呪いの時代 の商品レビュー
いつものことだけど、また、たくさんのことをならったような気がする。 相手の知性に対する敬意。説明しようとしないのは不遜なんだな。わかって欲しければ汗水たらして、情理を尽くして語りましょう。わかる人はわかってくれるだろう。 個人的には日本の太平洋戦争が戊辰戦争の犠牲者たちの呪いによ...
いつものことだけど、また、たくさんのことをならったような気がする。 相手の知性に対する敬意。説明しようとしないのは不遜なんだな。わかって欲しければ汗水たらして、情理を尽くして語りましょう。わかる人はわかってくれるだろう。 個人的には日本の太平洋戦争が戊辰戦争の犠牲者たちの呪いによるものだったという説にじんわりと納得。呪いはバカにできません。 Mahalo
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なんというか、各論では違和感あるけど言いたいことはわかる、という相変わらずの感想なんだけど。 ネットで呪詛を見ない日はないという意味で、今読んでも面白いのでは 人を呪わば穴二つ、とはよく言うけど、ニーチェの名言を暗記して喜ぶ中学生みたいに、この警句を扱ってはいけないという信念は...
なんというか、各論では違和感あるけど言いたいことはわかる、という相変わらずの感想なんだけど。 ネットで呪詛を見ない日はないという意味で、今読んでも面白いのでは 人を呪わば穴二つ、とはよく言うけど、ニーチェの名言を暗記して喜ぶ中学生みたいに、この警句を扱ってはいけないという信念は、頷くところがある。
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呪いは生身の人間が起こすもの。 時事問題を筆者の目線で説いていくのが、とても新鮮で面白かった。 神社仏閣というもの、神というものが与える何かしらの力が自分の中で、ふんわりしていたのだが、この本を読んで少しスッキリした。 いつだって魔物は生身の人間なのだろう。
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本屋でジャケ買い。直感がまるで物を言うようにそれが必要なのだ、というのを度々感じるがこの本も全くその通り。買って正解。 前半を読み進めながら、何度も耳が痛いなーと思うところもあったが、辛抱強く読み続けているうちにこの人の言いたいことが段々わかってきて、最後には全体的に、なるぼどそ...
本屋でジャケ買い。直感がまるで物を言うようにそれが必要なのだ、というのを度々感じるがこの本も全くその通り。買って正解。 前半を読み進めながら、何度も耳が痛いなーと思うところもあったが、辛抱強く読み続けているうちにこの人の言いたいことが段々わかってきて、最後には全体的に、なるぼどそうですねーと納得させられることになる。 とくに最終章にかけては、現代日本の科学立国化と日本の太古からのアミニズムから来る霊性の対比の論説は、ながく感じていたけど、自分自身ではうまく言い表せられない事柄を、この著者はうまく書いておられる。 何かを変えなくてはならない状況にあり、それを実際に変えるためには、まずやってきた痛みやつらさを感じて、それを受け止ることが必要となる。そのために何か必要であり、それは何かを信じる力だという。そこで著者は時代を遡のぼり太平洋戦争下の日本人は敗戦後にそれまであった社会構造、信仰、信条などが一辺にガタガタと崩れ去り、そのとき日本人の多くが「何も信じない」ことを信じる、という信仰を選んだのだろうといっている。このことが第二次世界大戦後に科学立国の日本、経済力の日本という神話へむかって何かに駆り立てられるように突き進んで行ったと語っている。そしてそのことは東日本大震災後の原発事故における問題にもその影響が及んでいるのだと話を進めている。確かにあれだけの被害を被ったにもかかわらず日本総体として、原子力というパワーを手放せない理由は、意識している部分以上に無意識下での影響からきているのかもしれない。 時代は点ではなくて線でつながっており、要は今必要なのは日本人が共有する全時代的に大事にしてきたことは何かというとことを見直すこと、そのバランス感覚の再認識だということだと思う。 にしても理屈っぽいと思う。女性にはうとまれそうな本だ
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ちょっと久しぶりに読んだ感のある内田節です。相変わらず舌鋒は冴えまくってて、”呪い”っていうおどろおどろしいタイトルに基づいて、でもいつも通りの論旨が繰り広げられます。ちょっと走りがちに読んでしまったのもあって、十分な内容咀嚼が出来てない感があるけど、また読み直して理解を深めたい...
ちょっと久しぶりに読んだ感のある内田節です。相変わらず舌鋒は冴えまくってて、”呪い”っていうおどろおどろしいタイトルに基づいて、でもいつも通りの論旨が繰り広げられます。ちょっと走りがちに読んでしまったのもあって、十分な内容咀嚼が出来てない感があるけど、また読み直して理解を深めたいと思います。
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中身はいつもの話しではあるけれど、タイトルがすごい。『呪いの時代』と言い当てるセンスが光る。特に原子力発電所を「祟らないように祀り畏れる」ように扱うべき、というところ。(第10章 荒ぶる神を鎮める) そして文庫版あとがきの、「さきの戦争での絶望的な敗戦」は戊辰戦争の呪詛の結果であ...
中身はいつもの話しではあるけれど、タイトルがすごい。『呪いの時代』と言い当てるセンスが光る。特に原子力発電所を「祟らないように祀り畏れる」ように扱うべき、というところ。(第10章 荒ぶる神を鎮める) そして文庫版あとがきの、「さきの戦争での絶望的な敗戦」は戊辰戦争の呪詛の結果であり、今日の混乱は太平洋戦争の呪いの結果仮説。確かに、初めて聞くとそんなバカなと思うものの、聞けば聞くほど腑に落ちる。 願わくば、呪いではなく祝いを。両者は表裏一体なのだから。
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「呪い」をキーワードに現代社会を見る。 必要なのは呪詛ではなく祝福であり、贈与の経済である。 と説く。 個別に仰ってることはとてもよくわかりますが、 まだまだ血肉化できてないのが現状。 2回読んだのにね。 これからを生きる上で必要な1冊。 なにって装丁が可愛い。 もう一度落とし込みたい。
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三年前に刊行された本が文庫化されたので手に取った。内容は先生が出演なさっている『辺境ラジオ』でも語っておられるものと重複している内容が多々あり、既視感はいつにもまして高かった。 けれども、はたと膝を打つ考察もあります。たとえば、「あらゆる呪いは記号的」すなわち「抽象的で、一般的で、反復的」だとした上で『源氏物語』の六条御息所の例を引き、葵の上に対する嫉妬心を自分の固有名において引き受けることを拒絶したために、嫉妬が記号化し葵の上を取り殺す結果となったことを指摘しています。この指摘に目から鱗が落ちるのはもちろんですが、日本文化という文脈に限定されはしますが、普遍的な形で「呪詛」の構造を物語にビルトインした紫式部の並外れた慧眼には感服せざるを得ません。いまさらか。 他にも興味深い指摘はあります。「努力することへのインセンティヴを傷つけるというのが社会的差別のもっとも邪悪かつ効果的な部分なのです」という指摘です。前述の『六条セオリー』とも関係しますが、昨今のヘイトスピーチ的言説がはらむ呪詛的な性格をうまくいい表してるのではないかと思います。 というのも、対象物への呪詛は、それを見聞して溜飲を下げている人々に対しても、「既得権益を持ってる連中がその権益を手放さない限り、努力しても無駄だ」と思わせ、社会への積極的コミットメントを損なわせようとする力を持つからです。「人を呪わば穴ふたつ」と申しますが、最近は「呪うひと」「呪われる対象」の他にも「呪いで溜飲を下げるひと」さえもが呪詛の対象になるようです。恐ろしい世界になったもんです。 誰をも賦活させない言説を呪いとするならば、匿名の掲示板に書き込まれる多くの文言が、呪いとして機能している世界に我々は生きているということを、まざまざと実感せざるを得ません。
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これぞ内田樹さんというような内容。 少し前の著作だと思いますが、彼が書いている 述べている内容は今と変わらずぶれない内容 だと思います。悪く言えば使いまわしですけど この本に書かれてあるすべてについて、 ものすごく大事なことばかりだと思います。
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やはりこれは、いつ読んでも名著。 頷けるところもあるし、そんな考え方をするのか、と新鮮なところもあり、読んでいて飽きない。 呪いの時代、読むのは三度目やけど、今回読んでみていつもとはちがうところに心が動かされるところがあったりして、そういう変化も含めて楽しく読めた。
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