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呪いと日本人 の商品レビュー

3.5

14件のお客様レビュー

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2025/01/03

日本における呪いの概観を掴めるのが良いと思った 物部村にて「いざなぎ流」という形で残ってる古式ゆかしい呪いのシステムを解説し、奈良平安に渡る呪いの一般化の過程、それに対しての祓い方など、これを読んでおけば呪いについての最低限の会話は出来ると思う

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2024/12/15

古代の為政者が、祭祀長としても君臨していて、呪術を管理する事で社会を治めていた面があったが、それが古代で収まらなく、近代現代になってもその残滓は受け継がれている。これは人間の性?

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2023/05/03

呪いや祓いについて凄く勉強になる本でした。。後半は小難しくなり読み続けるのが辛かった。 一章と二章についてはホラー小説で表現される蠱、蛇、猿、狗などが、どのように利用されてきたか興味深く読めましたし、呪詛や祓いなど好きなホラー小説との繋がりもあり、楽しめて読めました。 勉強の元の...

呪いや祓いについて凄く勉強になる本でした。。後半は小難しくなり読み続けるのが辛かった。 一章と二章についてはホラー小説で表現される蠱、蛇、猿、狗などが、どのように利用されてきたか興味深く読めましたし、呪詛や祓いなど好きなホラー小説との繋がりもあり、楽しめて読めました。 勉強の元の本として手元に置いておきたい本です。

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2021/11/27

実は私の一番興味のある分野かも知れないと思いつつも、ある程度民俗学の知識をつけてから読もうとこれまでお預けにしていたのが、小松和彦さんの本。 どの本を読むかは決めていなかったけど、Amazonでオススメされたのでこれにしてみた。 文章は基本平易でわかりやすく、初心者にもわかり...

実は私の一番興味のある分野かも知れないと思いつつも、ある程度民俗学の知識をつけてから読もうとこれまでお預けにしていたのが、小松和彦さんの本。 どの本を読むかは決めていなかったけど、Amazonでオススメされたのでこれにしてみた。 文章は基本平易でわかりやすく、初心者にもわかりやすい作りとなっている。また、著者自身の訴えかけ、投げかけも随所に書かれており、論文の趣旨がわかりやすかった。 ○犬を生き埋めにして飢餓状態にさせ首をきる呪法。ネットでよく見かけたけど、昔からの伝わる呪いなんだと確認できた。そして、それをやった子孫が犬神筋なのだと。なるほど。 ○呪いが成立するためには、かけられた相手が「あなたは呪われている」とスペシャリストに判断される必要がある。これが成立条件だと。 ここで思い出したのは京極堂シリーズの「姑獲鳥の夏」 ○聖武天皇の頃に勅令で呪いが禁止された。これは貴族役人だけではなく民衆にも呪いの信仰が広がっていたことを示す。 ○平安時代は御霊の時代とも言われていた。 ○天皇を巡る対立以前、神話でも近しい関係の神同士が呪いあっていた。代表的なものでいえばイザナギとイザナミ(生と死の誕生)、イワナガヒメとコノハナサクヤヒメ ○日本人は、現代においても死者の呪いを恐れる。生者の丑の時参りはバカにするが、水子供養や先祖のたたりは恐れる人が多い。生者の呪いは本人が死んだら終わるが死んでもたたる(終わりがない)ことも昔の人にとっては恐怖だったという。 なので呪いを恐れていた時代は怨敵をおとしめても死罪にするより流刑にしたのではないかと筆者は投げかける。 ○鬼は中国では死者を指す。 日本では奈良時代頃から疫病神を鬼と表現。 さらに死者のうちでも特に怨霊のことを鬼と称するようになった。 また呪詛するものの怨念が深く、生きながら鬼=怨霊と化してしまうこともあるとされた。 ○病気になると誰かの怨念のせいであるとされた。当時から恐怖すべきは人の怨念だった。 と聞くと、本当に恐ろしいのは人間というのは現代まで変わっていないのだなぁ。 著者も含め人はなぜ呪いを恐れるのか。それは「呪ってやる」という言葉からその人の怨念の深さを読み取るからではないか。 だからいつ不幸にならないかと恐怖し、何か不幸があればそのことを思い出して恐怖する。 今もこういったことも信じてしまうのは、個々の幸不幸は多く説明がつくが、なぜひとより不幸なのかということには説明されない。なぜこんなことが続くのか原因を知り不安から逃れたいと思うから。 ○言霊信仰もまだ現代に生きている。 受験者にすべる、おちる、という言葉を使わないことや、もしあなたが死んだら、という縁起の悪いことは言わないし、その後本当に死んでしまったら言った人はそのことを後味悪く思う。そう言う気持ちから見て取れる。 ○生者の呪いは否定的に見られてきた(罰せられるなど) 一方死者の怨念(菅原道真、崇徳院)は為政者の悪政への批判として捉えられてきた。 ○密教は平安時代に流行った御霊信仰の立役者。 栄華物語では神の径は陰陽師、物の怪は験者(密教系の修験者)と言われていた。 ○観音菩薩は呪詛から守ると同時に呪詛成就の守護仏という性格もあった。 ○戊辰戦争や第二次世界大戦でも呪いの調伏が行われていた。 織田信長なども敵対する寺院を攻撃したのは呪いを恐れていたため。 ○ケガレを祓う とは、外へケガレを出し内を清浄にする。恨みを「晴らす」も、お金を「払う」も同じ語源にあたる。 既に災厄をもたらしているものは祀りあげとして、棚上げにしてしまう。今も使う「棚上げ」(問題を棚上げにする、など)の語源もこれで、神棚を指している。 ○厄払いをする時の鬼役は賎民がその役を担っていた。近世の大阪でもやっていたことが確認されている。 昔の天皇や貴族たちがハレの状態を作り出すため、ケガレを払い捨てていく存在が必要だったのでこのような人達が必要だった。鬼の役をする賎民がや市中を清掃する清目たちは天皇、貴族たちに必要不可欠でありながらも厳しく管理され、遠ざけられていた。 結びで、筆者は呪いを祓う行為は今も広く浸透しているという。 それは疑獄事件があったのに「みそぎは終わったから」として国会議員が当選することであり、学校のいじめや企業で行われる「とかげの尻尾切り」である。 呪い心とも言える人の気持ちは今も変わらずあるから、何を捨てて新しい社会を作るか私たちは考えなければならない、と訴えかけて終わる。 民俗学は過去から現在に至るまでの思想習慣を解明し未来へつなげるという柳田國男の掲げる目的をわかりやすく示しており、単に知識として覚えて終わりにさせない筆者の意思が伝わってきた。

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2020/07/12

呪いを、日本の歴史や文化の観点に立って書き綴っている面白い本です。 陰陽道や密教などから呪いを紐解いたり、長岡京、平安京への遷都にまつわる共同体への呪いの影響、ひいては村単位でのミクロな共同体での呪いの有り様を描いたり…さまざまな呪いについての記述が面白い。 「呪い」について紙幅...

呪いを、日本の歴史や文化の観点に立って書き綴っている面白い本です。 陰陽道や密教などから呪いを紐解いたり、長岡京、平安京への遷都にまつわる共同体への呪いの影響、ひいては村単位でのミクロな共同体での呪いの有り様を描いたり…さまざまな呪いについての記述が面白い。 「呪い」について紙幅を取っているため、歴史に関しては簡単な知識がある方が理解が進むかと思います。

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2020/07/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本の宗教はシャーマニズムに分類される、という言説をみて、なんだろう?と思い購入。どうも日本の呪い信仰はあまり知られていないようだ。日本の三大宗教は、儒教・仏教・神道。しかし本書を読んでみると、呪い信仰が古代日本から近代まで信じられていたことが分かる。古代に伝来した仏教は、ほとんど呪術の文脈で受け止められていた。邪悪なものが存在する「外部」(=ケガレ)を、より強い呪力で攻撃する「調伏法」や逆にたたえることで鎮める「祀り上げ」によって祓っていた。これらは国家レベルだけでなく民衆にも浸透しており、これらは現代にまで影響していると著者は語る。「ケガレ」を祓う儀礼の特徴は、いかにして目に見えない「ケガレ」を人びとの目に見える(かのように思わせる)か、にある。現代では「呪い」そのものは消失したが、人間を互いに規制する倫理コードとして残っている、と述べる。 軍の命令によって日本のほとんどの寺院や大社で「鬼畜米英」に対する調伏が行われていたそうだ。そう考えると、戦後のアメリカ万歳は一種の「祀り上げ」に対応するのではないか、と思える。もっと突っ込むと面白い事実が浮かび上がりそう。

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2018/08/14

 特に興味惹かれることなくしかし退屈もせずに読むことができた。ただ「祓う」という言葉というか行いについて、その思想というより解釈をあまりに社会(歴史)の事象を拡げて考察(論考)を展開させる(おしつけていく)著者の歴史観には無理を感じた。ほとんどトンデモ本として読んだがそこそこ愉し...

 特に興味惹かれることなくしかし退屈もせずに読むことができた。ただ「祓う」という言葉というか行いについて、その思想というより解釈をあまりに社会(歴史)の事象を拡げて考察(論考)を展開させる(おしつけていく)著者の歴史観には無理を感じた。ほとんどトンデモ本として読んだがそこそこ愉しく読しめた。

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2018/03/19

初出からはすでに四半世紀になろうとする歴史的な本を読了。 呪いという学問としては扱われないものを対象として、その歴史的な流れといざなぎ流の祭文として現代の日本で今も息づいているものを明らかにする内容ですが、そのいざなぎ流は今どうなっているのか知りたいものです。

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2016/11/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

奈良時代から平安時代にかけてよくもまあこんなに呪いが流行ったものだな、と感心。一般庶民は知らないが完全に生活の一部と言える。それにしても陰陽道はともかく、修験道や仏教(真言秘密)までこんなに呪いの方法があるとは思わなかった。人殺したり、蛙殺したり、犬殺したりで因果応報は??と突っ込みたくなります。 現在も一部の地域にいざなぎ流というものが残っているようですが、陰陽道から派生したものなのか柑子をネズミに変える話とか安倍晴明と同じなのでかなりいろいろ混じってるみたいです。

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2015/04/11

内田樹さんの『呪いの時代』を読んで以来、この、現在の日本を覆う「呪詛の念」とは何なのか、ずっと気になっていた。そこで手に取ってみた本書は、妙なテーマでばかり書いている民俗学者による一冊だ。 奈良、平安といった時代に脈打った「呪い」の歴史は興味深く、マンガ家などにとってもこういう本...

内田樹さんの『呪いの時代』を読んで以来、この、現在の日本を覆う「呪詛の念」とは何なのか、ずっと気になっていた。そこで手に取ってみた本書は、妙なテーマでばかり書いている民俗学者による一冊だ。 奈良、平安といった時代に脈打った「呪い」の歴史は興味深く、マンガ家などにとってもこういう本は参考になるのだろうなと思ったが、「呪い」そのものについての著者の分析的考察は少々ステレオタイプで浅いものだった。 「呪い」は日本固有のものどころか、世界各地の未開社会に見られる。そうした「呪い」が、民の宇宙観・歴史観・宗教といかなる関係をもち、コスモスを形成するのか。デュルケームの『宗教生活の基本形態』も、話が呪術に及ぶとすぐに、これは宗教の問題ではないとして中断してしまった。そして本書も、「呪い」が社会にとって果たす機能の根源的・哲学的意味を解明してはくれなかった。 日本の場合は「公」と「私」の領域を完全に隔離してきた民族性があるので、その「私」におけるどうしようもない孤独感が、社会や他者への呪詛の念を生成するのだろうととりあえずは推測している。本書の著者は「呪うことは、人間の本性からしてどうしても避けがたい」といったおおざっぱな解釈を繰り返すばかりなのだが、その情動の炎がもはや手が付けられないほどネットを中心にはびこっている現在を、どう生きたらいいのかは依然としてわからない。

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