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A の商品レビュー

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36件のお客様レビュー

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2014/08/25

薄氷の上をそろそろと渡るような、ぎりぎりの線の上でとどまっている危うさに満ちた短編集だった。 「糸杉」「蛇」「信者たち」「妖怪の村」が特に好き。 「糸杉」、ゴッホの風景画は好きだけど糸杉をそういう風に鑑賞したことはなかったな。ただ、あの絵は本当に不気味。あれを思い浮かべながら読ん...

薄氷の上をそろそろと渡るような、ぎりぎりの線の上でとどまっている危うさに満ちた短編集だった。 「糸杉」「蛇」「信者たち」「妖怪の村」が特に好き。 「糸杉」、ゴッホの風景画は好きだけど糸杉をそういう風に鑑賞したことはなかったな。ただ、あの絵は本当に不気味。あれを思い浮かべながら読んだら本当に気味の悪い小説だと思う。

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2014/08/19

糸杉 嘔吐 三つの車両 セールス・マン 体操座り 妖怪の村 三つのボール 蛇 信者たち 晩餐は続く A B 二年前のこと ちんこ連発しているものや、変態官能、戦争、真に迫った私小説など様々。 短編だと苦しくなる前にすとんと終わって良いのやら悪いのやら。

Posted byブクログ

2014/08/14

13の短篇集。 短編になると中村文則は、抽象画の画家のようになる。 《糸杉》に中に書かれている、 「一番恐ろしいのは、その糸杉の中だった。 葉の茂りの奥に、何かがある」 まさにその言葉通り、彼の書く短編は、 曖昧な色と象徴的な点の中において 輪郭は蜃気楼の様にぼやけて見える...

13の短篇集。 短編になると中村文則は、抽象画の画家のようになる。 《糸杉》に中に書かれている、 「一番恐ろしいのは、その糸杉の中だった。 葉の茂りの奥に、何かがある」 まさにその言葉通り、彼の書く短編は、 曖昧な色と象徴的な点の中において 輪郭は蜃気楼の様にぼやけて見えるのだが、 しかしその抽象画の奥に、何かがある。 その何かがいつも、私の命を興奮させる。 「糸杉」「嘔吐」「三つの車両」「セールス・マン」 「体操座り」「妖怪の村」「三つのボール」 「蛇」「信者たち」「晩餐は続く」「A」「B」 「二年前のこと」

Posted byブクログ

2014/08/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

時間をかけて いや、時間がかかって読みました 難解、わけわかんない 共感なし、不思議な世界 短編で終わってしまうので 何もわからないうちに終わる どうしたらいいのだろう・・・この気持ち

Posted byブクログ

2014/07/17

「A」というのは表題作ではあるが、タイトルをAにしたのはこの短編が「この本を代表しているからではない」と、書き手自身があとがきの中で言っている。 そうかもしれないが、書き手が殊更には特別な作品ではないと装っているこの「A」と、それに続く「B」こそが、この短編集を代表してはいない...

「A」というのは表題作ではあるが、タイトルをAにしたのはこの短編が「この本を代表しているからではない」と、書き手自身があとがきの中で言っている。 そうかもしれないが、書き手が殊更には特別な作品ではないと装っているこの「A」と、それに続く「B」こそが、この短編集を代表してはいないかもしれないが、今世界の中の、そして歴史の中を生きる作家としての書き手が、渾身の思いを込めて世に問うた問題作たるべき書、だと私は思う。 善良で臆病であったはずだったにわか下士官が、捕虜虐殺を強いられ、生還の見込みの無い絶望の果ての戦場の地獄の中で自ずから悪鬼と化していく「A」。 やはり善良なだけであったはずの従軍医師は、朝鮮人の少女が事実上騙されて慰安所に連れて来られる現実を医師として目撃する「B」。しかし、その自分もその虐げられた少女を汚すことでのみひとときの、ほんとうにひと時だけの安息を得る。なぜなら、彼自身もまた人間が味わらされてはならない絶望の地獄の底にあるのだ。 この短編の書き手は、もちろん虚構として、ということは匿名としてあの時代中国大陸や朝鮮半島に居た数十万の日本人兵士の真実を抉り記している。 今、私たち日本人は、匿名ではない日本国民として歴史認識を問われている。認識ではなく「あった事実」としては、「A」であり「B」でありは否定のし難い事実に他なるまい。AもBも全てが全ての日本兵であり、それはすべてが日本人でもある。少なくとも私はそう思いたい。そうして、外に向かって声を大にして言うことはできないが、日本人だけじゃ無い、すべての戦争が、全ての人間がAでありBなのではないのか。 だからこそこの二つの物語りは虚構であり匿名なのだ。今世界の一部から日本が問われている歴史認識問題が、匿名ではない日本国と、地獄のような戦場で死んだか、あるいは生還して過去をなかったことにしてしか生きることができなかった私たちの父たちを、死者を鞭打つがごとくに名指しで断罪するものなのならば、やはり私たちは受け入れることができない。 加害者であり敗戦国であるものの開き直りであると彼らは言うだろう。 だが、私たちは多くの被害者とともに加害者たることから逃れられなかった父たちの魂をも、悼まないではいられないのだ。 書き手の照れ隠しだろうか。 「A」という何気ないタイトルに、世界に向けた確固たる発言者であろうとする書き手の、隠された意気込みを感じるのは私だけだろうか。

Posted byブクログ

2014/07/14

一度の過ちもせずに、君は人生を終えられると思う?——米文学賞「デイビッド・グディス賞」受賞作家にして『掏摸』等が世界中で翻訳されベストセラーとなった著者が放つ至極の作品集。

Posted byブクログ