「サル化」する人間社会 の商品レビュー
チンパンジーとボノボの本は読んでいたが、ゴリラについての本は初めて読んだので知らない事ばかりで刺激的だった。ゴリラの社会はなんとなく思っていたイメージとはかなり違っていた。この本はちょっとした読物といった体裁なので、次は著者のもっと本格的な本を読みたい。著者も書くように、類人猿の...
チンパンジーとボノボの本は読んでいたが、ゴリラについての本は初めて読んだので知らない事ばかりで刺激的だった。ゴリラの社会はなんとなく思っていたイメージとはかなり違っていた。この本はちょっとした読物といった体裁なので、次は著者のもっと本格的な本を読みたい。著者も書くように、類人猿の社会の比較から我々ヒトの特性というものが少しずつわかってくるように思う。
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京大総長の山極さんの本二冊目。 こちらは割と読みやすい内容、文章で書かれていて、霊長類学入門には適してる一冊。 ・霊長類学は人間社会を明らかにする学問(アプローチ)方法の一つ。日本が世界をリードしている分野の一つ。 ・そこには日本人の中に人はサルから進化したという概念が無理なく...
京大総長の山極さんの本二冊目。 こちらは割と読みやすい内容、文章で書かれていて、霊長類学入門には適してる一冊。 ・霊長類学は人間社会を明らかにする学問(アプローチ)方法の一つ。日本が世界をリードしている分野の一つ。 ・そこには日本人の中に人はサルから進化したという概念が無理なく同居できるから(一方の西洋では進化論的考え方がキリスト教と相容れず、霊長類学が発展してしなかった) ・現在ではよく知られるサルの個体ごとに名付けて観察する手法は日本で確立した(ジャパニーズメソッド) ・ちなみに先進国で身近に霊長類が存在している国は日本(ニホンザル)のみ。サルの主な生息地はアジア、南アメリカ、アフリカである。 ・ゴリラ社会は家族社会で、勝ち負けを作らず序列化もない。 ・子供時代に遊ぶ時間の長い生物は認知力が高い。 ・同性愛行動はゴリラにも見られ、これも認知が高い生物(特にオス)で多く見られる。 ・サル社会は家族社会でなくコミュニティ社会で、明確なヒエラルキーがあり、優劣がある。 ・ヒトは家族社会とコミュニティ社会両方を形成し、(利害が相反する社会の)どちらにも所属する唯一の生物である。 ・オスメス間の性的関係を知るのにオスの睾丸の大きさがあるコミュニティ社会のチンパンジーは乱行社会のため精子競争をするため睾丸が大きくなる。一方ゴリラは母系社会(オス1と血縁関係のある複数のメス)でどのオスの子か明らかなため睾丸は小さい。ヒトはその中間くらいの大きさである。そのため緩い乱行社会であることが示唆される。 ・ヒトの共同集団には段階がある。15人前後の共鳴集団(他にはスポーツのチームや部署)、50人まで(クラスや会社)、そして150人(マジックナンバー)の集団。お互いに顔や名前が一致する関係性はこのあたりまで。 ・これ以上の集団を作る過程で言語が生まれた? ・ヒトは本来家族集団(お互いに身内を優先するえこひいき集団)に所属しながら、コミュニティ集団(平等や互酬性を基本とする)に所属している。 ・家族集団(類人猿的)は食を分け合うことを基本にしており、お互いに関係性を作り、煩わしくもある反面、そこへ所属していることは喜びや満足に繋がっている。 ・一方コミュニティ集団(サル的)は競争的な社会で集団に安定性はない。現在人間は個人の自由と引き換えに"サル化している"と筆者は考えている。(個人の利益と効率を優先する社会) ・人間の社会性とは…奉仕の精神(家族的)、互酬性(コミュニティ的)、そして帰属意識である。
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相手が何をしたいのか 相手が今何をしてほしいと思っているのか 自分が何を望まれているのかを 汲み取り、いま自分はどういう態度をとるべきかを その場の状況に応じて応える。 巷にあふれかえっている どこやらのビジネス書に書かれているような言葉ですが… この察知能力をゴリラたちが持ち合...
相手が何をしたいのか 相手が今何をしてほしいと思っているのか 自分が何を望まれているのかを 汲み取り、いま自分はどういう態度をとるべきかを その場の状況に応じて応える。 巷にあふれかえっている どこやらのビジネス書に書かれているような言葉ですが… この察知能力をゴリラたちが持ち合わせている いや、ゴリラたちにこそ 私たち今の人間たちは学ぶべきではないか というのが、この本で山際さんが伝えたいことです 実際にゴリラたちが暮らしている「現場」の 野山に分け入って徹底したフィールドワークをしてこられた 山際教授だからこそ、伝えたいメッセージが そこかしこにちりばめられた一冊です 勝ち負けがなく、優劣をつけず、仲間たちの関係は対等平等なゴリラたち もちろん、社会的に上手に遊ぶこともできるゴリラたち 我々ニンゲンが失いかけているモノを 楽しく、興味深く、考察できる一冊です
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猿は勝敗をつける。上下関係組織をもつそうです。それに対してゴリラは、勝敗を付けずに喧嘩してもお互いを理解して和解するそうです。組織も対等だそうです。
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ゴリラの権威、山極先生の著作。ゴリラに対する愛があり、非常に興味深く面白い。 軽い文体でヒトとゴリラ、サルの違いを示している。ゴリラの同性愛についてはゴリラの事なのだが、苦笑してしまうエピソードもあり、ヒトの同性愛についての示唆を含んでおり、今後の研究の結果が気になる。
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タイトルがインパクトあったので、パンチのきいた本なのかなーと思ってたのですが、霊長類の生態から紐解くそれぞれの社会性って感じの内容でした。 内容はほとんどゴリラが中心でしたが、ゴリラって愛情深い生き物なんだなあ。 なかなか面白かったです。
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タイトルに異議ありw 主にゴリラの社会について書かれている本である。 人類の起源から分化しているサルやゴリラの社会を見れば、人の社会の起源も見られるのではないかという観点である。 驚いたのは、酷く社会的な生き物であるゴリラのことだった。 ゴリラには争いは無い。 優劣...
タイトルに異議ありw 主にゴリラの社会について書かれている本である。 人類の起源から分化しているサルやゴリラの社会を見れば、人の社会の起源も見られるのではないかという観点である。 驚いたのは、酷く社会的な生き物であるゴリラのことだった。 ゴリラには争いは無い。 優劣をつけないのだ。 喧嘩が発生した場合、第三者のゴリラが登場し、互いに冷静になりなさいというように仲裁する。(サルの場合は強い方のサルに加勢し、強いサルの権力を保とうとするようだ) 生殖行為は雌からの誘いからのみ発生する。 女子からの誘いはセクシーであり、もう、男子は断れないらしい。 そして男子だけの群れを作り、男色にふける事もある。 まさか、生きている中で、ゴリラってセクシーなんだと思うことがあるとは思わなかった。 ヒトは、サルとゴリラの中間地点くらいの位置にいるそうだ。 ゴリラのような成熟した社会性を持つか、勝ち負けの判断で生きるサルのように生きるか、さて、となるんだけど、これはサル不利なんじゃ。この本にはサルについてほとんど書かれていないんだもの。 けれども、進化の道から分かれた先輩のゴリラについていろいろ書かれている本を読むことは興味深く面白かった。
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共通の祖先であるヒト科の仲間であるゴリラの生態を知り、非ヒト科のサル等と比較することにより、ゴリラとサルとヒトの違い、特に家族・集団・上下関係さらにコミュニケーション行動に関してその違いを明らかにしてくれる本です。▼▼▼言語が人間の食料革命(運搬→肉食→火による調理→農耕牧畜)に...
共通の祖先であるヒト科の仲間であるゴリラの生態を知り、非ヒト科のサル等と比較することにより、ゴリラとサルとヒトの違い、特に家族・集団・上下関係さらにコミュニケーション行動に関してその違いを明らかにしてくれる本です。▼▼▼言語が人間の食料革命(運搬→肉食→火による調理→農耕牧畜)に伴って生まれたという説も面白い。▼ゴリラは群れの中で序列をつくらない。反対にヒト科ではない多くのサルは勝ち負けの世界をつくり、ヒエラルキーを構築。▼人間社会は、両方の部分を備えている。そして、ゴリラ的な性格から、加速的にサル社会化している。▼人間が人間らしさを保つために必要な家族をないがしろにして、個人主義が突き進んでいけば、社会は平等性を失っていくと想像できます。それは、優劣を行動原理とするサルの社会に似ています。▼人間は家族を重要視する生き物です。家族無しには生きられません。個人一人きりの存在には決してなりきれないのです。▼霊長学研究の創始者は今西錦司。1941年『生物の世界』;人間とは特別な存在ではなく、生物の中の一つの種に過ぎない。▼誰にも負けず、誰にも勝たないゴリラ社会。ゴリラは仲直りをするとき、対面してじっと顔を突き合わせるという解決方法をとります。「覗き込み行動」といいます。食べ物を共有し、共存と許容を仲間に示し合う。▼ゴリラのオスの同性愛行動は、人間に似ている。サル社会では起きない。▼ゴリラは父系社会、娘はひとりで群れを離れて一人オスか別の群れに移動する。人間社会に似ているが、人間社会は家族があって、複数の家族が共同体を作る。ゴリラの集団同士は非常に敵対的である点が異なる。▼人間は、家族と共同体の二つの集団に所属して暮らしています。しかし、現在、家族の崩壊ということがよく言われます。食事を共にする人たちである家族が変わろうとしています。個人が好きなときに好きなものを食べる時代に変わっています。サルは所属する集団に愛着は持ちません。▼「霊長類の共感力と人間特有の同情心」同情心とは相手の気持ちになり、痛みを分かち合う心です。共感以上の同情という感情を手に入れた人間は、次第に「向社会的行動」を起こすようになります。「相手のために何かをしてあげたい」という思いに基づく行動です。▼人間の社会性とはなにか。1)見返りのない奉仕をする。2)互酬性(お返しをする)3)帰属意識(家、職場)▼個人の利益と効率を優先するのは、サル的な序列社会。「人間が一人で生きることは、平等に生きることに結びつかない」は、危険な事実です。▼SNS等の通信革命の流れの中で、人間はどんどん自由になるでしょうが、同時にますます孤独になるでしょう。インターネットなどをきっかけに緩やかにつながることを目的とする集団は、サル的な序列社会となじみやすいものです。▼勝ち負けや上下関係のないゴリラの社会のルールがもともと人間にはあったはずです。フェイス・トゥ・フェイスの相手の顔を見ながらのコミュニケーションを大切にしてきました。人間の脳が許容できる集団の最大の人数は150人。
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ゴリラやサル等の生態を通して、人間社会への考察を示した本。 タイトルからして、現代の人間社会にたいする、皮肉や揶揄を含めたことが書いてあるのかと思ったら、 かなり、生物学的な(人類学、霊長類学)研究について書かれていて、楽しかった。 先進国の中で、人間以外の霊長類が生息するの...
ゴリラやサル等の生態を通して、人間社会への考察を示した本。 タイトルからして、現代の人間社会にたいする、皮肉や揶揄を含めたことが書いてあるのかと思ったら、 かなり、生物学的な(人類学、霊長類学)研究について書かれていて、楽しかった。 先進国の中で、人間以外の霊長類が生息するのは日本だけ。日本で霊長類学が生まれ発達。 →日本人って猿のこと、どこかの国みたく馬鹿にしたりの対象とはしてないものね。 世界中の動物園で見られるゴリラは99.9%ニシゴリラ。早い時期から発見され、保護が進んだヒガシゴリラは動物園に行かずにすんだ。 →そういえば動物園は動物の保護が目的なんだった。かわいい、楽しいだけの場所じゃないんだよね。 ゴリラの密猟。 →えっ?ゴリラ密猟してどうするの? ゴリラの集団を、追うとき、自分もゴリラになったつもりで行動します。・・ゴリラがゴリラ社会のルールを教えてくれる。 →すごい!楽しそう! ゴリラは仲直りをするとき、対面してじっと顔を突き合わせる。 →夫婦げんかのときも、顔突き合わせて、反らしたら余計喧嘩がヒートアップするよね。「なんで、聞いてないのよ!!!」みたいな。 顔を突き合わせたまま、チュウでもしたら、さっさと仲直りできるのにね(笑) サル社会では自分の利益のために集団を作るということ。効率的で自由になる。しかし他人と気持ちを通じ合わせることはできなくなる。 個人になった途端、人間は上下関係をルールとする社会システムに組み込まれやすくなる。生殖活動も競い合わなくてはならなくなり、安定感がなくなる。 サル的勝ち好み社会につき進む。弱いものはつねに強者を優先することで、争いは起こらず、支配者にとって効率よい。弱いものは弱いまま、強いものは強いまま。 ゴリラ的平和で平等社会をもともと持っていたであろう人間が、サル社会化していることへの懸念を示す。 でも最近は家族の中でさえ荒んだ嵐が吹き荒れてるから、それこそどうかと思うよね。。。
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食べ物の分配行動を生み出した「家族」は人間を人間たらしめる機能を持つ。ここでいう人間性とは向社会性。見返りの無い奉仕、もらったものは返す互酬性、帰属意識。こうしたものが家族と食卓を囲むことによって培われてきた。 「共食」から「個食」へと、現代社会は個人主義への道を歩み続ける。「サ...
食べ物の分配行動を生み出した「家族」は人間を人間たらしめる機能を持つ。ここでいう人間性とは向社会性。見返りの無い奉仕、もらったものは返す互酬性、帰属意識。こうしたものが家族と食卓を囲むことによって培われてきた。 「共食」から「個食」へと、現代社会は個人主義への道を歩み続ける。「サル的」な競争社会へと人間が変化することに警鐘を鳴らす。ゴリラ研究の第一人者がゴリラの家族社会から人間の本来の姿を示唆しようとする本。
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