防衛大学校で、戦争と安全保障をどう学んだ の商品レビュー
安全保障についての基本的事項を、伝統的文献を主に引用し、わかりやすく説明している。学術的というより、素人にもわかるといったスタンスで口語調に書かれており、防衛や安全保障に興味を持つ一般人が読むのに最適な一冊といえる。 「(猪木正道)本当の平和主義と、にせの平和主義との違いは、自...
安全保障についての基本的事項を、伝統的文献を主に引用し、わかりやすく説明している。学術的というより、素人にもわかるといったスタンスで口語調に書かれており、防衛や安全保障に興味を持つ一般人が読むのに最適な一冊といえる。 「(猪木正道)本当の平和主義と、にせの平和主義との違いは、自国の主権と独立を守ることにより、国際の平和と安全に責任を果たすか否かに存している。そういう責任感に裏打ちされない平和主義は、主観的意図が善良か邪悪かにかかわりなく、直接および間接侵略の危険を招き、自国の安全と世界の平和を破壊する」p3 「右でも左でも中道でもなく、積み上げられてきた理論と歴史によりながら、論理的に、科学的に思考し、ありにままの世界を見ようと努力しつづけること。それが防衛大学校で私たちが学んだ世界の見方です」p5 「(吉田茂)君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。ご苦労なことだと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎され、ちやほやされる事態とは外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか国民が困窮し国家が混乱に直面しているときだけなのだ。言葉を変えれば君達が日陰者であるときのはうが、国民や日本は幸せなのだ。国家のために忍び、堪えてもらいたい」p30 「(トロッキー)諸君は戦争に関心を持たないかもしれないが、戦争は諸君に深い関心をもっているのだ」p40 「国際政治において、国家が目的を達成するための手段は二つしかありません。ひとつは外交、そしてもうひとつが戦争です」p55 「基本的な同盟とは、軍人と軍人の命を互いに差し出しあうことを前提に、相互の死活的国益を守りあうために組まれる」p116 「(海外での友軍部隊防護)国際的な義務を守ることができない日本の立場は、実は非常に危ういといえる」p122 「日本の地政学的重要性は、日米同盟が存続することによってアメリカ側が得る最大の便益であり、アメリカの東アジア戦略、ひいては世界戦略に欠かせないものであるといえるでしょう」p124 「それまでの国際政治では内政不干渉が大原則でした。内戦は、国内問題としてあつかわれてきました。しかし、何の罪もない無力な市民たちが人権を蹂躙され、ただ虐殺されていくのを、国際社会は黙って見ていていいのかという、同義的な責任問題がつきまとうようになります」p172 「(マキャベリ)天国に行くのにもっとも有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである」p208 「(フロイト)人間は、自分の欲求や目標の達成が妨害されていると感じると、恨みや憎しみが蓄積され、やがて欲求不満状態になります。その欲求不満は、人間を攻撃行動や破壊行動に走らせ、それによって不満状態から開放されると人間は快感を覚えます」p216
Posted by
教科書的な内容。引用文献が豊富だから、導入としては良いかもしれない。 国際法は国内法とは違って実力行使機関を持たない紳士協定であり、国際社会は原則アナーキーであるため、国家間の駆け引きが存在することになる。 戦力、貿易力などのハードパワーのみならず、文化力などのソフトパワーも重...
教科書的な内容。引用文献が豊富だから、導入としては良いかもしれない。 国際法は国内法とは違って実力行使機関を持たない紳士協定であり、国際社会は原則アナーキーであるため、国家間の駆け引きが存在することになる。 戦力、貿易力などのハードパワーのみならず、文化力などのソフトパワーも重要である。 ・防大では吉田茂が尊敬されていること。 ・核兵器の脅威がある中で、無人攻撃、サイバー攻撃など新しい攻撃の形も出現していること。 ・平和のためでない戦争などこれまでなかったこと。 ・非武装はみんなでやらなければ意味が無いこと→これまでの実績はあまりうまくいっていない。(結局、非常時には動員することになる。) などが気になった。
Posted by
防衛、安全保障に日頃から興味を持っている人にとっては既知の事項が書かれた内容なのだが、難解な理論や、一般人が安保に関して思い込みやすかったり勘違いしやすい事項に関して平易に解き明かすのはさすがで、日本で一番わかりやすい安全保障の教科書との宣伝文句は言い過ぎではない。 防大で専門的...
防衛、安全保障に日頃から興味を持っている人にとっては既知の事項が書かれた内容なのだが、難解な理論や、一般人が安保に関して思い込みやすかったり勘違いしやすい事項に関して平易に解き明かすのはさすがで、日本で一番わかりやすい安全保障の教科書との宣伝文句は言い過ぎではない。 防大で専門的に4年間学んだとはいえ、20代の若者であり、また、実務に就かなかった者たちがどれほどのものがかけるのか?と、若干侮っていた部分はあるのだが、偏りのない論理と平易な文章力などから垣間見える、著者らの優秀さと、防衛に対する真摯な眼差しはさすがだ。 著者らは任官拒否したっぽい?けど、優秀な人材が若くして自分の考えを持って民間に入ってこういう本を出したりして啓発活動を行なっているのは非常に頼もしい。
Posted by
著者が防衛大学校在学時に、安全保障についてどう学んできたか、さまざまな史実とその背景、参考文献などを引用して解説したもの。 「いちばんわかりやすい、安全保障の教科書」とある通り、難解にならないよう、広く浅く記述している。 国際情勢をどうとらえ、それにどう対処していくのがよいの...
著者が防衛大学校在学時に、安全保障についてどう学んできたか、さまざまな史実とその背景、参考文献などを引用して解説したもの。 「いちばんわかりやすい、安全保障の教科書」とある通り、難解にならないよう、広く浅く記述している。 国際情勢をどうとらえ、それにどう対処していくのがよいのか、安全保障を担う者としての考え方を(ほんの一部かもしれないが)理解する一助になる。 「平和、平和」と叫ぶだけで平和を維持できるものではない。戦争というものから目をそらさず、その原因をとらえ、どうすれば回避・予防できるかを考えることが重要だと気づかせてくれる本。
Posted by
安全保障についてとてもわかりやすく書いてある本。平和とは戦争放棄ではなく自分たちの国を守れる強さがあってこそなんですね。目からウロコでした。
Posted by
集団的自衛権について知りたいと思い、探しているときにこの本を見つけました。 普段、自衛隊の海外派遣=×、PKO参加=×、武力行使× という本ばかり読んでいたので、興味がそそられて読んでみました。 いや~、おもしろかった。 「国際社会はアナーキー」という前提に立つと、武力保有の意...
集団的自衛権について知りたいと思い、探しているときにこの本を見つけました。 普段、自衛隊の海外派遣=×、PKO参加=×、武力行使× という本ばかり読んでいたので、興味がそそられて読んでみました。 いや~、おもしろかった。 「国際社会はアナーキー」という前提に立つと、武力保有の意味が現実感持って僕の中に入ってきました。 もちろん、戦争や紛争はなくなってほしいし、なくなるべきものだと思っています。 でも、オウムのように「平和、平和」と唱えていても、現実との解離が進むだけだと思います。 まずは、いろいろな立場から平和を考えることが大切だろうと考えると、この本に出会えたことはラッキーでした。
Posted by
防衛大学校でレクチャーされている講義等を基に、国際政治=戦争論と安全保障論について、分かりやすく説明している入門書。 パワーとは相対的な概念。たが、そのパワーが重要で、どう判断するかがポイントとなりそう。 防大でどのように国際政治を教えているのか…興味ある方は、分かりやすいので、...
防衛大学校でレクチャーされている講義等を基に、国際政治=戦争論と安全保障論について、分かりやすく説明している入門書。 パワーとは相対的な概念。たが、そのパワーが重要で、どう判断するかがポイントとなりそう。 防大でどのように国際政治を教えているのか…興味ある方は、分かりやすいので、是非一読を。
Posted by
安全保障の入門書としてわかりやすいという点では良著。 防大卒業生が防大での講義や教科書or課題図書から安全保障学について学んだことをわかりやすく一冊の新書にまとめたと。そして今の日本への提言として、東アジアのパワーバランスに目を配りながら適切な軍事力を整備、日米同盟の深化に務めて...
安全保障の入門書としてわかりやすいという点では良著。 防大卒業生が防大での講義や教科書or課題図書から安全保障学について学んだことをわかりやすく一冊の新書にまとめたと。そして今の日本への提言として、東アジアのパワーバランスに目を配りながら適切な軍事力を整備、日米同盟の深化に務めてハードパワー面での抑止力を高めること、中国との信頼醸成措置を講じつつソフトパワーを高めることを挙げている。 二人は防大を出てから自衛隊を退職してて、まぁ学費を返すのはこの次期からなのかな、とにかく民間の道で日本国民に安全保障を語っていくらしいから、頑張って欲しいな。運動なり研究なり。
Posted by
センセーショナルな題名で目立ったこともあり、思わず買って読んでしまった。防衛大学での講義をベースに議論を展開している。いろいろ意見はあると思うが、論理の展開が明確。 議論の展開を簡単にまとめると下記: 1)国家間の争いは誰も調停できない、いわば無政府状態(アナーキー)である。秩...
センセーショナルな題名で目立ったこともあり、思わず買って読んでしまった。防衛大学での講義をベースに議論を展開している。いろいろ意見はあると思うが、論理の展開が明確。 議論の展開を簡単にまとめると下記: 1)国家間の争いは誰も調停できない、いわば無政府状態(アナーキー)である。秩序を強制する主体は国際社会には存在しない。 2)したがって、国力を賢く使った国が優位に物事を運べる。国力とはモーゲンソーの「国際政治」で規定している次の9つ。 地理、天然資源、工業力、軍備、人口、国民性、国民の士気、外交の質、政府の質 3)抑止力・拒否力の構築が必要 4)日本の周辺諸国は軍事力を強化している 5)日本としては東アジアのパワーバランスを均衡すべく、軍拡をすすめ、日米対中国という構図を維持するために日米同盟を活性化させ、同時に中国と信頼醸成措置を講じるとともに、ソフトパワーの向上に努める。 5)全面的な軍事衝突はあり得ないが、軍事接触はあり得る。そのため、自国の防衛力で対応すべき体勢を整えるべき。 また最後にラテン語の次の格言で締めくくっている。 「汝、平和を望むなら、戦争に備えよ」
Posted by
日米同盟の大きな問題は「見捨てられる不安」がつねに存在していること。 対中国という目下の懸念があるかぎり、日本は「巻き込まれる不安」を振り払って、集団的自衛権の問題にも取り組むべき。 ソフトパワーにおいては、国際社会における日本の名声や魅力、高感度を上昇させていくことが有用。中国...
日米同盟の大きな問題は「見捨てられる不安」がつねに存在していること。 対中国という目下の懸念があるかぎり、日本は「巻き込まれる不安」を振り払って、集団的自衛権の問題にも取り組むべき。 ソフトパワーにおいては、国際社会における日本の名声や魅力、高感度を上昇させていくことが有用。中国への目に見えない内発的な牽制となる。 そのために国連をはじめとする国際制度の枠組の中で、積極的に責任ある立場を果たし、自然災害や国際犯罪、国際テロリズム、内戦や海賊といった諸課題の解決に取り組むべき。
Posted by
- 1
- 2