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ジュリアス・シーザー の商品レビュー

4.3

7件のお客様レビュー

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2024/09/22
  • ネタバレ

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歴史に詳しくない人でも知っている、あまりにも有名な「ブルータス、お前もか?」というセリフ(本作では「お前もか、ブルータス?」)。カエサルがブルトゥスに暗殺された場面で発したとされているが、人口に膾炙した「元ネタ」はこのシェイクスピアの戯曲だろう。その場面が気になったこともあり今回手に取ってみたが、読んでみて驚いたのは、その場面の知名度やタイトルから、シーザー(カエサル)が主人公だと思いきや、その本人は第三幕第一場で早くも亡くなってしまい、むしろ殺した側であるブルータスのほうがメインであること。そして、マーク・アントニーもまた主要な登場人物のひとりで、物語の終盤ではイニシアティヴを握っているといってよいだろう。巧みな演説で民衆を煽動して、結果的にはブルータスをも死に至らせてしまう。登場人物の誰もが三者三様の意思で動いており、はたして誰が悪いのか、あるいは悪くないのかということがわからなくなってしまうが、個人的にはアントニーという人物がすごく印象に残った。最終的には「勝者」であろうが、ほんとうの意味では悪人なのではないかと思った。権謀術数が渦巻くことは歴史の性であるとはいえ、民衆を突き動かしてまで「天下」を狙うアントニーの野心には背筋が寒くなる。わたしはこう言ってやりたい――「アンソニー、お前か」と。

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2024/05/30

ブルータスの市民に対する演説と、その後のアントニーのシーザーを称えつつもブルータスを間接的に敵視し、民衆を先導する演説の巧みが素晴らしかった。四大悲劇よりも心に刺さった。

Posted byブクログ

2023/07/28

ブルータス、お前もか 次々と勝利をおさめ、民衆の人気を集めて、政治の頂点へと上り詰めてゆくシーザーに、嫉妬と危機感を募らせる男たち。公明正大なブルータスは、カエサル暗殺ウズに巻き込まれてゆく。 男たちの嫉妬をこうも描き出す作品はそうそうない。シェイクスピアとなると、たい恋愛も...

ブルータス、お前もか 次々と勝利をおさめ、民衆の人気を集めて、政治の頂点へと上り詰めてゆくシーザーに、嫉妬と危機感を募らせる男たち。公明正大なブルータスは、カエサル暗殺ウズに巻き込まれてゆく。 男たちの嫉妬をこうも描き出す作品はそうそうない。シェイクスピアとなると、たい恋愛ものの喜劇を思い出しがちだが、これは人間の(しかも、男の)ドロドロとした側面をえぐりだしている。

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2022/02/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「ブルータス、お前もか」を読みたくて手に取った。 前半、中々暗殺の瞬間に至らず、 ピリピリしている登場人物たちの様子を 長く見つめることになりハラハラ。 アントニーの演説によって たちまちブルータスに敵意を示すようになる市民たちと、 思い込みによって死を選ぶキャシアスが印象的。 台詞ではシーザー死後のブルータスによる市民への演説が最も印象に残った。 韻文にこだわるブルータスの散文による演説。 畳み掛けるような言葉がびっしりと敷き詰められているのが目に飛び込んできて そのページは中々の迫力だった。 とブルータス寄りに感想を書いてきたが 本作で1番好きになったのはシーザー。 「シーザーは危険よりも危険なのだ。」とか、 「お前もか、ブルータス?――ならば死ね、シーザー。」とか、 主体的すぎて笑ってしまう。緊迫した場面なのに。

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2021/01/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初めてまともに読んだシェイクスピア。塩野七生さんの「ローマ人の物語」のカエサル暗殺を読んで、シェイクスピアはどんな史劇にしたのか気になって読んでみたが、思ったより読みやすかった。ページの下部に脚注があるのも良かった。 ブルータスは高潔な人物として描かれているけど、p.50の台詞からは、シーザーに対して「こうなるだろう」という思い込みがあるように思える。 「だが人間はものごとを自分本位に解釈し、本来の意味を遠ざけてしまいがちだ。」はシセローの台詞。「ローマ人の物語」では重要人物だった知識人シセロー(キケロ)が、この台詞をいうためだけに出てきた感じだ。だから余計に重要な台詞に思えるし、人間ってそういうものかもな、と思う。

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2020/01/26

400年位前に書かれた2000年以上前のお話だけど、それでも共感出来てしまうのは、テクノロジーは別にして、人間は殆ど進化してなくて、あいも変わらず人間は同じようなことで悩みもがいてんだなあ、と古典を読むといつも思う。 英雄に嫉妬する小子が歴史にブレーキをかけるのか、それとも(ブル...

400年位前に書かれた2000年以上前のお話だけど、それでも共感出来てしまうのは、テクノロジーは別にして、人間は殆ど進化してなくて、あいも変わらず人間は同じようなことで悩みもがいてんだなあ、と古典を読むといつも思う。 英雄に嫉妬する小子が歴史にブレーキをかけるのか、それとも(ブルータスが意図したように)専制への牽制となるのかは、歴史になるまで分からないが、現代的感性では、後者が正当化されるんだろうな。

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2016/12/29

シェイクスピアの作品で初めて読了した。教養のために以前から読みたいという気持ちはあったけども、世に名作と称されるものほど文体や解釈が難解であったりして時間がかかるので、取っ掛かりがつかめなかった。今回、難波のジュンク堂に資格試験の本を買ったついでにこの文庫も併せて買って読んでみた...

シェイクスピアの作品で初めて読了した。教養のために以前から読みたいという気持ちはあったけども、世に名作と称されるものほど文体や解釈が難解であったりして時間がかかるので、取っ掛かりがつかめなかった。今回、難波のジュンク堂に資格試験の本を買ったついでにこの文庫も併せて買って読んでみたのだが、私の今までの認識が誤りだったと痛感した。これほど読みやすく、また作中人物すべてが頭の中で生きて展開される本はない。

Posted byブクログ