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日本人を考える 新装版 司馬遼太郎対談集 の商品レビュー

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2020/05/11

たぶんもう20年くらい前に買ったまま本棚の隅に隠れてしまっていた一冊。 コロナの巣ごもりでたまたま手にして読むことに。 あとがきに昭和46年(1971年)6月とあるから今から50年も前の対談集だが、日本はまだ万博の余韻冷めやらず高度成長の春を謳歌していた時代。 司馬遼太郎もまだ...

たぶんもう20年くらい前に買ったまま本棚の隅に隠れてしまっていた一冊。 コロナの巣ごもりでたまたま手にして読むことに。 あとがきに昭和46年(1971年)6月とあるから今から50年も前の対談集だが、日本はまだ万博の余韻冷めやらず高度成長の春を謳歌していた時代。 司馬遼太郎もまだ40代後半で国民作家として不動の地位を確立し脂が乗り切っている頃。対談の相手は梅棹忠夫、犬養道子、梅原猛、向坊隆、高坂正堯、桑原武雄、貝塚茂樹、今西錦司等全員が明治大正生まれの当代一流の学者、文化人。 さすがに半世紀も前の対談なので、学生運動や公害問題など今の世相とだいぶ変わってしまった話題もあるが、原発問題とか科学技術の発達は人類の未来に幸福をもたらすのかといった文明論などはその本質は今でもまったく変わっていない。 また当時文化大革命真っ最中の中国との関係について、文化大革命がもし成功すれば思想信条に拘泥しない「あっけらかん民族」の日本人は中国についていくのではないか、などという議論もなされていて、その後の歴史を知っている我々からすれば笑ってスルーという感じもするが、5GやAIでトップランナーになりつつある中国に対して欧米型の自由主義、民主主義より中国型の市場経済型国家主義の方が21世紀には優位に立つのではないかなどと真面目に議論する人が出てきたことを鑑みるに、中国との関わり方という問題は古くて新しい問題である。いずれにしろ中国という大国の歴史に敬意と深い見識を持って未来の日中関係を論じる司馬氏や貝塚氏などの当時の知識人は、今日のいわゆるネトウヨ的保守論客とは相当の格の違いを感じさせる。 スケールが大きく痛快だったのは今西錦司氏。核戦争が起こって人類の70%が滅亡しても、30%が生き残ればそこから人類はもう一度復活できる。その時人類の救世主になるのはアフリカ人だと。自由で大らかな時代の空気を感じる。

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2015/03/30

1970年の対談集。司馬さんはじめ鬼籍に入った方が結構おられる。全共闘の話題を見ると45年は長いと感じるが、歴史の話題が多いこともあり、充分示唆に富むものだった。2015.3.30

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2015/03/17

40年前の司馬遼太郎の対談の新装版だが、今読んでも古びていないのは流石。 対談相手は、梅棹忠夫、梅原猛、高坂正尭、陳舜臣、桑原武雄、貝塚茂樹、今西錦司等々の超豪華な顔ぶれ。 面白いのは高坂正尭との対談。 高坂正尭は当時の「左翼でなければ文化人でない」という時代風潮の中で、現実主...

40年前の司馬遼太郎の対談の新装版だが、今読んでも古びていないのは流石。 対談相手は、梅棹忠夫、梅原猛、高坂正尭、陳舜臣、桑原武雄、貝塚茂樹、今西錦司等々の超豪華な顔ぶれ。 面白いのは高坂正尭との対談。 高坂正尭は当時の「左翼でなければ文化人でない」という時代風潮の中で、現実主義のオピニオンリーダーだった。 高坂は、赤軍派の「よど号ハイジャック事件」を、「珍しくもナンセンスという点で世界に冠たるハイジャック・・(略)・・北朝鮮はスターリニズムの国だし、それに日本共産党ときわめて近い。そんなところへ彼ら反日共系の学生が行ってなにができるか、少し知識があれば、何もできんだろうということが分かるはず」 それを受けて司馬が「ほんまにあれは史上類のない低能やな。まったく世界に冠絶したハイジャックです。無知こそ行動のエネルギーであるという精神は、幕末からありますね・・(略)・・大久保以下反幕の政治家は、無知こそエネルギーである攘夷エネルギーをテコにして時勢を動かそうとしたし、さんざんこれを利用した。維新政府が出来たあと、ちょっとボンヤリした人間が、太政官に出かけて行って、いつ攘夷のお取りやめが布告されましたかと、聞きにいったそうです(笑)」といったやりとりの妙味は何とも言えない魅力と面白さがある。 きっと二人は大阪弁で何の気兼ねもなく語り合ったのだろう。こういう対談を目の前で聞いてみたいものだ。

Posted byブクログ

2014/09/10

【司馬さんの「しゃべり」の魅力に溢れた一冊】「若者を受け入れない社会は動脈硬化した社会」「中国の政治家は、みんな演技家ですよ」――。四十年前とは思えない示唆に富む対談。

Posted byブクログ