すかたん の商品レビュー
「恋歌」または「先生のお庭番」以後の史実を 下地にした重ための作品を続けて読んできたので このエンタメよりの初期の作品 「すかたん」には星五つは上げられませんが それは同じ作家さんの作品として比べてしまうから。 楽しめる作品としては星五つと同等の評価です。
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僕は大阪育ちなのでとてもこの物語を面白く読めたが、どこであってもその土地の地理、土、水、作物、料理、味、風習、そして土地の言葉がある。そういうものの中から紡ぎ出されるものがある。そういうもをとても愛おしく思えるし、もっと大切にしていいと思う。
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初っ端から掴まれっぱなし(笑) 空き時間に1章だけ読み終えることはできたのだけれど、もう、続きが気になって気になって、仕事が手につきません!(ダメな大人) 「大坂なんて、大っ嫌い!」なんてセンセーショナルなセリフから始まるのだけれど、どぶ板を踏み鳴らしながら言うので、なんだかと...
初っ端から掴まれっぱなし(笑) 空き時間に1章だけ読み終えることはできたのだけれど、もう、続きが気になって気になって、仕事が手につきません!(ダメな大人) 「大坂なんて、大っ嫌い!」なんてセンセーショナルなセリフから始まるのだけれど、どぶ板を踏み鳴らしながら言うので、なんだかとても可愛らしく思えてしまう。 「い~~~!」ってしてるカオまで浮かんじゃう。これが朝井さんの文章力なのでしょうか。 これぞ大阪!まるでよく練られた漫才のように、軽妙で小気味よいテンポで綴られている文章。 登場人物の描き方もどこかしら愛嬌があって、なんだかニヤついてしまいます。 初めて読む朝井まかてさんだけど、他の作品も読んでみたい。好きな作家さんの一人になりそうです! そうそう。 高田郁さんを好きならば、読むべし。
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面白かった。じんわりといい。ラストもじわっと感動した。不自然でない程度に江戸時代の大阪を現代人にわかるように伝える描写もいい。廃品回収で拾った割に凄く良かった。
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時代背景は明治以前だが、内容はほとんど今の時代の商社 生産者 仲買人たちのやりとり 人間って、いつの時代でも同じことを繰り返しているんだね。
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面白かった! 最近はどんな本を読んでも、なんかつまんないなーって思ってしまっていたが、この本は面白かった。 たぶん、女子だからコイバナが良かったのかなーとか思ったりする。
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すごく力強さを感じる本だった。女中として奮闘する主人公の姿がいい。すかたんと呼ばれて怒られながら、何とか生きていく姿には力をもらえる。 清太郎との不器用な恋愛もまた素敵。小万とのやり取りを見ていると、女子はやはり女子。時代が変われどガールズトークって、こういくものやね。 大阪はご飯が安くて美味しいと関東の方にはよく言われる。そんな大阪のルーツも感じた。今も昔も一人相撲なのは変わらないかな。
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「その野菜の適切な時期に植えたら どんな野菜も心配しなくても ちゃんと出来ますから ♪」 とお百姓さんに教わり 旬を見逃さないよう昨日は自分の畑に夏野菜を植えてきた。 なにわ伝統野菜の勝間南瓜、昨冬は天王寺かぶや田辺大根を収穫、なにわ伝統野菜をつくりながらの畑仕事が楽しい時に、朝井まかてさんの 自分にはまさに旬の小説に出会った感。 大阪出身の著者の植物好きが小説の中に随所に取り入れていて 植物、野菜、野草の名前がいっぱい出てくるところがすごい。 春日野若菜、鶯菜、嫁菜、芥子の若葉、 木津のかんぴょう、河内蓮根、海老名の冬瓜、勝間南瓜、毛馬胡瓜、鳥飼茄子、玉造の黒門越瓜、地元の天王寺かぶに、田辺大根 また、八百八橋を背景にした江戸時代の大坂 夏の天神祭 四天王寺さん、木綿栽培、天満青物市場、八百八橋と言われるほど堀川が多く美しい水郷のまちだったこと など昔からの地の大阪の風物も大阪弁も変わらない姿が描かれていて この時代劇小説を読んでいる間は地元大阪の昔に自分もタイムスリップしたみたいになじんで読んでいた。 物語は江戸詰め藩士だった夫と大坂でくらしていた知里が 夫が急死してひとり身となり江戸と違う慣れない大坂の生活に四苦八苦することに。ひょんなことから青物問屋河内屋の若旦那・清太郎と出会い、河内屋の上女中奉公になり、しだいに大坂の旨いもんに目覚めていく。 河内屋の若旦那清太郎は青物のことを語らせたら右に出る者がいないくらい無類の青物狂いで熱い、が、遊び人でとんだすかたん ( 見当違いなこと、間の抜けたことをする人をののしっていう語。とんま。まぬけ。すこたん。「このすかたんめ」「すかたん野郎」とかいう) で いろんな問題を起こす。 昔から天満青物市場にも仲買人がいて野菜の直売ができずにいた。丹精して作った野菜を売り残さず 町の者と直に取引することで食べるものと作るものが思いを通わせるそんな商売がしたい 難波村のお百姓 富吉が禁止されている立ち売りをしていた、その許可を求めて清太郎が奔走していく。巻き込まれていく知里、すかたんだけどまっすぐに突き進む清太郎に次第に惹かれていく知里との恋物語が始まる。 役人と商人の癒着がひどい大阪の青物渡世に青嵐 大川の水面を波立たせるほどに強い風 強引ではた迷惑、けど、真正面から新しい季節を開く風のように 大坂の青物市場を切り開いていく。なじみの芸子、小万が機転を利かし、知里とともに 悪徳商人の伊丹屋のお上への賄賂受け渡しを現場で取り押さえ市場を正常に戻し伊丹屋を成敗した場面は痛快で何とも気持ちが良かった。 代々、河内屋では若旦那のご寮人ごりょはんが河内屋の畑の世話をするのがしきたりでお家さんの志乃から 畑を任された知里は 幻のカブの種を植えた。志乃は畑を任した時から清太郎の嫁、河内屋のご寮人として受け入れていたのかもしれない。なんでもお見通しというところもさすがである。 河内屋を伊丹屋の陰謀から救ったのも あとに幻のかぶだった。知里が植えてできたのが新種の丸大根で 競りに立った清太郎によって想像以上の高値がつき 青物商いの玄人衆にその価値を認められた。 やがて清太郎と知里は最後はハッピーエンドとなるが 河内屋のしきたりどおり 鞘に収まったところが気持ちよい。 ラストシーンは競りで市場の慣いの三本締めで占めるところはさすがである。 畑が初めての知里が畑仕事をひとつひとつ教わっていくところでは 間引きって? 元気そうな芽ぇだけ残して他は引いてしまうんや。そのままほっといたら苗が混み合うて大根の根身が小そうなるさかいな。 この時季、大根はとうが立ちやすくて放っといたら花咲かせて種つけてしまう。全部をそのままにしたら花や種に栄養がとられて根身がやせてしまうんや。そやから、種とりたい株だけ残して他は蕩(とう)を手でちぎってしまわなあかんで ふだんの地元大阪弁で 畑でおじいやおばぁが教えてくれる姿とまったく同じくダブった。 今この時代劇小説に出会えたことは自分にとってまさに旬である。
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大阪が舞台の人情味あふれる物語で面白かった。所所出てくる料理の描写が美味しそうだと感じ、みをつくしシリーズを彷彿とさせる。青物問屋の仕事の様子も描かれており、仕事小説の面でも通ずるところがある。季節の野菜料理も良く、野菜に関する知識などはためになると感じる。しきたりに関しては、江...
大阪が舞台の人情味あふれる物語で面白かった。所所出てくる料理の描写が美味しそうだと感じ、みをつくしシリーズを彷彿とさせる。青物問屋の仕事の様子も描かれており、仕事小説の面でも通ずるところがある。季節の野菜料理も良く、野菜に関する知識などはためになると感じる。しきたりに関しては、江戸から現代に通ずるものもあり、知恵などを活かし、日々の生活を送っているのが伝わっている。江戸から大阪へ丁稚に来た知里が、最初は戸惑いながらも恋に落ちた若旦那との関わりなどから成長する姿が良い。幸福で締めくくられ、良かったと思う。
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なじみのある大阪の地名がいろいろ出てくる。主人公、知里がおつかいやお祭りなどで出歩くのと一緒に、昔の風景を見ているような気分になれておもしろかった。 料理や季節の情景をしっかりと描きながら、時が経つにつれ変化していく事態と人々の心模様もはっきりと見てとれる。なんというか、骨太な印...
なじみのある大阪の地名がいろいろ出てくる。主人公、知里がおつかいやお祭りなどで出歩くのと一緒に、昔の風景を見ているような気分になれておもしろかった。 料理や季節の情景をしっかりと描きながら、時が経つにつれ変化していく事態と人々の心模様もはっきりと見てとれる。なんというか、骨太な印象の物語。 商売の話なので、仕事の心得といった含蓄ある言葉が語られるのも、いい。 ラストの清太郎の告白は、そこで?!そんなん?!みたいなおかしみがあって、清太郎の不器用さにあきれるやら、笑うやら。でもとても明るくて、それも良かったわー。
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