平凡 の商品レビュー
あの時こうしていたら、という考えは誰しもが想像することだと思う。違う人生がどうしても良く思えてしまうけど、今の人生が結局一番だと思いたい。
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選ばれなかった、もう1つの人生。 年を重ねるということは、人生の岐路、とも呼べるものを通り過ぎて生きてきた、ということなのかもしれない。 だからふと、もし、〇〇だったら・・・と、別の生き方に想いを馳せてみたりする。 選ばれなかった無数の道があっただろうけれど、特に思い出されるのは...
選ばれなかった、もう1つの人生。 年を重ねるということは、人生の岐路、とも呼べるものを通り過ぎて生きてきた、ということなのかもしれない。 だからふと、もし、〇〇だったら・・・と、別の生き方に想いを馳せてみたりする。 選ばれなかった無数の道があっただろうけれど、特に思い出されるのは別れた恋人とのその先の人生であったり、苦い後悔が残るような不完全燃焼な日々のこと。あの時、もっとこうしていれば、違う人生もあったのかも、と。 ただそれは、今の人生が嫌でやり直したい、というものではなく、本当にふと、頭をよぎることがあるくらい。 6つの短編からなる本書ですが、「もう1つの人生」をいろんな角度から切り取っていて、とてもおもしろい。 自分にとって選ばれなかったもう1つの人生は、同時に相手にとっても幻の人生。1人で生きているわけではないから、他者と関連しあいながら、たくさんの分岐を経て、今の生き方がある、ということが、なんだかすごく不思議で、おもしろく感じます。 「別れた恋人が別れたのちに不幸になってほしいか、幸福になってほしいか」と始まる「こともなし」という短編が一番好きでした。 もう1つの人生に想いを馳せるとき、私も、考えたことがある。どこかで、相手の不幸を願ってしまう自分がいた。 その根底にあるのは、今の自分の人生を肯定したい、これでよかったんだと思いたい、との思い。 そして、そう思わせたいし、認めさせたい。それは、別れた恋人に対して、だと思っていたけれど、実際のところは、もう1つの人生にいる自分自身に対してだったのかもしれない。 選ばれなかった人生について常日頃考えているわけではないし、今私が生きているのはこの人生なのだけれど、たまにシャボン玉のように浮かんでくるもう1つの人生をぼんやり眺めながら今を大切に生きるのも悪くないな、と思うのでした。
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タイトルとは裏腹に色んな方の転機を描いた短篇集。後で何か起こらないと思い返すこともなく、そして思い返したとしてもそれが転機かは結局分からない実に些細な出来事ばかり。でも、その転機はまさに平凡な生活の中にあった。結婚して幸せなのに、離婚する夢で嬉々としてしまい自分の影に気づく二三子、平凡である事が昔の恋愛がらみの因縁だと思う聡子や紀美子、母と酒を飲み過去を思い返していく泰春、結婚しなかった元カノが成功した徹平、ありえたはずの日常を想像する主婦と出会った庭子…。切ないけど、前を向ける気持ちになる作品。
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6編の短編集、平凡との標題が示すように、人生のもしをえがく。もし、〇〇しなければ、人生違ったんじゃないか。 人は誰もいつかは考えるかもしれないこと。正解も不正解もない。人生のどの一歩が、その後を決めるのか、わからない。この瞬間、その一歩を踏み出しのかもしれない。
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もしもあの時違う道を選んでいたら…よく考えます。でも自分がその時にどうしても行きたかった方を選んだのだから、今の暮らしはその結果であって納得すべき…とも思えます。
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最後の平凡がドラマになっていて、ずいぶん前に観たこと思いだしました。 角田さんの書かれる女性達ってほんとドラマチックじゃなくてでもしっかりドラマあるんですよね!! 好きです。
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あのとき選ばなかったほうを選んでいたら、 を、考える短編集。 まず、このテーマが好き。 わたしもこういうの考えるの好きです。 人生は選択の連続で 小さな選択が人生を大きく変えてたりもするな、と 改めて考えさせられました。 最初の「もうひとつ」が微妙だったから 気乗りせず読...
あのとき選ばなかったほうを選んでいたら、 を、考える短編集。 まず、このテーマが好き。 わたしもこういうの考えるの好きです。 人生は選択の連続で 小さな選択が人生を大きく変えてたりもするな、と 改めて考えさせられました。 最初の「もうひとつ」が微妙だったから 気乗りせず読んでいたけれど、 「いつかの一歩」「平凡」「どこかべつのところで」 の最後の3つがよかったです。 小説ははじめて読む角田光代さんでしたが 味わい深くてさすがだなと思いました。
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- ネタバレ
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妻に浮気されたり、離婚を言い渡されたり、やるせない話が多いが、最後のねこちゃんの話が好き。 ハッピーエンドではないし、どうなるか当てがあるわけでもないけれども、気持ちを分かり合えることで少しだけ悲しみが軽くなったり、悲しかったことから少しだけ焦点をずらせたり、そういうわずかな希望みたいなのがまぶしくて愛おしい。 「あのとき〇〇していたら」って考えてしまうもう1人の自分のことを後悔したり、未練たらしく悪いことのように思うのではなく、仲のいい戦友みたいに好意的に思えれば、またどこかで会える、そんなふうに思えれば、さみしくないし苦しくなくて、なんだか上手くいかなくても生きていくことっていいことなのかもしれないって思えた。 人生っていきなり事態が好転することはなくて、だましだましでも自分の気を逸らしていくうちにまた大丈夫になっていくのかもしれない。
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あの時こうしていれば、私の人生は違った。 誰にでもある人生の分岐点。 期待したり、後悔したり、人と比べたり、 主人公達がそれぞれ人間らしくて心に響きます。 「それでも、それでも生きていくんだ。自分は自分なんだ。」という生きる力をもらったような気がします。
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角田さんの本は初めて読んだ。 どこにでもありそうな話のような、とても平凡とは言えない話のような。 全ての話に共通している「もしあのとき、あれをしなければ」というテーマは、誰もが大小様々に持ち合わせているだろうから、余計に心にぐさりと刺さる。 「どこかべつのところで」が一番好きだっ...
角田さんの本は初めて読んだ。 どこにでもありそうな話のような、とても平凡とは言えない話のような。 全ての話に共通している「もしあのとき、あれをしなければ」というテーマは、誰もが大小様々に持ち合わせているだろうから、余計に心にぐさりと刺さる。 「どこかべつのところで」が一番好きだった。
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