれるのか不思議で不可解だったが、その疑問に答えてくれる本だった。 日本には日本の価値観があり、経済活動があり、人口減少の時代に入った成熟社会にとって、それは単純な成長ストーリーを描くことにどうしても無理を感じていたが、そもそもそのようなことを信じ叫ぶ人達とは世界観や歴史観、人間観が根本的に異なることがよくわかった。 目先の人も幸せにする気持ちも情もない存在に対して、貴重な自分の力を使うわけにはいかない。そんな風に感じた。

Posted byブクログ

2014/08/03

確かに、企業や政治家や評論家などがアホの一つ覚えのようにグローバリズム、グローバリズムと言っているのにはうんざりする。 そういう事象が進行しているのも事実だろうけど、それが全てではもちろんない。 ローカルなことや、多様なことがなくなったらこの世はどれほど退屈でつまらない世界に...

確かに、企業や政治家や評論家などがアホの一つ覚えのようにグローバリズム、グローバリズムと言っているのにはうんざりする。 そういう事象が進行しているのも事実だろうけど、それが全てではもちろんない。 ローカルなことや、多様なことがなくなったらこの世はどれほど退屈でつまらない世界になるのだろう。 鎖国をしていた時代、日本は小さな藩という地域社会がたくさんあり、総体として高いダイバーシティを実現していたように思うし、それが日本という国の強さになっていたように思う。 この本では世界規模でのグローバリズムをテーマにしているが、日本国内においても東京グローバリズムが蔓延し、地域社会からゆっくり命を吸い上げている。 世界でも、国内でも、優位なものがルールを押しつけている。世の中でよしとされているものに対して、その価値観は本当にそんなに素晴らしいものなのか?と、僕らはもう少し懐疑的になってもいいのではないかと思う。

Posted byブクログ