薔薇忌 の商品レビュー
舞台に携わる人々を描いた短編7編。どれも妖しくて美しい幻想的な話ばかり。現代の話なのに、芝居を扱っているせいか、どこか時代がかった雰囲気をもつ不思議な世界観。 少し硬めの文体なので、慣れるまでは入り込みにくいとこもあるけれど、それが却って幻想的な雰囲気を際立たせている。 皆川作品...
舞台に携わる人々を描いた短編7編。どれも妖しくて美しい幻想的な話ばかり。現代の話なのに、芝居を扱っているせいか、どこか時代がかった雰囲気をもつ不思議な世界観。 少し硬めの文体なので、慣れるまでは入り込みにくいとこもあるけれど、それが却って幻想的な雰囲気を際立たせている。 皆川作品は『開かせていただき光栄です』とその続編しか読んでないけど、この作品といい、気になってる『少年十字軍』といい、ジャンルの幅広さに驚く。
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演劇に携わる人々を描いた短編集。内容は「演劇の話」と聞いて想像するものの斜め上を行く、皆川博子テイストの効いた独特なものばかり。役者だけでなく、プロデューサーや小道具製作者などの裏方にもスポットを当てている。面白かった!
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初めましての作家さん。 90年代に出版されたものの復刻版のようです。 舞台に携わる者たちの妖しい短編集。 ミステリというよりは、幻想譚といった感じです。 でも短編集なのに、どれもこれもヤバイ。 舞台に携わる者達の話だから、どうしても妖しくなる。 だけど文章の持って行き...
初めましての作家さん。 90年代に出版されたものの復刻版のようです。 舞台に携わる者たちの妖しい短編集。 ミステリというよりは、幻想譚といった感じです。 でも短編集なのに、どれもこれもヤバイ。 舞台に携わる者達の話だから、どうしても妖しくなる。 だけど文章の持って行き方がヤバイ。 起承転結を当てはめるとするなら 起承~~~~転?結!!工エエェ(゚〇゚ ;)ェエエ工 って感じかなぁ~ 最後の1ページで、一気に幻想に変化するというか・・・ こういうのは初体験です。 ヤバイです。面白かった。
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2/21 読了。 劇場は生と死のあわいにある場所なのかもしれない。役者はひとたび役の一生を生き、舞台上で死に絶えても、すぐに起きあがって楽屋口から現実の生へ戻っていく。生より濃い生と、死の幻想を、繰り返し垣間見ることのできる場所。それが劇場なのだとすれば、そこに人の情念が憑き、死...
2/21 読了。 劇場は生と死のあわいにある場所なのかもしれない。役者はひとたび役の一生を生き、舞台上で死に絶えても、すぐに起きあがって楽屋口から現実の生へ戻っていく。生より濃い生と、死の幻想を、繰り返し垣間見ることのできる場所。それが劇場なのだとすれば、そこに人の情念が憑き、死してなお棲み続けてしまうのも当然だろう。
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短編集 7編収録 ミステリと言うか、ホラーと言うか 皆川さんは独特の世界観を持った方ですね。アタシが読んだ長編は濃厚でしたが、本書は短編ですし読みやすい思いました。それでもアタシは夜中に読了してから、違う本を何冊か読み、また本書を読みやっと今レビューを書く気になりました。本書は怖...
短編集 7編収録 ミステリと言うか、ホラーと言うか 皆川さんは独特の世界観を持った方ですね。アタシが読んだ長編は濃厚でしたが、本書は短編ですし読みやすい思いました。それでもアタシは夜中に読了してから、違う本を何冊か読み、また本書を読みやっと今レビューを書く気になりました。本書は怖いです。色々な意味で怖い。なのにまた読んでしまう。アタシも囚われたようです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
芝居をめぐる、惹かれ期待する関係の短篇集。いじらしくて、ねじまがって、フェティッシュで、古臭くて。 短編の寄せ集めではなく撚り集めで物語が出来る。 決して「恋愛」ではないし、情愛が支配するわけではない。 欲望と怠惰と執着と希求。 純粋さよりも湛える深淵を愛す。 各編ごとに見ても仕方ないって途中までやって分かった。 各々登場人物の設定とかかれる内容は少しずれている気がする。勿論意味はあって必要な設定なんだけど、〇〇→△△となる記号ではなくて、〇〇からその人の印象と人生を推測しないと読みにくい。AパートとBパートの距離が遠い。 登場人物は等しく大きい得体のしれない(歴史を持つ)ものへの畏れを持ち取り憑かれた人たち。変わらないそれらに寄り添う(反抗しながらも?)しかない。 「化鳥」の杏二を彼はそうしたかったのだろう。「女でありながら女を超えたもの。人でありながら人を超えたもの。存在することに拠って観客を異界にひきいれるもの。」人でもなく神に近く、周囲すら巻き込んでしまう。ここにいる動けない「私」をつれだしてくれる何者か。なにか。 それに魅せられ続けた。 「薔薇忌」 祈り。自分の思いを次こそは次こそは・・・・叶わないで欲しい、かなって欲しい。自分を捉えて話さないものから必死に逃げようとし、しかし捉えられ続けたい。そんな感じ。 それをたんたんと。ひょうひょうとした女性がそんな執着を語るからいじらしい。 「祷鬼」 薔薇忌につづいて祈りについて。この流れはずるいと思った。祈ることの矛盾や無意味さ、その意味がみえる。 「紅地獄」 幼い好きと女性としてみてしまった。この合致はほんとうに怖いし、あり得ることだなあと思った。芝居や(続いてきた伝統ある)道具への畏れが書かれる。 「桔梗合戦」 得体のしれない母とそれを超える私。 多分違いはなにを失おうとしたか。 「化粧坂」 なまめかしい。ここに女装、女形への幼い思い出が残される。この体験を持って次編も読んでしまう、と罠だなと思う。 子供らしさと大人の世界。どちらもの貌をもつ彼。 「化鳥」 これか「化粧坂」が一番好き。 鳥は鳥のままでは、人は人のままでは、ただの凡夫なのだ。 芝居や舞台、身体表現に拠る芸術のある種の完成への遠さが現れている。 人は、やはり人である、と思う。 「翡翠忌」 「化鳥」とは一転。化け物が出てくる。と言っても年齢の話だが。彼女はひとを超えたことがあるのではないだろうか。 皆川博子、何冊か挫折してるけど、これは大丈夫だった。現代モノを何個かあさってみようかな。 ある意味で酷く、読みやすかった。 悪く言えば芳醇さは低い気もする。 そうとも思った。 情愛ではないと前に書いたけど、執着と言った感じには思わなかったし、すごく感情的でない印象を受けた。 すごく俯瞰された主人公が多かった。
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演劇をテーマにした短編集。 演劇と皆川博子なんて、相性が良すぎる。 この人の作品はいつも息が詰まる、いい意味で。
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芝居をテーマにした幻想短編集。 単行本は1990年、前回の文庫版(集英社文庫)が1993年と、かなり前のことになるのだが、今読んでもまるで古さは感じられない。 芝居の裏側という、部外者にはちょっと想像し辛い場所を主な舞台としており、じわじわと現実を浸食するようなストーリーが展開す...
芝居をテーマにした幻想短編集。 単行本は1990年、前回の文庫版(集英社文庫)が1993年と、かなり前のことになるのだが、今読んでもまるで古さは感じられない。 芝居の裏側という、部外者にはちょっと想像し辛い場所を主な舞台としており、じわじわと現実を浸食するようなストーリーが展開する。最後のどんでん返しがどれも素晴らしい。
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“舞台”に纏わる7短編。帯にも裏表紙にも“ミステリー”と銘打っているけど、こういうのもミステリーと言うのかな?確かに最後に『あっ!』と思わせるのが多いけど。とは言えどの作品も幻想的で満足です。特に【紅地獄】が印象的でした。“情念”というと、つい女性のそれをイメージしてしまいますが...
“舞台”に纏わる7短編。帯にも裏表紙にも“ミステリー”と銘打っているけど、こういうのもミステリーと言うのかな?確かに最後に『あっ!』と思わせるのが多いけど。とは言えどの作品も幻想的で満足です。特に【紅地獄】が印象的でした。“情念”というと、つい女性のそれをイメージしてしまいますが、この男性の情念ったら女性を上回る凄まじさを感じます。ストーリーの表には全く出て来ないで裏面で息づく執念ったらすごい。でも全然忌まわしさを感じさせないのが凄過ぎです。
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