シャーロック・ホームズ全集(4) の商品レビュー
題からは想像できないようなことが起こって、予想の斜め上の結末を行くのがホームズ。それがすごく面白い。お兄さんと、モリアーティと、重要人物初登場!
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テンポよい短編集で、長さもちょうどよく、どんどん読み進んでいったら、いきなり出た!ライヘンバッハの滝!モリアーティ教授! でも、具体的に何をやったかは書いてない。ホームズと同じくらい頭がよい悪者としかわからない。本当にコナン・ドイルはホームズシリーズをやめたかったんだなと痛感。
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「ねえ、ワトスン、ここがどこかわかるかい」 「いや、どこなんだ」 「極東の一小国のようだよ」 「極東といったら、支那かね」 「支那を小国とは言わないだろう。大国としてのふるまいをいまだ知らないようではあるがね。ほら、ぼくらの喋っているのは日本語だろう。日本語が公用語なのは、日本国...
「ねえ、ワトスン、ここがどこかわかるかい」 「いや、どこなんだ」 「極東の一小国のようだよ」 「極東といったら、支那かね」 「支那を小国とは言わないだろう。大国としてのふるまいをいまだ知らないようではあるがね。ほら、ぼくらの喋っているのは日本語だろう。日本語が公用語なのは、日本国しかないよ。しかもぼくらの時代から100年以上も先だ」 「100年だって。それはどういうことなんだ」 「ここはネットのサイトだからね。ネットというものができるのは100年もあとなんだ」 「何のことかよくわからないが」 「君は常々、ぼくの捜査記録を発表してくれているじゃないか。そのおかげで、たくさんのパスティッシュが生まれたというわけさ。つまりぼくらの複製があちこちに出没するってわけなんだよ。書評でパスティッシュをするなんてのも、まあ、ありきたりだね、ぼくからいわせれば」 「何だね、君の変装みたいなものかね」 「ちょっと違うが、まあ、そんなところだ。ほら見たまえ、君がまとめてくれた捜査記録の短編集の2つめ、『思い出』だが、巻末にパスティッシュのおまけまで付いているよ。これはなかなかのメタフィクションじゃないか」 「J・M・バリーからドイルに送られたものとあるね。あれ、著者名がジョン・H・ワトスンじゃなくて、ドイルになっているぞ」 「それも君には理解困難なことだろうが、このドイルという男、ぼくのことを快く思ってないのだ。短編を書くのには長編を書くのと同じくらいの労力を要するものだから、他の仕事ができなくなってしまうというんだよ。そこで、「ストランド・マガジン」に高額の執筆料をふっかけてみたのだが、出版社は何の躊躇もなく要求に応じたものだから、ついに続編を書かざるを得なくなってしまった。『冒険』の最後の「ぶな屋敷」から、『思い出』の最初の「銀星号事件」の連載再開まで半年、その後、1年かけて次の12編を連載するのだから、その執筆速度たるや」 「ぼくはそんなに速く書けないね」 「そうだろう。ぼくの失敗譚「黄色い顔」を載せるのもドイルの複雑な心情かも知れないね。もちろん、「最後の事件」でぼくを殺してしまうんだが」 「なに、きみは生きていたじゃないか」 「それはまたあとの話さ。ときにこの「ボール箱」、痴情の連鎖で起こる悲劇だが、きみが間接的に「扇情的な興味本位の要素」といっているように、ドイル自身のアルコール依存の父と、母親の不倫をかなり直截的になぞっているようなところがあるせいなのか、『思い出』には載せられず、後年、『最後の挨拶』に収録されたものが、ここではもとに戻されているんだよ。ぼくたちは事件のまえに、戦争というやり方はまったく無意味だという話をしていたが、「ボール箱」の事件を見て、「悲惨と、暴力と、恐れが、めぐりめぐって続くことがどういう役に立つというのかね?」とぼくが述べるのをきみは記録してくれたね。みたまえ、この100年後の世界でもこうしたことの解決は「永遠の課題」に留まっているようだよ」 「嘆かわしいことだね」 「さて、ぼくの耳に間違いがなければ、どうやら新しい依頼人がきたようだよ」
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河出文庫版。挿絵と注釈、解説と付録がよかった。確かに「最後の事件」ておかしいところだらけだけど、やっぱり引き込まれてしまう。
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「白銀号事件」 キングス・パイランドの名馬がいなくなり、その調教師が荒地で死んでいた。事件の解決に向かったホームズが見破った事件の真相はーー? 足を引きずる羊、死んだ調教師が持っていた華奢なナイフ、事件前夜に訪れた怪しい男。 「ボール箱」 クロインドンのクロス街に住むミス・スー...
「白銀号事件」 キングス・パイランドの名馬がいなくなり、その調教師が荒地で死んでいた。事件の解決に向かったホームズが見破った事件の真相はーー? 足を引きずる羊、死んだ調教師が持っていた華奢なナイフ、事件前夜に訪れた怪しい男。 「ボール箱」 クロインドンのクロス街に住むミス・スーザン・クッシングの元に、粗塩と二つの耳が入った小包が届いた。スーザンは全く心当たりがないという。ホームズは小包の結び目が特殊なことに気づき、また、スーザンには二人の妹がいることを知ったーー。 「黄色い顔」 ホームズの元に、とある男が妻が怪しいと依頼を持ってきた。どうやら引っ越してきたばかりの隣人と妻が関係があるらしい。男は見るもおぞましい黄色い顔が見えたと言っていた。引き止める妻を振り切り乗り込んだ家のなかにいた人物は…。 「株式仲買店員」 モースン商会に勤めることになった若い依頼人は比較の給与で引き抜かれる。だが、面接した男と双子の上司が同じ場所に金歯があることから不信感を抱きホームズに相談に来た。男の企みは一体何なのか? 「グロリア・スコット号」 ホームズは学生時代、友人の家に遊びに行った。そこで知り合った友人の父親である治安判事トレヴァーは不可解な手紙を受け取り脳溢血で死亡した。なぜ、トレヴァーは不可解な手紙を読んで恐怖したのか?一体彼になにがあったのか? 若かりし頃のホームズが取り組んだ事件。 「マスグレーヴ家の儀式」 ホームズの学友マスグレーヴが、暇をだした執事とその元恋人が失踪したと相談にきた。執事は荷物を残したままだった。執事はドンファンだったがとても有能だったという。ホームズは執事が馘首される原因となった、マスグレーヴ家に伝わる儀式文から手をつけ始める。その儀式文の謎をとけば、執事の行方も分かるだろうと踏んだのだ。その儀式文が示す謎とはーー。 「ライゲイトの大地主」 サリー州のライゲイトにおいて、ワトスンの旧友ヘイター大佐の邸宅で療養することになったホームズ。到着した日の晩、招待主の大佐は地元の名士アクトン老人宅で起こった強盗騒ぎの話題を持ちだす。翌朝、アクトン老人と対立関係にあった大地主・カニンガム氏の屋敷で、彼に仕えていた御者ウィリアム・カーワンが銃殺された。犯人は強盗だという警察、だがホームズが突き止めた真相とは。 「曲がった男」 バークレー大佐が死亡した。直前に夫人と激しく口論する声が聞こえていたという。大佐の死体が発見された横では夫人が気を失って倒れていた。鍵はなく、部屋は密室だった。 夫人が犯人ではないかと言われる中、ホームズは夫人と親しいモリソン嬢に話を聞く。2人で外出した折、夫人は道で背中の曲がった男とぶつかった。どうやら2人は知り合いだったようだーー。 「入院患者」 有名な医師が妙な出来事に巻き込まれたと相談に来た。著名ではあるものの金がなかった医者に、出資するから開業しないかと持ちかける男がいた。医師は承諾し、売上の何割かを自分の収入としていたが、ある日を境に同居人の様子がおかしくなった。原因を突き止めて欲しいというのだ。 ホームズが捜査を始めた矢先、その同居人は首をつって死んでいた。自殺と断定した警察をよそに、ホームズは事件の真相を暴く。 「ギリシャ語通訳」 ギリシャ語通訳で生計を立てている男がホームズの元に相談に来る。怪しげな男たちが捕らえ痛めつけているギリシャ人の通訳をするよう言われたというのだ。捕えられたギリシャ人と、男2人の知り合いらしい女性は知り合いらしい。 ホームズが突き止めた真相とは? →ちょっとホームズとしてはぱっとしない事件。 「海軍条約文書事件」 重要な書類が盗まれたとワトソンの旧友が相談の手紙をよこす。旧友は神経衰弱で弱り切っていた。しかもホームズたちが訪れた夜、強盗らしき人物も現れーーホームズが突き止めた犯人、そして条約文書の行方は? 「最後の事件」 モリアーティ教授との対決。謎解きではないよね。
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河出文庫版シャーロック・ホームズ全集第4巻。 ドイルが1度、ホームズものを完結(?)させたのは周知の通り。本来書きたいものと人気が出たものに齟齬がありすぎたのが原因だと言われている。 小説の方は有名すぎるほど有名だが、巻末に収録されている付録が興味深い。特に『付録二 いかにして私...
河出文庫版シャーロック・ホームズ全集第4巻。 ドイルが1度、ホームズものを完結(?)させたのは周知の通り。本来書きたいものと人気が出たものに齟齬がありすぎたのが原因だと言われている。 小説の方は有名すぎるほど有名だが、巻末に収録されている付録が興味深い。特に『付録二 いかにして私は本を書くか』は一読の価値あり。
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学生時代のホームズや探偵初期のエピソードなど、ホームズを知る上で欠かせない物語満載。宿敵モリアーティ教授との対決を描き「最高の出来」と言われた《最後の事件》を含む、必読の第二短編集
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