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嘘と絶望の生命科学 の商品レビュー

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13件のお客様レビュー

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2014/09/10

アカデミアを断念し,医転して現在は病理医をしている著者が,自分の経験と科学への関心・期待に基づいてバイオ分野での研究不正の背景に切り込んでゆく本。 研究環境にまつわる負の側面ばかりが強調されてしまっているので,これを読んで,科学なんてまるでダメじゃないかと感じてしまうかも知れない...

アカデミアを断念し,医転して現在は病理医をしている著者が,自分の経験と科学への関心・期待に基づいてバイオ分野での研究不正の背景に切り込んでゆく本。 研究環境にまつわる負の側面ばかりが強調されてしまっているので,これを読んで,科学なんてまるでダメじゃないかと感じてしまうかも知れない。教授の権力濫用,ピペド問題,研究者教育の不徹底,ポストの不足,過度な競争,研究費の分取り合戦,インパクトファクター至上主義,ゲストオーサーシップ…。こういうシステムが,捏造や剽窃の温床になってしまっていて,ディオバン問題やSTAP細胞問題は氷山の一角にすぎないという。 研究不正問題に関しては,春に下のような感想を抱いたのだけど,かなりナイーブだったなと感じている。 "門外漢ですが,自然科学の研究者にはただ誠実であってほしいと願う者です。その姿勢が完全に欠落している人間が,なぜあんなポストを得て,周りも皆騙されてしまったのか,それだけが分かりません。市民の応援とかどうでもいい。業界の自浄努力を願ってます" 難題であることは間違いないが,今度のことをきっかけに,バイオ研究の構造的な問題にメスを入れて少しでも改善していって欲しい。

Posted byブクログ

2014/09/10

【STAP細胞騒動の背景を解き明かす】STAP細胞事件は氷山の一角に過ぎない。バイオ研究の現場で何が起きているのか、元研究者で病理医の著者が背景を解き明かす。

Posted byブクログ

2014/08/11

2014 8/9読了。ご本人からいただいた本。 あの『博士漂流時代』を書かれた榎木先生の最新刊。 STAP細胞問題で注目が集まるバイオ業界を中心に、研究不正がなぜ起こるのか、その背景にある構造を丁寧に、でも実感をこめて解説していく本。 教授への権力集中、労働集約的でやればやった...

2014 8/9読了。ご本人からいただいた本。 あの『博士漂流時代』を書かれた榎木先生の最新刊。 STAP細胞問題で注目が集まるバイオ業界を中心に、研究不正がなぜ起こるのか、その背景にある構造を丁寧に、でも実感をこめて解説していく本。 教授への権力集中、労働集約的でやればやった分だけ成果につながりうる研究スタイル、過当競争とでもよその業界には出ていけないスキルセット、その結果としての「ピペド」状態・・・。 「そうなんだよ、だから研究不正だけにいくら対策投じても仕方ない構造があるんだよ!」とか思ってた(事実、研究公正局のある米国でも不正減の効果には疑問があるそうだ)ところを突いてくれている。 そのことがちゃんと世に広まるのかは・・・政策立案等でも意見聞かれるのは主に・・・とか考えると、うん、まあ、うん・・・。

Posted byブクログ