ローマ亡き後の地中海世界(2) の商品レビュー
中世地中海世界。この本の裏ではオットーが戴冠式をし、黒死病がはやり、百年戦争が勃発。ハプスブルク家が力を蓄え、メヂチ家の財がルネッサンスを産む。激動の中世ヨーロッパの地中海も海賊の嵐が吹き荒れた。感心したのは「救出修道会」と「救出騎士団」。腐り切った中世キリスト世界にも、こんなに...
中世地中海世界。この本の裏ではオットーが戴冠式をし、黒死病がはやり、百年戦争が勃発。ハプスブルク家が力を蓄え、メヂチ家の財がルネッサンスを産む。激動の中世ヨーロッパの地中海も海賊の嵐が吹き荒れた。感心したのは「救出修道会」と「救出騎士団」。腐り切った中世キリスト世界にも、こんなに献身的に高い理想のもと活動した人々がいたことに感動した。 コラムとしてセルバンテスの奴隷の話しが差し込まれていたことには驚き、ドンキホーテへの影響も感じられた。
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北アフリカから到来するサラセンの海賊に蹂躙されるイタリアの海洋都市国家。各国は襲撃を防ぎ、奴隷とされた人々を解放すべく対策に乗り出し、次々と海軍が成立。二つの独立した国境なき救助団体も結成された。イスラム勢力下となっていたシチリアにはノルマンディ人が到来し、再征服。フランスとドイ...
北アフリカから到来するサラセンの海賊に蹂躙されるイタリアの海洋都市国家。各国は襲撃を防ぎ、奴隷とされた人々を解放すべく対策に乗り出し、次々と海軍が成立。二つの独立した国境なき救助団体も結成された。イスラム勢力下となっていたシチリアにはノルマンディ人が到来し、再征服。フランスとドイツを中心に十字軍も結成され、キリスト教勢力の反撃の狼煙があげられた――。
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海賊による拉致被害が物凄かったようで、しかしながら奴隷とされた人々を救出に向かった修道士や騎士団は大したものだ。十字軍のじだいに入った。
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「人間とは、良かれ悪しかれ、現実的なことよりも現実から遠く離れたことのほうに、より胸を熱くするものである。(p92)」 9世紀から12世紀の地中海を舞台とした海賊と十字軍のお話 1巻のイスラムの寛容下のシチリアに続いて救出修道会と救出騎士団についても収めているが 引用にあるキリス...
「人間とは、良かれ悪しかれ、現実的なことよりも現実から遠く離れたことのほうに、より胸を熱くするものである。(p92)」 9世紀から12世紀の地中海を舞台とした海賊と十字軍のお話 1巻のイスラムの寛容下のシチリアに続いて救出修道会と救出騎士団についても収めているが 引用にあるキリスト教徒の人間らしさに並び 同じ宗教ゆえでの救出行もまた人間らしさと対比の効いた一冊 国家や宗教の力では救われない名も力もなき人々を 海賊という営利組織が奪い 宗教の名の下でうしろめたさと贖罪意識という善意組織が救う 理屈で割り切れぬけれどそれよりほかにどうしようもない人の歴史の確かな一面だ
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
サラセンの海賊のやりたい放題の時代(内陸部のモンテカッシーノ修道院や、さらに奥地のヴィンチェンツォ修道院まで襲われるわ、ローマの近隣に拠点まであるわ)から、海洋都市国家群(アマルフィ、ピサ、ジェノバ、ヴェネチア)による制海権奪回(というか、自国の商船群の保護)、そして南イタリアのノルマン人征服と時代が進んでいく。しかし、250人から初めて南イタリアとシチリアを征服しちゃうとか何なのよw(機が熟していたと言うことなんだろうけど)ノルマン王朝下のシチリアでキリスト教徒とイスラム教徒が本当に共存共栄していたのであれば、充分に研究がなされるべきだよなあ(なされているのを知らないだけなのだろう) そして後半の勇気ある人達の記録。『救出修道会』『救出騎士団』こういった無私の愛を実践した(そして倒れていった)人達が本当に居たのかという気持ち。そして、彼等を支えたのがインノケンティウス三世という驚き。ただし、彼等の『善意』がもたらしたのは奴隷化された人達の救出だけで無く、貧しい人をさらうことすら海賊ビジネスとして成立する事を支えてしまったという面もあること。それでも、彼等は文字通り聖人だよなあ。 あと驚いたのは、北アフリカの金のためにイタリアの海洋国家群が彼等に売った品物。海賊船のための木材(それも船のために加工したものも)、海賊船の帆に使う布、海賊の戦闘員が使う金属製の防具…
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北アフリカを拠点とするサラセンの海賊に蹂躙されるイタリアの海洋都市国家。各国は襲撃を防ぎ、拉致された人々を解放すべく対策に乗り出し、次々と海軍が成立。二つの独立した国境なき救助団体も組織された。 イスラム勢力下となっていたシチリアにはノルマンディ人が到来し、再征服。フランスとドイ...
北アフリカを拠点とするサラセンの海賊に蹂躙されるイタリアの海洋都市国家。各国は襲撃を防ぎ、拉致された人々を解放すべく対策に乗り出し、次々と海軍が成立。二つの独立した国境なき救助団体も組織された。 イスラム勢力下となっていたシチリアにはノルマンディ人が到来し、再征服。フランスとドイツを中心に十字軍も結成され、キリスト教勢力の反撃の狼煙が上がり始めた・・・。 (当書裏表紙あらすじより) 暗黒時代の地中海。 その暗黒時代からの脱却という意味もあるルネッサンス。 でも片や文明復古を謳歌しつつあるところもあれば、同時代にイスラムの海賊に拉致され、奴隷として酷使された人々もいた、というのには少々驚きました。 歴史とはそういうものなのでしょうね。 このイスラムに海賊は18世紀まで厳然として存在していた、というのだから驚きです。 十字軍とは別の国境なき救助団体。 修道会や騎士団による救出団体ですが、戦う訳ではなく寄付で身代金を集め、それを支払うことで救助していた、というのは何だか今の時代にも似たようなことが思い起こされ複雑な心境になりました。 次はいよいよトルコ侵攻とヴェネツィアの躍進、のはず(笑) 楽しみです♪
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読了。 ローマ亡き後の地中海世界 2 海賊、そして海軍 / 塩野七生 もちろん1の続きでローマ亡き後地中海世界がどうなってたから、相変わらずイスラム海賊ですね。10世紀ころからのまとめです。 シチリアはノルマン人登場でキリスト教の手になり王国化 ピサ、ジェノヴァ、アマルフ...
読了。 ローマ亡き後の地中海世界 2 海賊、そして海軍 / 塩野七生 もちろん1の続きでローマ亡き後地中海世界がどうなってたから、相変わらずイスラム海賊ですね。10世紀ころからのまとめです。 シチリアはノルマン人登場でキリスト教の手になり王国化 ピサ、ジェノヴァ、アマルフィ、ヴェネツィア等の海洋都市国家化 海賊には海軍で!みたいな感じでピサ、アマルフィ、ジェノバが合同海軍を用意しだす。ヴェネツィアは独自路線。(海の都の物語はこの時期っすね) 十字軍の時代、十字軍やってても地中海は海賊ですよと。 ヨーロッパ諸国の沿岸で海賊により拉致され奴隷になったキリスト教を救出する組織 救出修道会と救出騎士団のお話 慈悲の心はすごいですね。 黒人奴隷がどうのという前にイスラム海賊とイスラム地域によるキリスト教奴隷商売があったということですね。奴隷の歴史は長いですねぇ。もちろんイスラムの前にもあったでしょうが。それがもうビジネス化してるんだから止まらないですわね。 ルネッサンス時期もその周辺では海賊と奴隷で苦しむ人がいたってこってす。おいたわしや...。 ということで面白かったです。 次の目次見るにバラバラな国が大国化するようなのでイベリア半島からイスラム追い出されるのかねぇ。
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ローマ亡き直後の世界から,十字軍前後の時代に時期を移した地中海世界の話になっています。イタリアで勢力を伸ばしてきた海洋都市国家が,北アフリカからの海賊に対抗するためにどのような政策を採ってきたのか,また,北アフリカとの貿易を維持するためにどのようなことをしたのかが話題の中心にな...
ローマ亡き直後の世界から,十字軍前後の時代に時期を移した地中海世界の話になっています。イタリアで勢力を伸ばしてきた海洋都市国家が,北アフリカからの海賊に対抗するためにどのような政策を採ってきたのか,また,北アフリカとの貿易を維持するためにどのようなことをしたのかが話題の中心になっています。 十字軍は地中海の西と東の話とのことで,この作品の中では簡単に触れられているだけでしたが,読んで行くと,次に「十字軍物語」を書きますよというようなヒントが垣間見られて,「何で作品が発表されるまで気がつかなかったんだろう?」と再読することで思ったりもしました。 北側もやられるだけでは終わっていないという時代の話です。 とはいえ,時代が変わり,1492年を迎えます。「あの街をください」といったマホメッド二世がコンスタンティノープルを征服したことで,地中海を挟んだ海賊や海軍の争いは,北と南の争いから,西と東の争いに構図が変わってきます。
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相変わらず塩野七生の本は面白い。海賊ってこういうものだったんだ。。。キリスト教とイスラム教の戦いがよくわかる。結局、これが今でも続いていということに納得。
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コアなイスラム教徒の勢力爆発と、イスラム教徒でよいという選択をした人々の経済的理由からの海賊行為への傾倒がよくわかる。 また、キリスト教徒が同じキリスト教徒の奴隷を救おうとする活動は、宗教としての正しさではなく、それぞれの良心が行動の美しさを決めることだと思わされる。
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