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バージェス家の出来事 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2024/08/07

ネットで筆者の筆力の凄さを聴いて頂けに、久しぶりの読みごた絵のある展開、言葉のセンス等など、読了後湧き上がった充実感は暑さを忘れさせてくれた。 原題「The Burgess Boys」 バージェ言う呼称で作中数回登場する重要な位置づけである ニュアンスを持つが邦題では「バージェ...

ネットで筆者の筆力の凄さを聴いて頂けに、久しぶりの読みごた絵のある展開、言葉のセンス等など、読了後湧き上がった充実感は暑さを忘れさせてくれた。 原題「The Burgess Boys」 バージェ言う呼称で作中数回登場する重要な位置づけである ニュアンスを持つが邦題では「バージェス家の出来事」となっている。 メイン州というエリアに全くなじみがないので地図で確認、いわば北部アメリカ、カナダに近く、作中登場する事務とボヴ兄弟が住むニューヨークと近い。 自然豊かであることと、ソマリ人の移民数が多いようだ。 長身、際立った才能と履歴で常に輝いている長男ジムと良家出身の妻ヘレン、双子の男ボブ、別れた妻パム、今の女セレナ、女スーザン、別れた夫スティーブ「今は生まれたスェーデン在住、交流無し)事件を起こした息子ザック それにソマリ人指導者アヴディカリム、宗教指導者マーガレットエスタヴァーが主だった登場人物。 435頁は長編に属するといえるがぎっしり詰め込まれた「人間交雑絵巻」ともいえる物語はバージェス家のほぼ半世紀が語られ、メイン州の小さな町を舞台にしつつもアメリカという国、さらにアフリカの海賊の国?ソマリアも関連している。 作者ㇲトラウトはピュリッツァー賞受賞歴のある極めて骨太い作品を世に出してきた実力者!流石の場面描写が次々と出てきて、3日間読み耽ってしまった。ザックが投げ込んだ【豚の頭事件】は本作と流れは違うものの、実際にあったもののようだ。 アメリカという新大陸に生まれた国が今や世界の大国と化した・・しかし根底にはラム問題も世界有数‥まずはアングロサクソンとソマリ人(キリスト教にユニテリアンという宗派があるのも初めて聞いた)ヘレンはワスプとしてスーザンと気が合わないし・・ ソマリ系アメリカン、フレンチカナディアン‥などなど種、系を分別していくことが恐ろしさすら覚えた(スーザンはかつてユダヤ人の彼と付き合い、その後ザックの父親スェーデン人と結ばれた) 日本のような【世界からすると奇異に映る単一民族(と称している)で海に浮かぶ島の国、そこに住む国民からするとコップの中に吹き荒れる嵐の傑作との手触りが。

Posted byブクログ

2015/01/26

ぴかぴかとまではいかずとも、それなりに磨き上げ手を入れていたガラス窓に、ぴしりと小さなヒビが入った。じわじわと広がっていくそのヒビをくいとめる法などあるはずもなく、不安に思ううちにそれはしまいには窓は砕け散ってしまう。 バージェス家の兄弟妹の生活が、それだ。とりあえず均衡を保って...

ぴかぴかとまではいかずとも、それなりに磨き上げ手を入れていたガラス窓に、ぴしりと小さなヒビが入った。じわじわと広がっていくそのヒビをくいとめる法などあるはずもなく、不安に思ううちにそれはしまいには窓は砕け散ってしまう。 バージェス家の兄弟妹の生活が、それだ。とりあえず均衡を保っていたものがあれよあれよと崩れ落ちていく。 きっかけは妹の息子がモスクに豚の頭部を投げ入れたことから始まる。少し昔の小説であれば、この息子の心理を探ることに物語の核があったのかもしれないが、息子のその暴挙の理由は「なんとなく」なのである。こちらのほうがいまや現実的に響くのであるから恐ろしい。 前作のあとがきの、どんな「田舎町の日常にも、人の心の中まで見れば作家が書くべきものはある」という言葉が本作にもあてはまる。 子どもの頃は、理由もなく「今の生活がずっと続く」と信じていた。自分が家庭を持ち、子どもたちが腰周りにべたべたとくっついている頃も、そんな風に思っていたものだった。はたと今の現実に気づいたところで自分の気持ちがついていかない。そんな主婦に私は自分が重なった。 けれど、最後にはゆるゆると温かなものが流れてくれる。読んでよかった。

Posted byブクログ

2015/01/23

「オリーブ・キタリッジの生活」と ガラッと違う登場人物たちの心理に 最初は、入り込めずにいたけれど中盤以降の それぞれの思いが、じんわりと胸に来ました。

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2014/10/26

ある一家の1年ほどを描いて、問題噴出なのにどこかユーモラスで、しかもあたたかい結末。 アメリカの抱えるさまざまな問題がびっくりするほど関わってきます。 バージェス家のジムとボブ、妹のスーザン。 長男のジムは、やり手の企業弁護士。 ボブはジムにばかにされながらも慕っている気のいい...

ある一家の1年ほどを描いて、問題噴出なのにどこかユーモラスで、しかもあたたかい結末。 アメリカの抱えるさまざまな問題がびっくりするほど関わってきます。 バージェス家のジムとボブ、妹のスーザン。 長男のジムは、やり手の企業弁護士。 ボブはジムにばかにされながらも慕っている気のいい弟で、弁護士なのだが法廷には全然向かない。 二人はニューヨークに出ているが、メイン州に残った妹のスーザンから連絡が入る。 息子のザックが事件を起こしたため来てくれというのだ。 ジム夫婦は、社長夫妻と一緒の休暇旅行を優先して、ボブだけに行かせる。 ザックはモスクに豚の頭を投げ捨てたのだが、軽犯罪だからすぐ帰れるといわれて、ボブは内心途方にくれながらも逆らえない。 高校からスターでいまや成功したジムの俗物っぷりは笑えるほどで、夫婦仲はいいのだが、それも事件の推移と共に崩壊の危機に‥?! スーザンは離婚して独り身。口が悪くてあまり性格は良くないのだが、それは母親に一番きつくあたられて育ったせいという哀しさも。 無口でどこか未発達な息子のザックのことを、いつも心配してきた。 バージェス家の父は事故で早く亡くなっていて、それも幼いボブが車をいじったせい。 このトラウマを抱えているボブは、どこか気弱でたまに放心する癖がある。 だんだんわかってくるのは、兄妹3人ともが、自分のせいだったと責めていたこと‥ ザックの事件は連邦犯罪のヘイトクライムと扱われる危険が出てきて、ジムも駆けつける。 田舎町にはソマリアからの難民が増えていて、見た目や風習の違いに、スーザンは違和感を覚えていた。 ソマリ人の視点もあり、暴漢に襲われる危険に脅える心理も。 ところが公判でザックを見たソマリ人は、その弱々しさに驚き、ただの寂しい子供だという説得に理解を示してくれるのです。 ジムとボブが中心ですが、ジムの妻、ボブの別れた妻や、かかわる人間達が皆生き生きとしていて、なんとも人間臭い。 抱えている問題は皆いずれは表面に出てくるもの、という印象。 大変なことになってしまった窮地が少しずつ解きほぐされ、全員に希望が見えてくる展開が感動的です。 「オリーヴ・キタリッジの生活」でピュリッツァー賞を受賞しているストラウト。 作品数は少ないのに、とても尊敬されている作家のようですね。 「オリーヴ・キタリッジ」はひとつひとつは短いのに濃くて、確かに読みでがありました。 田舎町出身の兄弟や家族の話も、アメリカ人の琴線に触れることでしょう。 読みきると案外、重くない、愛と希望に満ちた話でした。

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2014/10/17

3人兄弟の成長ストーリー。あるべき姿に近づいていく過程が心の動きと共によく描かれていると思いました。幸せになっていく予感がラストから感じられてよいです。

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2014/06/05

バージェス家の娘スーザンの息子ザックが起こした事件をきっかけにさまざまなことが露になり、変化していく家族。『オリーヴ・キタリッジの生活』のような毒気を期待すると戸惑うかもしれない。スティングの"Englishman in New York"を思い起こさせる物語...

バージェス家の娘スーザンの息子ザックが起こした事件をきっかけにさまざまなことが露になり、変化していく家族。『オリーヴ・キタリッジの生活』のような毒気を期待すると戸惑うかもしれない。スティングの"Englishman in New York"を思い起こさせる物語。

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