トワイライト・シャッフル の商品レビュー
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乙川優三郎「トワイライト・シャッフル」、2014.6発行、短編13話。いずれも房総(外房)が舞台、漁師町であり、別荘地であり、観光地でも。月の砂漠もあるとしたら、御宿でしょうか。短編の内容自体はあまり好みではなかったです。海女の生き方を描いた第1話「イン・ザ・ムーンライト」が良かったです。
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短編小説13篇、心地良く進む物語がどれも文量の程が良い。 なかなか馴染めないと言うものがいくつかはあるものだが、この短編集はどれもそんな人達が…と心に染みを作っていくようだった。 最初のインザ・ムーンライトは、引退した海女の話だが「えーそれは墓場まで持ってって!」なんてちょっ...
短編小説13篇、心地良く進む物語がどれも文量の程が良い。 なかなか馴染めないと言うものがいくつかはあるものだが、この短編集はどれもそんな人達が…と心に染みを作っていくようだった。 最初のインザ・ムーンライトは、引退した海女の話だが「えーそれは墓場まで持ってって!」なんてちょっとイラッとしたものだから筆者の勝ちだわね。 どれも房総の海にまつわるお話しだけど、自分を律して行けそうだと感じるものが多く、次のお話を読むのが楽しみでならなかった。 病気をした女性の話では、仕切り直して女に戻ってから次を考えらば良いと思えたのも私には学びになった。
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短篇集で読みやすかった。 どの作品も正直で、気取ったところがなくて、すごく良かった。 女性が靭く、男性が最低なところも良い(苦笑) 乙川さんの小説はトーンが好き。 ☀︎ 乙川作品によく出てくる千葉県の御宿町は幼少から大学生まで頻繁に訪れていた場所で、海の家も手伝っていたし、人も場...
短篇集で読みやすかった。 どの作品も正直で、気取ったところがなくて、すごく良かった。 女性が靭く、男性が最低なところも良い(苦笑) 乙川さんの小説はトーンが好き。 ☀︎ 乙川作品によく出てくる千葉県の御宿町は幼少から大学生まで頻繁に訪れていた場所で、海の家も手伝っていたし、人も場所も言葉も私にとっては馴染み深く、読んでいて変な気持ちになります。
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老いた海女、亡き夫を偲び続ける未亡人、落魄のピアニスト・・・外房の小さな漁港の町を舞台に、人生の半ばを過ぎて来し方を振り返り、行く末を案じ、何かを見つけあるいは何かに別れを告げようとしている男と女の13の物語。 「ロゴスの市」でも舞台であった外房の町。太平洋を見渡す解放感のあるロケーションにありながら、登場人物たちは一様に今の生活に閉塞感を感じている。 海沿いに立つホテルやジャスを聞かせるバーというシチュエーションが海外小説を読んでいるかのような空気感を醸し出す。廃れた漁港の町の高台にできたアメリカ西海岸を彷彿とさせる別荘地の庭造り一つをとってもそれぞれの人生が投影される。女たちは潔く、男たちはどこか未練がましい。 乙川さんの文体が好きだ。さらりと乾いた風のようにどこか遠くへと誘ってくれる。だからこそ、暗く、重い状況にある登場人物たちを描いていてもじめじめとしない。 人生の終焉を迎えた女たちのそれぞれの決着のつけ方に自分の未来を重ね合わせ、しんとした気持ちで読み終えた。
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千葉県房総半島を舞台にした、綺麗に言えば大人の、悪く言えば年配者の生き方を描いた短編13掌を収録。 作品ごとに出来不出来の差も激しく、例えば表題作なんかは「なんで表題に?」っと思うくらい凡庸なのだが、何篇かはすごくいい深い小説になっている。作者特有のキザな表現が上っ面か深みを増すか、どっちに作用するかが出来不出来の指標になっている感じ。 冒頭作の海女さんの話、造園業者の話、休みを読書で過ごす女性の話、最後に収録された社長秘書の話…あたりは雰囲気印象も良くて、短編読みの醍醐味を堪能できた。 男ってのはなんとも情けないなぁと思う短編多し。乙川さんの筆にかかるからなのかも知れないが…いや、自分を振り返っても、情けないことがどこか根底にあるのが、一つの男の特徴なのかも知れない。
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短編集。大人の男と女のあれこれ。バーでお酒を片手に語られているような、濃密な夜の雰囲気。どんな話だったかすでにほとんど覚えていないけど、読んでいる時は文章が綺麗で引き込まれた。静かな余韻が心地よい。
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最初の話が良かったなぁ。人生って年を取っても戦うって気力が大事やなと思った。 そこで終わるの?っていう話もあって、余韻を感じたい部分もあった。まぁ、人生ってことについて考えさせるな。
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文体の個性を愛せるかどうか。 苦味の強い片岡(初期の)という感じ。 ストーリーは、文体よりも、さらに苦味や酸味が強い。 だから、素晴らしく、外文みたいな雰囲気が。
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7編目で読むのをやめてしまった。評価はその7編で。最近、連作短編の本(アイデア先行の本)が多くて、それだけで読まないようにしていたが、書評があり、「脊梁山脈」を読んだ後でもあるので期待した。 バーでの会話が出てきてから、つまらなくなってしまった。
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普遍的かつ等身大の男と女、あるいは親と子の情愛を様々な形態に投影して綴っているオムニバス…なのかもしれないが、全体的にあまりにも美し過ぎ、綺麗にまとめられ過ぎているような印象を持った。 換言すればお洒落過ぎるというか、ひょっとしたら造られた整形美人の顔みたいな。 また、一冊にまと...
普遍的かつ等身大の男と女、あるいは親と子の情愛を様々な形態に投影して綴っているオムニバス…なのかもしれないが、全体的にあまりにも美し過ぎ、綺麗にまとめられ過ぎているような印象を持った。 換言すればお洒落過ぎるというか、ひょっとしたら造られた整形美人の顔みたいな。 また、一冊にまとめることをイメージして意図的にそうしたのかもしれないが、無機質ともいえる文体のリズムがすべての作品において等しく、少し単調とも感じられた。 個人的には、もう少し泥臭さが感じられる人間模様を緩急つけて描いている方が、短編集としては好みだ。
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