うわさとは何か の商品レビュー
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松田美佐『うわさとは何か』中公新書、読了。「根も葉もない」とも「火のないところに煙は立たぬ」と両義性をもって扱われるのがうわさ。対極の受容ながらどこか今ひとつわかりにくい。本書は古典的研究を踏まえた上で「ネットで変容する『最も古いメディア』」(副題)の特質を明らかにする。 石油ショック下でのトイレットペーパー騒動や口裂け女といった都市伝説、東日本大震災下におけるチェーンメールやSNSでの不確か情報拡散など、具体的事象を本書は精緻に検証する。事実性を超えた物語は以外にも人々のつながり(関係性)を取り結ぶことには驚く。 「もっとも古いメディアであるうわさは、太古の昔から現在も、そしてこれからも、情報を伝えるだけでなく、人と人との“つながり”=関係性を結ぶ。さまざまな新しいメディアによってうわさも人と人との“つながり”=関係性も変容する」。 うわさと聞けば、強烈な反発と「もしかして」という二者択一で議論されがちだが、冷静にその本質を腑分けする本書の議論は、その本質を把握したうえで、どのように「付き合っていけばよいのか」読み手に示唆する。現代を理解する上での非常に秀逸な一冊。
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≪目次≫ 第1章 うわさの影響力 第2章 うわさを考えるー「古典」を繙く 第3章 都市伝説の一世風靡ー1980~90年代 第4章 人と人をつなぐうわさ・おしゃべり 第5章 メディアとの関係ーネットとケータイの普及の なかで 第6章 ネット社会のうわさー2010...
≪目次≫ 第1章 うわさの影響力 第2章 うわさを考えるー「古典」を繙く 第3章 都市伝説の一世風靡ー1980~90年代 第4章 人と人をつなぐうわさ・おしゃべり 第5章 メディアとの関係ーネットとケータイの普及の なかで 第6章 ネット社会のうわさー2010年代の光景 ≪内容≫ 「古典」的な研究から現代のネット社会までを見通した「うわさ」の概説書。非常に教科書的でわかりやすい。 通常の「うわさ」に対する悪い印象(関東大震災時の朝鮮人暴動ネタなど)だけでなく、東日本大震災時のボランティアの話など、が斬新だったし、「うわさ」とコミュニケーションとの関係(対人関係の潤滑油的要素)なども気がつかなかった話だった。
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フランスの社会学者ジャン-ノエル・カプフェレはうわさを「もっとも古いメディア」と呼んだ。ネットというツールの生まれた今、人々を惑わすうわさは、新たに何をもたらすのか。
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トイレットペーパーの買い占めなんて、噂を超えて社会問題。最大の社会問題は関東大震災は朝鮮人の仕業というもの。 噂は既存の人間関係の中で広がっていく。 ハーバード図書館の噂 ・今居眠りをすれば、あなたは夢を見る。今学習すれば、あなたの夢がかなう。 ・あなたが無駄にした今日はどれだ...
トイレットペーパーの買い占めなんて、噂を超えて社会問題。最大の社会問題は関東大震災は朝鮮人の仕業というもの。 噂は既存の人間関係の中で広がっていく。 ハーバード図書館の噂 ・今居眠りをすれば、あなたは夢を見る。今学習すれば、あなたの夢がかなう。 ・あなたが無駄にした今日はどれだけの人が願っても叶わなかった未来である。 ・勉強に励む苦しさは今だけであり、勉強しなかった苦しさは一生続く。 これって、ただの噂。
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思っていたよりもライトな本だった。 個人的には、 『教養主義の没落』のようなヘビーさを勝手に想定していたので、 こんなもんか、 という気分だ。 しかし、 うわさとSNSとの関連が論じられている本はおそらく(存在したとしても)数少ないだろう。 一読する価値はあったと思う。
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