夏の朝 の商品レビュー
主人公の少女の素直な心と、少女を取り巻く(平凡ではあるけれど)優しい大人たち、そして美しい挿絵。そして舞台は夏の朝。 とても爽やかに心を洗ってくれるような物語でした。
Posted by
この本を読み終わって読後感が本当に爽やかでした。児童書ではあるが、そういう感じではなく自分の中で心に残る一冊になりました。また、もう少し大人になったら読み返したいです。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
梅雨明けの少し前から真夏へと向かう季節に咲く蓮の花。 四日の命といわれるその花は、早朝に蕾をほどき始め、陽が高くなる前には再び花を閉じてしまい、四日を過ぎれば散りじたくを始めてしまう。 あまりにも儚い命。 けれどその潔い生き様に、見る者は毎夏のように魅せられている。 次の夏も、また次の夏も。 毎夏変わらぬ色鮮やかな紅色の花びらと甘い香りは、遠い夏の記憶を呼び起こす。 今は亡き祖父の庭で、蓮の蕾の中に隠されている"想い"を受け取った中学2年生の莉子。 それは自分のルーツを遡る時空を超えた旅だった。 亡き母や祖父母との再会は少女を"大人"へと導いていく。 莉子はこの夏の貴い記憶をいつまでも忘れないだろう。 言葉数は少ないけれど、じわりと伝わってくる祖父の優しさが胸に染み入る。 声には出さないけれど、いつでも莉子を想い見守っている。 莉子に向けられた祖父の温かな眼差しに、私も今は亡き祖父の温もりを思い出した。 挿絵の美しさにもため息がもれる。 中学校の課題図書という本作、多くの中学生に届くといいな。
Posted by
装丁挿画がすてきで思わず見入っちゃう。 中2の主人公が亡き母の実家で体験する不思議なできごと。 出てくる人それぞれの想いが温かく伝わってくる。 温かいものがたり。 蓮のごはんは私も食べてみたい。
Posted by
情景がとても綺麗。 「莉子は背をかがめて布をたくしあげ、そろそろと蚊帳の中に入っていった。そこは、ひんやりとした空気の満ちた、隠れ家のような空間だった。」 「夏の夜を高らかに謳歌する虫たちの声に包まれて、ふわふわと眠りに落ちていく。こんなぜいたくをひとりじめできるなんて、なんてす...
情景がとても綺麗。 「莉子は背をかがめて布をたくしあげ、そろそろと蚊帳の中に入っていった。そこは、ひんやりとした空気の満ちた、隠れ家のような空間だった。」 「夏の夜を高らかに謳歌する虫たちの声に包まれて、ふわふわと眠りに落ちていく。こんなぜいたくをひとりじめできるなんて、なんてすてきなことだろう。」 莉子の祖父の家が、自分の祖父母の家と重なってなんだか切なくなりました。 蓮の蕾に入っている想いとはなんなのか、莉子が過去へタイムスリップして色々な体験をする。
Posted by
素晴らしい本だった。図書館で借りていたのですが、読む時間がなくてそのまま返そうと思っていたところ、ちょっとだけ開いてみたら夢中になっていて一気に読了。透明感のある優しい物語で、読むとまるで心が洗われるような感覚がある。この本は、生涯の宝物として持っていても良いくらいに良かった。
Posted by
装丁がすばらしい。美しい。 祖父が亡くなり取り壊されることになった家。 法事のあとその家に残り、家を片付ける叔母・佳乃を手伝うことにした莉子。 「あのつぼみの中には何が入っているか、ご存じ?」 祖父の家で蓮の花を見ながら、そう話す老女。 蓮の花が咲くときのポンという音を聴いて...
装丁がすばらしい。美しい。 祖父が亡くなり取り壊されることになった家。 法事のあとその家に残り、家を片付ける叔母・佳乃を手伝うことにした莉子。 「あのつぼみの中には何が入っているか、ご存じ?」 祖父の家で蓮の花を見ながら、そう話す老女。 蓮の花が咲くときのポンという音を聴いてみたいと、早起きして庭の蓮を見に行くと…。 亡くなった母の少女時代。 祖父の少年時代。 時代を越えて繋がる優しい思い。 忘れないで。思い出して。 莉子の家族は、お父さんと弟の陸とお父さんの再婚相手の麻美(あさみ)ママ。 仲の良い家族で、何の問題もない。 でも莉子は思ってしまった。お母さんの場所が無くなっちゃう。 誰にも言えなかったその思いを、おじいちゃんだけはわかってくれていたような気がする。 誰にも言わなかった莉子の気持ちと、それでも母を思ってしまう莉子の気持ち。 どちらもおじいちゃんはきっとわかってくれていた。 おじいちゃんはいなくなり、家も取り壊されてしまうけど、莉子の手には確かな家族のつながりが。 今年の中学生の部課題図書。 少し書き足りない部分もあるけれど、人の想いが紡がれる優しく穏やかな物語。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
子供の夏休みの課題図書として購入した本ですが、大人が読んでも面白い話だと思います。ただお話としては良くあるパターンのタイムトラベルものです。SFではなく文学として書かれているところがポイントですが、それでもどこかで読んだ感があるストーリー展開です。 ちょっと面白いなと思ったのは、主人公が時間を行ったり来たりする中で、「今」でない時代、昔に行って体験したことを「今」の時代の人に話をする部分です。しかもその人はその昔にも若い人物として登場しているのです。 その人はどう反応するのかと思って読み進めると、意外とすんなり受け止めて主人公の相談にのったり、話を聞くのを楽しんだりしているというのが妙に新鮮な感じでした。 後は子供がこの話をどう理解して読書感想文を仕上げるのかが心配です。
Posted by
蓮が花開くときは、ポンッという音ともにしまいこまれた「想い」が空に解き放たれる。 そんな話を聞いた莉子は、おじいちゃんの一周忌の後、祖父宅に留まり、早朝の蓮池に向かう。 蓮が花開く瞬間、 莉子は過去へとタイムスリップしたのだった。
Posted by
2015年読書感想文中学生向け課題図書。中学生はこのお話を読んで、どんな感想を持つのだろうかと楽しみです。香り立つ蓮の花の咲き誇っている様子が文章と挿絵とから色鮮やかに思い描かれ、健気な少女の幻想的なお話の世界に滑らかに引き込こまれていきます。
Posted by