選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 の商品レビュー
わたしたちが「選択」と呼んでいるものは、自分自身や、自分の置かれた環境を自分の力で変える能力のことだ。選択するためには、まず「自分の力で変えられる」という認識を持たなくてはならない。(p.23) という定義が最初の方でなされ、自己決定権が失われた哀しい動物の例から始まる。たしかに...
わたしたちが「選択」と呼んでいるものは、自分自身や、自分の置かれた環境を自分の力で変える能力のことだ。選択するためには、まず「自分の力で変えられる」という認識を持たなくてはならない。(p.23) という定義が最初の方でなされ、自己決定権が失われた哀しい動物の例から始まる。たしかに自分自身ではどうにもならない決定を押し付けられた時のストレスは、考えてみれば非常に大きいように思えてくる。結果が思ったことと違ったとしても、自分で決めたということであればまだ許す気持ちも出てくる。このように、ものの見方を変えて、選択を生み出す能力を培うことで、なんとでもなるという意識を持ってうまく生きることができると1構では述べられる。 その後は、「選択」する時に生じる影響として、コカ・コーラ社のようにソフトドリンク市場ではなく飲料市場全体でのシェアとして捉えるフレーミング(提示される方法)の違いや、ワインや水の説明内容(パッケージ、製品ロゴの色、値段など)に引っ張られた選択をとってしまうことなど、無意識レベルでの影響例が続く。赤いサンタがコカ・コーラの色であることや、思い出の曲から昔の出来事を思い出すことなど、同じく無意識レベルの影響が及ぼされていることを「プライミング」と呼ばれるらしい。 一番共感したのは、確定拠出年金のファンドの選択肢が多すぎる弊害の話かもしれない。自分に合ったファンドを探そうと下調べをしようにも、5個ではなく30個あったらまず調べる気持ちが遠のく。そして加入するのを忘れる。自分の場合は、選ぶ目安を調べることで、多すぎる選択肢をコンパクト化することができて決定することができたが、一歩踏み出すめんどくささを「とりあえず一歩だけでも選択しよう」という気持ちにいかに変更できるかはこれに限らず大事なことだと思う。 と言いつつも、三食同じご飯だとどうしても飽きてしまうということもあって、選択肢があること自体は必要なことなんだろう。 ==== 「選択とは、発明することなのだ」。選択は、創造的なプロセスである。選択を通じてわたしたちは環境を、人生を、そして自分自身を築いていく。だがそのために大木の材料を、つまり多くの選択肢をやみくもに求めても、結局はそれほど役に立たない組み合わせや、必要をはるかに超えて複雑な組み合わせをいたずらに生み出すだけで終わってしまうのだ。(p.308) ==== なぜそれを選択して、どんな時に選択すべきか、なぜ役に立つのか。ご飯を考える時に都度それをするのも面倒ではあるけれども、大事な選択の時は流されずにいたいなとは思う。
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評価も高く気になっていたが、すでにダンアリエリーの行動経済学関連の書籍で読んでいたことと重なることも多く、新たな気づきはそれほどなかった。読み物としてはおもしろいと思う。
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大衆向け心理学研究紹介の名著。文章もテーマも研究内容も個人的にはダン・アリエリーの「予想通りに不合理」の方が好きだが、こちらも読む価値は十分にある。インドのシーク教徒という人生における自身の選択の余地の少ない出自の筆者が、アメリカという選択の魅力に取り憑かれた国で暮らすという経緯...
大衆向け心理学研究紹介の名著。文章もテーマも研究内容も個人的にはダン・アリエリーの「予想通りに不合理」の方が好きだが、こちらも読む価値は十分にある。インドのシーク教徒という人生における自身の選択の余地の少ない出自の筆者が、アメリカという選択の魅力に取り憑かれた国で暮らすという経緯から、選択の性向や価値、影響について考えるというのは非常に合理的かつ有意義なこと。 結論は、選択は目的を達成し人生を切り開くための手段であり、科学を用いてその精度を上げることはできるが、最終的にはその不確実性と矛盾を許容して自身で選び取っていかなければならない。 おおむね下記のような構成 1章:選択を通して物事をコントロールしているという感覚は精神衛生上良い。選択することへの希求は時に選択自体が手段でなく目的と化すほど強い。 2章:民族や文化圏によっては集団の決定に倣うことが個人の選択よりも満足度を上げることがある。 3章:人は他人より"少しだけ特別"となるように選択を行う。自己像は環境などにより変化するが、過去を記憶し一貫性にこだわると自身への満足度が下がる。 4章:行動経済学をはじめとした選択へのバイアスに関するトピック 5章:日々無意識にプライミング効果(サブリミナル効果みたいなやつ)を受けて選択を操作されている 6章:選択肢は増え過ぎれば決定の満足度が下がる。7個程度に留めるか、階層を増やして一回ごとの選択肢数を抑えるべき。しかし人は往々にして選択肢の質よりも選択肢があるという状況を重視してしまいがちである。 7章:選択がいずれもマイナスの結果しか生まない場合、選択を肩代わりしてもらうか、助言をされるかすると、自身で決定したよりも満足度は上がる。
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自分は選択を外的なものに任せがちだけど、自分で選択することによって満足感が得られると知ったので、少しずつ実行して「決める・選ぶ」訓練をしていきたい。
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自由結婚か、パートナーが決められた結婚か 自分で選択したことが全て幸せに繋がるとは限らないというのは勉強になった。 そもそも自分で選択しているように見えて、選択させられていることも多いし、 全ては自分とそれ以外の関わり合いの中で決定されること。 その決定をどう意味付けするかがやっ...
自由結婚か、パートナーが決められた結婚か 自分で選択したことが全て幸せに繋がるとは限らないというのは勉強になった。 そもそも自分で選択しているように見えて、選択させられていることも多いし、 全ては自分とそれ以外の関わり合いの中で決定されること。 その決定をどう意味付けするかがやっぱり大事なんじゃないかなと思います。
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選択という行為がかようにも実に奥深いことを知らしめてくれた。特に医療を巡るケースは印象的であった。選択には自由のイメージがあるが、それと同時に諦めきれない後悔を伴うこともあると知る機会になった。
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宗教によって制約が多かった著者の実体験に基づく「選択」について、「選択」について直感に反するような研究結果の紹介などが書かれている。 著者のように選択の自由を宗教上制限されていたとしても「自分の人生を自分で決めている」という意識を持つのは可能である、といったように、選択について...
宗教によって制約が多かった著者の実体験に基づく「選択」について、「選択」について直感に反するような研究結果の紹介などが書かれている。 著者のように選択の自由を宗教上制限されていたとしても「自分の人生を自分で決めている」という意識を持つのは可能である、といったように、選択についての疑問の答えが調査によって明らかにされる。 本書は7つの講義から構成されている。そのうち著者の直接の経験に大きく関わる講義ははじめの2つで、残りは著者の研究に関する話や、一般的な認識と異なる研究結果の紹介になっている。 個別の話の内容について書くと、本書の結論を盗み書きしているような記述になってしまうのでここには書かない。 巻末には養老孟司による解説が添えられていて、これを読んであまりに上手くまとめられていて詳しい感想を書く気持ちが削がれてしまった。 > 著者が有名になったのは、店頭に並べる商品の数は、せいぜい七つほどが限度だ、という調査をしたからである。...自由に選択することは幸か不幸か。著者は後半で、障害児のいわば安楽死問題に関する両親の選択を扱う。決して自由な選択が万能薬だなどとはいっていない。よく目配りされた内容である。ぜひ本書をお読みいただいて、人生における選択について、もう一度考えていただきたいと思う。多かれ少なかれ、今後の人生を生きる参考になるはずである。(解説 養老孟司 p.460)
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幸福論の文脈で目にした「選択のパラドックス」というキーワードが気にかかっていて、本書に行き着いた。選択肢で溢れかえった社会に生きている自分が、ちっとも幸せだと思えない。そんな実感からだった。 著者は、「選択できる」ことの重要度が文化によって異なることを豊富な実験結果とともに示し...
幸福論の文脈で目にした「選択のパラドックス」というキーワードが気にかかっていて、本書に行き着いた。選択肢で溢れかえった社会に生きている自分が、ちっとも幸せだと思えない。そんな実感からだった。 著者は、「選択できる」ことの重要度が文化によって異なることを豊富な実験結果とともに示している。また、多すぎる選択肢がストレスにつながることや、ジレンマを生む選択肢に遭遇した時は選択を他者に委ねた方が心が楽になることも。 「人は自由であればあるほど幸せだ」という命題は、一見真に思える。一方で、本書の内容には頷ける部分が多々ある。むやみに選択肢を広げることを追い求めず、この先に何を掴みたいのかを熟慮し、丁寧に選択を積み重ねていくことが幸せへの近道なのかもしれない。
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選択とは何か。 同じ環境でも自分で選択したと認識している時はストレスを感じず、誰かに決められていると思った時はストレスを感じる。また、決めたくないことの場合、興味がうすいとか決められないくらい大きな決断は誰かに決めてもらった方がストレスが減る。 いろいろな事例、立場や環境がありい...
選択とは何か。 同じ環境でも自分で選択したと認識している時はストレスを感じず、誰かに決められていると思った時はストレスを感じる。また、決めたくないことの場合、興味がうすいとか決められないくらい大きな決断は誰かに決めてもらった方がストレスが減る。 いろいろな事例、立場や環境がありいろいろ考えさせられる。読んでいて面白かった。
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「選択」という単純、かつ毎日何気なく行っている作業をここまで掘り下げるとは!(感動) 著者の「選択」にかける情熱がひしひしと伝わってきます。 「今日はA定食にするか、B定食にするか?」といったちょっとしたものから、「転職するべきか、それともとどまるべきか」といった人生に大きな影...
「選択」という単純、かつ毎日何気なく行っている作業をここまで掘り下げるとは!(感動) 著者の「選択」にかける情熱がひしひしと伝わってきます。 「今日はA定食にするか、B定食にするか?」といったちょっとしたものから、「転職するべきか、それともとどまるべきか」といった人生に大きな影響を与えるものまで、私たちの生活は常に「選択」の積み重ねで成り立っています。 自分の意思で選択したと思っていた事も、実は外圧や周りの環境が影響していたのかもしれません。 (自信満々に自分で決めたようでいても、そうではない) 反対に、決めかねていたものを他人が決めてくれて安心した経験もあります。 私たちが選択する時、私たちの心の中では何が起きているのか?科学的に証明しています。 (恐らく何の影響も受けず、100%自分の意思で選択するってないと思う) そんな選択の奥深さを知ることの出来る本でした。 この本を読むと、自分が選択してきた経験と本に出てくる実験を照らし合わせ、振り返りをしたくなってきます。成功した時、失敗した時、その時の自分の心理状態はどうだったのか?何を基準に選択したのか? 自分の選択の傾向を知ることで、今後の選択を後悔なく乗り切ることができるのではないでしょうか。 実は「転職したいな~」と思っていて、自分で転職のタイミングを決めるのが怖かったので、参考がてら手に取った本なのです。 この本読んで、成行きに任せるのもアリ(それも選択)なんだな、と思ったら気が楽にりました。 あと、この本は言語化という意味でもスッキリさせてくれました。 私は占いが好きなのですが、理由を聞かれると「神秘的だから」とふわっとしか答えられなかったのです。 なんと、この本で言語化された箇所を見つけました。 (自分の言語化できなかったものを本で見つけると嬉しくなりますね!) ”苦境に立たされたとき、自分が正しい方向に進んでいると太鼓判を押してくれる人がいれば、たとえ現実の結果が変わらなくても、苦しみは大いに軽くなる。”(抜粋) ボリュームが多く、翻訳ものなので体力使いますが、読む価値はあります。
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