ボラード病 の商品レビュー
B県海塚市、母親と暮らす小学5年生の恭子。 母親から「いつも見られているのだから、恥ずかしいことをしては駄目よ」と言われ続ける。 学校での恭子の様子、先生、同級生たちとの会話などを 読み進める間に覚える違和感。 自分ならどちらを選ぶのか。再読
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『京都大学新聞』のインタビューを読んで、著者が念頭に置いていたのがカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』だったと知ったが、あの本ほどのインパクトや意外性は残念ながらない。ファシズムの不気味さも書評で言われてるほどはない。ただ読んでいる最中も何かが気持ち悪いし、後味が悪いのはたし...
『京都大学新聞』のインタビューを読んで、著者が念頭に置いていたのがカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』だったと知ったが、あの本ほどのインパクトや意外性は残念ながらない。ファシズムの不気味さも書評で言われてるほどはない。ただ読んでいる最中も何かが気持ち悪いし、後味が悪いのはたしかだ。原発事故後の福島を想起させるとしても、何かが足りない。普通に面白いのだろうけど、求めすぎていたわたしにとっては一周回って物足りなさが残ってしまった。
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究極的には客観的に物事を考える事は不可能だから、本質的には皆の脳の囚人となる。化学工場の企業城下町での公害問題に物言えず、同調圧力により病んでいく姿を描いており、社会派であり哲学的でもあるが、やや表面的で人間の内面の葛藤描写が弱いかな。囚われの身の過去回想独白形式だとどうしてもこ...
究極的には客観的に物事を考える事は不可能だから、本質的には皆の脳の囚人となる。化学工場の企業城下町での公害問題に物言えず、同調圧力により病んでいく姿を描いており、社会派であり哲学的でもあるが、やや表面的で人間の内面の葛藤描写が弱いかな。囚われの身の過去回想独白形式だとどうしてもこうなってしまうのかもしれないが。これなら公害ドキュメンタリーとか哲学書を読んだ方が有益かな?って気はする。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読み始めたら一気に最後まで読めました。そしてすぐに再読したいという衝動に駆られ、そうしました。 この作品、かなりの傑作だと思います。何か大きな賞を授けるというような話はあるのでしょうか。 架空の場所の架空のお話だということを背景描写がしっかりと示しているのだけれど、この時期にこの国でこの作品を読めば、これは原発事故後の社会であることを誰しもが想像してしまうように書かれています。 独白というスタイルで、導入部から途中まではごく普通の小学生の女の子が、少し神経質に過ぎる母親のもとで育てられ生活をしていて、様々なことを考えたり胸の内で反発したり…と、どこにでもありそうなエピソードだという印象で読み進んでいくことが可能です。 ところが途中から、様子が変わってきます。 最後の方で、30歳になった女性が小学5年生時の出来事を回想しながら文章にしているのだということがわかります。しかも彼女は監禁されているという状況下で書いているので、これまで読んできた独白文がどこまで本心でどこまで都合のいいように事実を改ざんして書いているのか…?という疑問も生まれてきます。 そういう状況下で書かれていたからこそのこんな独白だったのか!…と、それまでに読み進めてきた中で「ん?」とハテナ??が感じられてきた部分に関して、急激に合点がいくような、何とも不思議な描き方です。 背景や空気感だけで多くを伝え、多くを考えさせる作者の筆力にも驚かされます。 読後感としては、ものすごく大きなものを突きつけられた感じです。 先へ先へ、上へ上へ…と文明を推し進めてきた私たち人間は、実は誰もが行き詰まり感を持っているというのに、現実から目をそらし、目先の便利や快楽に身をあずけて生きていると言えなくもありません。 そんな中で、原発問題や広義の環境問題等で声を上げる人々を無意識のうちに弾圧する構図にも感じられて、胸がざわざわしました。 そして最後の一文。この挑発めいた一言が哀しくもあり、涙が出ました。
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ラスト一文にガツンとやられた。いや、もっとずっと前からジワリジワリとヤラれてたんだけども。 再読必須だな。
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読みやすい文体。 どうなってんのか気になる気になる…で、どんどん読めるんだけど。 なんとも不気味で気持ち悪い。 こんな気持ち悪い文章がよくかけるなと思う。 気持ち悪い。
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ラジオで誰かが評価していたので読んでみました。 床屋で一気読み。 最初は主語が分かりにくい文だったので、誰の話か分からなかったけど、登場人物の整理ができて慣れたら入り込めました。 が、最後まで読んで、?????ん??と。藤村先生は?なぜ、アケミは? 意味が分かりませんでした。けど...
ラジオで誰かが評価していたので読んでみました。 床屋で一気読み。 最初は主語が分かりにくい文だったので、誰の話か分からなかったけど、登場人物の整理ができて慣れたら入り込めました。 が、最後まで読んで、?????ん??と。藤村先生は?なぜ、アケミは? 意味が分かりませんでした。けど、読み直したらわかるかなと思って、前半を読み直しました。少し見えてきた。「錯覚」。 錯覚は、何を何と取り違える? 恥ずかしながら答えを求めて「ボラード病 ネタバレ」で調べてみたら、あゝ、あゝそう言うことか、自分の読みの浅さが悲しくなる。
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不気味さ、しかしそこから目を離せない感じがとても強い小説。この感じって物語が本来的に持っている性質の一つだと思うのだけれど、本書では特に、いい具合に毒されました。
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不気味な小説だった。海塚市に住む人々の話。最初は主人公の少女が異様なのかと思ったが、読んでいくと全ての登場人物が異様に見えてくる。なぜこうなった?なぜいなくなった?なぜおかしくなった?疑問符だらけなのだが、真実は見えそうで見えないまま。なのにどこかにあるようなリアル感。何とも独特...
不気味な小説だった。海塚市に住む人々の話。最初は主人公の少女が異様なのかと思ったが、読んでいくと全ての登場人物が異様に見えてくる。なぜこうなった?なぜいなくなった?なぜおかしくなった?疑問符だらけなのだが、真実は見えそうで見えないまま。なのにどこかにあるようなリアル感。何とも独特な世界観だった。
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ディストピアものに終始漂うきな臭さが、平易かつ淡々と描かれた子どもの視点でよりいっそう強調されている。このじわりじわりとした不穏な空気がたまらなく、イイwww ラストの一言が印象的。 どこにも放〇能とか書いてないけど、311以降の、そしてつい最近憲法解釈の変更が行われた今の日本...
ディストピアものに終始漂うきな臭さが、平易かつ淡々と描かれた子どもの視点でよりいっそう強調されている。このじわりじわりとした不穏な空気がたまらなく、イイwww ラストの一言が印象的。 どこにも放〇能とか書いてないけど、311以降の、そしてつい最近憲法解釈の変更が行われた今の日本で物議を醸しそうな作品だ。 同じ子ども視点でファシズムを描いた、23分間の奇跡、ピカピカのぎろちょんなどを思い出した。あと、短い話なら茶色の朝。 23分間の奇蹟は中学の時くらいに世にも奇妙な物語でみて静かな衝撃だったなあ。教育と洗脳は紙一重。 私自身、メインストリームに自分が乗っかるのに抵抗を覚えるタイプだ。しかし、集団心理に流されまい、洗脳されまいとして、別の思い込みにハマってしまいがち。ゆるゆると、中庸でありたい。
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